愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

西予市城川町の茅葺き「茶堂」

2011年05月28日 | 民俗その他
西予市城川町に残る茅葺きの文化遺産「茶堂」。
この文化的価値と、保存・継承について、twitterで紹介しました。
最近、問い合わせが多い「茶堂」の保存・継承の問題。
twitterで、簡単にまとめています。

http://twitter.com/#!/nanyotv



【追記】本日、某広報誌の編集者さんから「茶堂」に関する取材を受けました。少し前に、時間が経って、そのつぶやきが検索できないとのご指摘もありました。確かに3年以上経つと自分でも検索できせんでした・・・。バックアップしていたつぶやきの中から、2011年5月に「茶堂」関連のものを以下、列挙しておきます。(2014年10月21日)



110516 081009(←2011年5月16日8時10分09秒のつぶやきのことです。以下同じ。)
城川町に50箇所以上ある茶堂。年々、茅葺き屋根から瓦葺に改修され続けている。このままでは景観が崩れて、城川が城川でなくなってしまう。茅葺き技術継承ネットワークづくり急務。地元集落では技術がなくて瓦葺を選択している。西予市の貴重な地域遺産の危機的状態と城川を通るたびに感じる。

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城川町の茶堂は昭和43年に緊急民俗調査で文化庁調査官田原久さんが全国的にも貴重だと評価し、「伊予の茶堂習俗」として昭和53年に国選択民俗文化財になっている。ただ、習俗だけが文化財になったと解釈し、その場・舞台である茅葺き茶堂は「文化財」ではないものとして使われてきた経緯がある。

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愛媛には茅葺き職人が少ないと言われる。でも、城川の隣の高知県梼原や東津野には茅葺きの改修経験のある技術者がいる。愛媛でも先日、東温市で茅葺きワークショップが行われている。材料もまだ茅グロが残っているように全くない訳ではない。技術も材料もあるかないかはネットワーク有無の問題だ。

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平成15年に国の文化財「重要文化的景観」の導入にあたっての事前調査報告書があるが、その中に城川の茶堂景観も「重要地域」として掲載されている。周囲の棚田景観も含めて、茅葺き茶堂は、宇和島遊子水荷浦につづいて国の重要文化的景観に選定されるだけの価値がある。

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茅場があったとしても、その刈り出しなどの労力は過疎化、高齢化の「限界集落」ではできないと嘆く。しかし、野村町惣川の土居家で茅葺き改修した際には、地元中学生が総出で手伝った。この経験は素晴らしい。昔ながらの「結」「出夫」の地縁を中心に、外にネットワークを構築すれば不可能ではない。

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茅葺きの全国ネットワークといえば、全国茅葺き民家保存活用ネットワーク協議会。いま事務局は日本茅葺き文化協会。6月4日から鹿児島県で茅葺きフォーラムがある。 http://www.kayabun.or.jp/katsudou.html

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西予市が合併して5年が過ぎたが、茅葺き茶堂などの城川独特の文化遺産が西予市内でも未だ市民に周知されていないのかもしれない。西予市内そして県内・全国へ向けて、その情報発信の機会は設けないといけない。

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旧城川町民でも、今まで「当たり前」・「自明のもの」と思われてきた茅葺き茶堂。文化遺産の価値を再認識し、未来への保存・継承の契機とする取り組みは必要だ。城川の住民の「郷土意識」を今一度、強く抱く契機とし、新たな「地域おこし」の活性化を期待したい。

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本音をいえば、茅葺き茶堂の記録会•保存に尽力してきた西岡圭造先生思いを継承し、文化財関係者の若返り(次世代の担い手育成)が必要だ。宇和や野村では史談会等の組織が充実しているが、城川でも地域づくりネットワークは充実しているから、社会基盤は充分。あとはビジョンとスキルだ。

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愛媛・西予市の茶堂。一間四方の方形で屋根は茅ぶきまたは、瓦ぶき。三方を解放し、正面の奥一方のみが板張りでそこに石仏等が祀られる。まつられている石仏は大師、地蔵、庚申像などである。文化財(建造物)としても有形民俗文化財としても価値がある。

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愛媛・西予市では、昔は旅商人、通行人が歩きつかれて「茶堂」で憩い、地区の人々から茶の接待を受けた。旧七月一日から月末まで毎日各戸輪番に出てお茶を沸かし、通行人や地区の子供たちに接待をした。これが茶堂の呼び名の由縁とである。   →文化財「国選択民俗文化財」としての価値

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愛媛・西予市の「茶堂」。「おこもり」と言って地区中の家族総出で茶堂に集まり、酒宴を開き話し、唄う懇親の場、情報交換の場であった。地域のコミュニティセンターとして機能していた。現在でも虫送りなど様々な年中行事が茶堂を舞台として行われており、国選択無形民俗文化財となっている。

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愛媛・西予市城川町や野村町に残る茅葺きの茶堂は、建造物としても民俗文化財としても文化的景観としても貴重な地域遺産。地元に住んでいるとこれが「当たり前」で価値に気づきにくい。この茶堂の保存や茶堂にまつわる文化の継承には、まず茶堂の存在価値を改めて見つめ直す作業が必要である。

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愛媛・西予市の茅葺き「茶堂」。地元に茅葺き職人がいない。材料がない。そこで瓦葺きに改築されているが、職人は隣町の高知県梼原町にもいるし、全国の茅葺きネットワークは構築されていて、その中に愛媛も入っていく必要がある。職人や材料の問題は、地元だけで解決できるものではない。

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西予市茶堂整備事業補助金交付規程。「市内に所在する茶堂を修復するために実施する茶堂整備事業に要する経費に対し、市が補助金を交付することにより、永く後世に重要な民俗文化財を保存継承することを目的とする。」とある。この規程の「修復」「保存継承」の精神が遵守されることを願うのみ。



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