旅から帰った翌々日、母のところへ
あれ～～どうしたの～
わかりません・・・
いやいやわかりませんて・・・
今日は美味しい柿を持ってきたから、食べようよ！
首イヤイヤ
食べないの？
はい、いりま＃＆％＄
そうだ！パジャマ買ってきたよ、ホレホレ
旅行中に姉が
なんだかパジャマが古くなってきたのよ
じゃ次行く時に買っていくよ
と介護用のパジャマを買ってきたのだ
ほら、可愛いでしょ～
あら～可愛い
その時は笑顔になったけど・・・
この日は私の強引なお誘いにも乗ってこず・・・
スタッフさんが
あら～〇子さん寝てるんですか～
でも、朝食は残さずしっかり食べましたよ
そうか、朝食は食べたなら良しとしよう
またね
数日前、母のところへ
食堂にいた母に、こんにちは～
あら～～どちら様？（笑ってはいるけど）
虎屋の羊羹持ってきたからお部屋で食べよう
あっら～～ いいわね
こんなに喜んだ母は久しぶり
お皿持っていくの忘れた
お母さん、虎屋の羊羹だよ
虎屋？
ほら、赤坂に本店がある（いらぬ情報）
・・・
あら、美味しいわね
お父さんも甘いもの好きだったもんね
そうだったかしら？
そうだよ 夕食の後は必ず甘いもの食べてたじゃない
・・・
これ、美味しいわね
良かった～～
美味しい事はいい事だ
10月だと言うのに夏日
半袖Tシャツで母のところへ行く
椅子に座ったら汗ダラダラ
母もいつもより薄着
でも、私の半そで姿を見ると
あなた、寒くないの？
いやいやお母さん、今日は夏日だよ
あらそうなんですか・・・
”＃％＄！＆％’＄ですよねぇ
楽しいですねぇ
そうだねぇ
何が楽しいんだか
スタッフが
ちょっとお話していいですか？
実は昨日の食事中に、お味噌汁をこぼした
怪我はしていないが
今後、食事の時の器を取っ手付きにしようと思うがいいか
とのこと
握力も低下してくるんだなぁ
スタッフがいろいろと考えてくださるので助かります
この頃は会話も難しいので
テレビを見ながら
美味しそうだねぇ
美味しそうですねぇ
とか
綺麗だねぇどこかな？
綺麗ですねぇ
とか
喋るようにしている
でもそれだけでも楽しそう
ニコニコしていればそれで良し
部屋に着くとスタッフがいて
寝ていた母を起こしてくれた模様
こんにちは～
あらよく来たわねぇ
今日はお菓子が無かったから、果物を持ってきました
あら～嬉しいわ～
あなたのお連れ合いさんはどうしているの？
んっ？ 元気だよ 家で留守番してる
あらそう それは良かったですね
母の前では、夫はまだ元気
今日も家に帰って夫の昼食を作る・・・ていでの会話
もうさ、ご飯作るの飽きた、人が作ったご飯が食べたいよ～
母、何度も爆笑
私も田舎に帰ろうかな・・・って思ってるの
向こうにはおじさんやいとこもいるし・・・
それもいいんじゃない
最後は生まれたところへ戻りたくなるの？
ではまたね
三連休初日だって気づかなかった
もう・・・どこも渋滞 
首都高も事故らしく、一般道で進むが、どっこも同じ
いつもなら1時間で着くはずが・・・2時間 
母、すでに食堂で昼食待ち
こんにちは～
あら～今着いたんですか？
そうそう
もうね、渋滞しちゃって大変だったよ
それは良かったわね～
いやいや時間が掛ったから良いことないよ
あらそう
今までになく、ショートヘアになっていた母
髪の毛切ったのね、まとまってていいじゃない
そうですか？
なんて話していると
食事が運ばれてきた
今日は秋刀魚の炊き込みご飯とお味噌汁と副菜3品
わ～美味しそうだねぇ
あなたの分は？
私は食べて来たから大丈夫（本当はお腹ペコペコ）
お母さん、どうぞ召し上がれ
そうなの・・・じゃあいただきます
お箸持ってきてもらえば？
少しづつ一緒にお食べなさいよ
私はお腹いっぱいなのよ
あらそうなの
これの繰り返し
結局、午後の予定があるので３０分位でお暇した
帰りの車中
お腹ペコペコな私は、母と食べようと持って行ったクッキーを食べた
あ～～秋刀魚の炊き込みご飯食べたかった～～
用事が重なり行かれず、一ヶ月ぶりに母のところへ
どんな感じになってるのか・・・不安だわ
こんにちは～
やっぱり・・・ベッドで寝てる
こんにちは～
起きない
しつこく声を掛け、やっと目を開ける
どうしたの？具合悪いの？
