2月3日、映画『サンセット・サンライズ』を鑑賞してきました。楡周平原作、宮藤官九郎脚本、岸善幸監督、菅田将暉主演のヒューマン・コメディ映画です。
2020年コロナでパンデミックになっていた頃、東京の大企業に勤めていてテレワークを行っていた釣りが大好きな青年・西尾晋作(菅田将暉さん)は三陸の町で売り出されていた4LDK家賃6万円の物件を見つけお試し移住をスタートさせますが、まだコロナが得体の知れない時期だったので距離を2メートルに保たないといけないとか町の人々に感染させたらいけないとかでその物件から出ないようにと大家の百香(井上真央さん)に忠告されます。西尾は町の人々と接触したらいけないけれど接触しない釣りをするだけならいいだろうと自己解釈し、2週間隔離生活の間、物件の家屋から抜け出して歩いて辿り着けた堤防でワクワクしながら海釣りを楽しむシーンからストーリーが進んで行きました。東京からやってきた青年・西尾の存在に町の人々は少しずつ気付いて行きます。西尾の純朴でお人よしそうな人柄がにじみ出ていて次第に東京からやってきたよそ者の若者が地元の人たちと仲良くなって行きます。また、地元が抱えていたいろいろな問題を体現して行く様が後半では描かれていました。震災、復興、時が経っても決して癒えることがない心の傷など三陸に暮らしている人々の思いと東京からやってきた青年が次第に寄り添い心を繋げて行く様が印象に残った映画でした。
西尾を演じる菅田将暉さんはこんなコメディタッチの役柄も上手に演技されているなあと思いながら見てました。東京からやってきた釣りが大好きなほんとに純な青年を上手に演じられてました。三陸の魚や料理を食べておられたシーンが何回も出てきたのですが、ホントに美味しそうに食べておられました。地元の住民だったパチンコが大好きなしげさん(白川和子さん)と仲良くなって行くシーンもよかったです。しげさんの家の前をクーラーバックと釣り竿を持ちながら海まで歩いていた西尾をしげさんが呼び止めて魚を差し出し「け!」という言葉を掛けられた後のしげさんと西尾の繋がり方がほのぼのしてましたね。百香を守るために結成された百香が好きな4人組の男たちの絆と西尾への接し方、山でクマに遭遇して逃げまとっていた西尾など笑いを誘うシーンもたくさんありました。西尾が百香の義理の父役の中村雅俊さんや百香と次第に溶け込んで仲良くなって家族のような存在になって行く様が自然だったのがほんわかしていてよかったです。コロナ禍になった最初の頃、2週間隔離とか安全な距離が2メートルだったことなどが映画の中で再現されていたのでそんな時期があったなあと忘れてしまっていたことにも気付きました。
海とともに暮らして来られた三陸の町が映画の中で出て来てよく漁港や防波堤などで釣りをしていた釣りが大好きだった父のことを思い出しながら見てました。
映画の中で出てきた絵は菅田将暉が実際に描かれていた絵が利用されていたのですね。歌もお上手だし絵を描かれ絵心も持たれているしいろいろな才能を持たれている方だったのだなあと改めて思いました。気になったのは映画HPのキャストにしげさん役の白川和子さんのお名前が全くなかったのはなぜだろうと思いました。見終えた後、見に来てよかったなあと思った映画になりました。
この映画の良さを上手に語っておられたコラムが映画のHPに掲載されていたのを読むとなるほどなあと思いました。こちらを読むとこの映画の内容がよくわかると思います。