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地域おこし協力隊に強制――南伊勢町の官製塩づくり

2017-09-07 20:23:00 | リポート


地域おこし協力隊に強制――南伊勢町の官製塩づくり
機械だけが残り、雇用はゼロ

М政策監の夢物語

Ḿ氏は三重大から派遣されて南伊勢町長を補佐する政策監として、平成27、28度の2年間「地方創生」に携わった。Ḿ政策監は、平家の落人の里と伝わる南伊勢町の竈方地域の地域おこし事業計画について「竈方祭りだけでは弱いので、他のストーリーもくっつける必要があるな」と塩づくりを計画した。祭りは一過性的であるから、特産品と雇用の創出として塩づくりが発案された。  しかし、このストーリーは、竈方地域住民の要望に基づくものでもなかったし、技術面、採算面での事前の検討がない全くの夢物語だった。

調査しないで計画策定

平成28年3月に策定した計画は、平家の落人の塩づくりを古式に忠実な形で復活させるとして、海水を汲んできて薪で炊いて塩をつくるというものだった。しかし、二見の神宮に塩を奉納する製塩所を見て、この方式では無理だとして、機械で海水を濃縮し最終段階だけ薪で塩にする方式に変更することを平成28年10月になって役場は表明している。技術的な調査を全く行うことなく計画を作っていたのである。

出来ない計画を協力隊に押し付け、パワハラ

塩づくりの担い手に予定されたのは、竈方7地域の区長で構成する竈方文化保存振興協議会と地域おこし協力隊の2名の女性だった。平成28年7月に就任した協力隊には、竈方祭りへの協力などとともに、塩づくりがのしかかった。計画通り、海水を薪で炊いて塩にする方式での塩づくりである。若い女性2人の手に負える仕事ではない。協力隊は、町内で塩づくりをやっている人を訪ね、聞き取りもしたうえで、「協力隊は直接塩づくりをやるのではなく塩づくりをしている人をサポートする」との提案を役場にした。ところが、役場は
「協力隊が塩をつくる計画になっている」との一点張りだった。
役場が塩づくりの調査もしないで、できもしないことを強制したことは、パワハラである。協力隊を見下して、「地域おこし協力隊が塩をつくって配る計画になっている」とまで言った。

従事希望者がいないのに塩づくりの機械購入

平成28年10月、役場は第7回竈方文化保存振興協議会の席上、区長に塩づくりを持ちかけた。薪で塩をつくる方法では困難なので、塩水を機械で濃縮し、最終段階を薪での製塩にする。どこかの区でやらないか、手を挙げてほしいと提案した。
ところが、この機械で海水を濃縮する方法については、実際に取り組んでいるところを現地視察した結果に基づく提案ではなかった。手を挙げてほしいと提案しながら、実際にやっている和歌山には、今後見に行こうかなと考えているという無責任な提案だった。
平成28年12月、役場は塩水濃縮の機械を購入する了解を第10回竈方文化保存振興協議会に求めた。塩づくり体験をやっている前浦振興協議会と竈方のコラボで、竈方の塩、塩づくり体験ということにしたいということだった。コラボというが竈方では、塩づくりに取り組む人がいない状況で、竈方の名が使われただけだった。(機械代金は240万円)

雇用はゼロの無駄遣い

竈方地域の雇用を目的にした塩づくりは、機械を購入しただけで、雇用はゼロである。2020年には、高齢者の雇用者を30人にするとの目標は、宙に浮いている。
平成29年5月25日、「南伊勢町平成29年度第1回まち・ひと・しごと創生総合戦略検証会議」が開催され、外部有識者5人と町当局による「検証」なるものが行われている。塩づくりについて委員長は「塩の製造場所について、本格的に古式を追求していくことをあきらめてはいけない」と述べ、町が竈方の塩づくりに「本格的に」取り組むことを求めた。南伊勢町役場の塩づくりの夢物語は終わっていない。


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