愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

国指定重要文化財 日土小学校の見学についての注意

2012年10月20日 | 日々雑記
本日10月19日、国の文化審議会が八幡浜市立日土小学校の校舎を国の重要文化財に指定するように文部科学大臣に答申しました。

文部科学大臣といえば、田中眞紀子さんではないか。それも何か話題性があるなあ。

戦後の建築物としては4例目です。

一つ目は、丹下健三設計の広島平和記念資料館(広島市)

二つ目は、村野藤吾設計の世界平和聖堂(広島市)

三つ目は、ル・コルビュジエ設計の国立西洋美術館(東京都台東区)、

そして四つ目となるのが、大洲市出身で八幡浜市役所にも勤めていた建築家・松村正恒設計の日土小。

戦後木造建築では全国初。

そして現役の小学校校舎としても全国初となります。

この日土小学校の指定の理由については、文化庁からのプレスリリースが参考になるので、そちらをご覧ください。

また、日土小学校保存活動の経緯や最近の動向については、

「日土小学校を考えるネットワーク」が参考になります。


というわけで、国重文指定、めでたし、めでたし。おめでとう。と喜びたいところなのですが、

今後、危惧される点を一点だけ紹介しておきます。

それは、これだけ話題となった日土小学校。

この校舎を見学したいという方々が次々に来られる可能性があるということです。

現在、日土小学校は、一般には公開されていません。

それは現役の小学校だからです。

授業への影響があることから見学等を制限せざるを得ない状況なのです。

国の文化財となったものは、一般にすべて公開すべきだと思うかもしれませんが、

例えば、八幡浜市梅の堂の国指定、平安時代の仏像「阿弥陀三尊仏」も年1回の御開帳(公開)。

宇和島市伊達博物館に保管される国指定「豊臣秀吉像」も年約10日程度の公開が原則というように

有形文化財の仏像や、工芸品など、後世への保護、保存のために、文化財を常時公開しているわけではありません。

日土小学校には、現役小学校で、普通に学校に通って、そこで過ごしている小学生がいるわけです。

急に日土小学校に行って、見学したいといっても、学校での教育、運営がまずは第一であり、

そこに支障が出るような見学行為は、慎まなければいけません。

では、「公開」はどうなっているのかというと、

八幡浜市教育委員会では、平成21年から

学校が長期の休みとなる夏休み、冬休み、春休みに定期的に見学会を開催しています。

これが、今後は、文化財の公開日となると言ってもいいのかとも思います。

次回は、冬休み12月30日(日)午前9時~午後4時。

その次は、春休み3月31日(日)午前9時~午後4時。

その次は、来年の夏休み。

というように、他の国指定文化財に比べても、年3回の見学機会があるというように

比較的、公開性は配慮された状態といえます。


先日の「2012年ワールド・モニュメント財団 ノール モダニズム賞」受賞に続き、

全国的な話題となった日土小学校。

児童が、ここで日常の学校生活を営んで、そして成長することが設計者の松村正恒の思いでもあり、

それこそが、今回の文化財の指定、保護、保存の求められた意義だとも思います。


以上、今日のニュースを拝見して、「すぐに見に行きたい!」と思った方も多いかと思いますが、

現役小学校であることをご配慮いただき、

見学は、定期的な公開日を待ちましょう。



公開(見学会)については、こちらの八幡浜市役所ホームページをご参照ください。

http://www.city.yawatahama.ehime.jp/03jyouhou/syugaku/hiduti/hiduti.htm