宇和島市立図書館に、大正14年11月に大和映画が製作した映画フィルムが保管されてある。平成11年に私は図書館を訪れ、このフィルムを実見することができた。このフィルムは、北白川宮大妃殿下が当時、宇和島に来られた時の記録で、宇和島の人々が妃殿下を迎えるために、様々な行事を行い、その様子が記録されている。鶴島公園にて南予名物を台覧される様子は祭礼資料として実に貴重なものだった。大正時代の牛鬼、四ツ太鼓、獅子舞、八ツ鹿踊りが映像として残っているのだ。戦前に廃れてしまった凱旋桃太郎まで映ってあった。八ツ鹿踊りの説明テロップでは「起源は遠き神代の神秘を伝えて優艶に情想は歌詞にあふれ、畏しくも東宮殿下台覧の栄を賜りたる郷土芸術の誇り」とある。現代の言説である、仙台からの伊達家の入部によって伝わったとは決して説明していない。
和霊土俵での闘牛のシーンも映っており、昭和4,5年の昭和恐慌で闘牛が一時衰退する以前の活気のある時代の姿が見ることができる。宇和島の民俗を考える上で、実に貴重なフィルムである。
2001年02月20日
和霊土俵での闘牛のシーンも映っており、昭和4,5年の昭和恐慌で闘牛が一時衰退する以前の活気のある時代の姿が見ることができる。宇和島の民俗を考える上で、実に貴重なフィルムである。
2001年02月20日