花筏図鐔 宜秀
デザインがいいね。文様化された波と桜を赤銅地一色で表現している。一切の色金を用いていない。しかも陰影ではなく、肉彫であるため、文様に奥行き感が生まれている。
花筏図鐔 宜秀
デザインがいいね。文様化された波と桜を赤銅地一色で表現している。一切の色金を用いていない。しかも陰影ではなく、肉彫であるため、文様に奥行き感が生まれている。
扇流し図鐔 阿波正阿弥
ちょっと見ただけでは扇を文様化しただけの図に思えるが、有名な扇流しの図である。川の流れが大きな意味を持っている。川に投じられた扇の地紙が、水によって次第に崩れてゆく・・・そんな様子を雅に表現したもの。図の中では強調されてはいないが、確かに水の流れが活かされている。
蛇籠に波図鐔 間
間の鐔としてはとても珍しい、赤銅地に金の平象嵌を施した作。間は鉄地に砂張で平面的な装飾を施すのが普通だが、このような作もある。意匠は文様風である点は間の特質。意匠がいい。特に波の動きがいい。
波車図鐔 二子山則亮
則亮は柳生鐔の製作もしている。この鐔も柳生に倣ったもので、独創が加味されている。やはり意匠がいい。車は描かれていないが、波が車状に構成されている。明らかに波車だ。波の動きが車のように感じられる。
月下波濤和歌図鐔 佐藤義照
熊沢蕃山 「憂き事のなほこの上に積もれかし 限りある身の力ためさん」
尼子家再興の為に「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に祈った山中鹿之助の心に通じ、自らに試練を課したのが岡山藩の熊沢蕃山。
打ち寄せる波の表情がいい。装剣小道具では三日月と波を組み合わせた図をまま見かける。すべてがこの和歌を意味しているわけではないだろう。波の動きを剣術が示す意味に擬えていることも考えられる。
野路の玉川図鐔 高瀬栄壽
野路の玉川は萩の玉川ともいう。現滋賀県草津市野路。
源俊頼の「明日も来む野路の玉川萩こえて 色なる波に月宿りけり」が知られている。
朧銀地高彫色絵。
水の流れがいい。琳派の美観を通して表現されているが動的であり、しかも爽やか。和歌の通り水面に月。
早梅に鴛鴦図小柄 堀江興成
藤原定家自選歌集『拾遺愚草』に取材。
花鳥十二ヶ月図揃い小柄より十二月
花 「色うづむかきねの雪のころながら 年のこなたに匂ふ梅が枝」
鳥 「ながめする池の氷にふる雪のかさなるとしををしの毛衣」