南海日日新聞に連載中の「八幡浜地方の民俗誌」(2001年1月25日付け)に「姫塚とらい病」を執筆した。これは、地元のらい病(ハンセン病)に関する伝承を紹介する内容であったが、実はこの文章を執筆しようと思い立ったのは、1月13日付の毎日新聞の記事を読んで、憤慨したからであった。
記事の内容は、戦後間もなく、らい予防法による患者の隔離政策を継続するかどうか国が検討した際に、戦前段階には既に特効薬がアメリカで発明されていたにもかかわらず、らい病に関する権威である医師が、引き続き隔離政策の継続を求めた発言をし、そのまま1996年までその政策は続いてしまったといった内容である。差別も甚だしく、近年の薬害エイズ問題を彷彿とさせられた。(らい病の隔離政策については、三宅一志氏の『差別者のボクに捧げる』が詳しく、これはらい患者の苦難の人生をルポした内容である。)
らい患者に限らず、障害者や非差別の問題については民俗学では、従来取り扱うことが少なかった。近年は、近畿地方を中心に、被差別の民俗伝承が報告されているが、差別の根絶を目指す手段として、地元の民俗伝承の発掘と、その分析を行わなければいけないと思っている。
森首相の「日本は神の国」という発言に象徴されるように、日本はいまだ、近代に成立した国家神道的な思想が根強く、未だ「排他」「排除」の社会構造が残っている。
これを地域の伝承文化の論理構造の分析を通して、一度、近代的思想を突き崩し、21世紀にふさわしい、あらたな日本的社会構造を創造するべく、民俗学は貢献しなければいけないと思っている。
2001年02月22日
記事の内容は、戦後間もなく、らい予防法による患者の隔離政策を継続するかどうか国が検討した際に、戦前段階には既に特効薬がアメリカで発明されていたにもかかわらず、らい病に関する権威である医師が、引き続き隔離政策の継続を求めた発言をし、そのまま1996年までその政策は続いてしまったといった内容である。差別も甚だしく、近年の薬害エイズ問題を彷彿とさせられた。(らい病の隔離政策については、三宅一志氏の『差別者のボクに捧げる』が詳しく、これはらい患者の苦難の人生をルポした内容である。)
らい患者に限らず、障害者や非差別の問題については民俗学では、従来取り扱うことが少なかった。近年は、近畿地方を中心に、被差別の民俗伝承が報告されているが、差別の根絶を目指す手段として、地元の民俗伝承の発掘と、その分析を行わなければいけないと思っている。
森首相の「日本は神の国」という発言に象徴されるように、日本はいまだ、近代に成立した国家神道的な思想が根強く、未だ「排他」「排除」の社会構造が残っている。
これを地域の伝承文化の論理構造の分析を通して、一度、近代的思想を突き崩し、21世紀にふさわしい、あらたな日本的社会構造を創造するべく、民俗学は貢献しなければいけないと思っている。
2001年02月22日