！”＄＃＆％’・・・・
意味不明
美味しいお菓子持ってきたから食べようよ
＃！＄＃＆％’”・・・
え～そうなの！？（分かってない）じゃあとにかく起きてみる？
ごり押し
あら・・・起きて来たよ
でも、なんだか元気が無いなぁ
指輪もユルユルになってるし
でも
お菓子を食べながら、話し始めると
おや、笑顔も出て来た
もちろん内容は意味不明
これでいい 
1時間後
食堂へ連れて行き、スタッフと会話
〇子さんはまだお元気ですよ
お食事もしっかり召し上がっていますし
こうやってご自分で動けます
洗濯物もご自分で片付けています
先週お姉さまがいらしたときは
起きたくない と仰ったみたいです
ごり押し大成功
やっぱり途中で渋滞
友達がくれた桃が美味しかったから、持ってきたよ
あら～～、わざわざありがとうございます
スタッフが
お皿とか持ってきましょうか？
大丈夫です、持参してます
甘くておいしいわね～
良かった良かった
食べ終わって 
忘れている事に気づく
母はあれこれ話していたが、全く理解できず
それでも元気そうなので一安心
また来るね
一昨日蓼科から帰宅
11時頃出発、蓼科は21℃
談合坂SAはすでに34℃ となると、食べたくなる
（一口食べてから）
翌日、母のところへ
夏祭りがあるらしい
談合坂で買った『きみのまま』を食べながら
視力はしっかりしているようで
数メートル先のこの色紙を何度も読む
上手に書けているわねぇ
そうだねぇ
ちょっと話題を変えようと
（父の写真を指差し）お父さんの名前はなんだっけ？
う～ん、忘れちゃったわ
〇〇だよ
そうだったかしらねぇ
では！私の名前は何でしょうか？
う～ん
waiwai
わっはっは～～（爆）
ちょっと～～
なんで私の名前聞いて笑うのよ～～
だって～楽しいんだもの～
わっはっは～～（爆）
私の仕事完了
首都高が渋滞しているようで、ナビが一般道をお薦めしてくれた
しかし、こういう時は一般道も混んでいる
1時間半かかり到着
食堂にいた母
私の顔を見ると、嬉しそう
でも敬語
部屋に戻り
ボケボケ
父の話になり・・・
威張ってたけど、優しかったよね
そうだったわねぇ
でも、この頃全然帰ってこないの
あの人とはそんなに長く暮らしてないし・・・
いやいや60年以上一緒に暮らしてたよ
あらそうだったかしら・・・
しかも、10年以上前に亡くなってるんだから
帰ってきたら怖いじゃない・・・
え～～そうだったの！
帰ってこない寂しさのままと 亡くなったと驚かせるのと
どっちがいいんだか
今日あなたが来てくれるんだったら、どこかへ連れて行ってもらえば良かったわ
そうだねぇでも外は36℃！外出はちょっと無理かも
夏が終わったら、また食事をしに行こうよ
食堂まで頑張って歩きましょう
男性スタッフが
〇子さん、今日も素敵なお洋服ですね
と声掛けしてくれる
またね
こんにちは～
ドアを開けると
洗濯物を片付けているスタッフとベッドで寝ている母
あら～よく来たわね
お菓子持ってきたから起きてください
なぜか枕もとには帽子（冬用）
きっとこの頃は寝ている時間が増えているんだろうね
さあさあ食べよ！
あら～美味しそう
さっきとは違うスタッフが来た
お嬢さんが来ている時に申し訳ないんですけど
昔の話を〇子さんからお聞きしたいんです
楽しかった事とか若かった時の話を思い出しながら話してください
途端に私の顔を見て、助けを求めるような母
いやいや、お母さん 自分の口で話してよ
だって、あなたは私の事を良く知っているじゃない
私の名前や娘だという事は忘れているのにね
あなたが話してちょうだい
そういうわけにはいかないよ
その後
日々、どういう生活をしていたか
趣味は？仕事は？こだわりっていたことは？等々
質問されるたびに私の方を見る母
そのたびに
ほら、〇〇だったじゃない？ とヒントを出すが
思い出したり出さなかったり・・・
〇子さんはいろんな方が面会にいらっしゃるけどお付き合いがあるんですね
昔は良く集まったよね～
はい、家には良く人が集まりました 楽しかったです
でもこの頃はみんな来なくなりました
仕事をしていても、食事作りは手を抜かなかった
晩年はプールに通っていて友人達と楽しんでいた
実家はいつも綺麗にしていた
あ～だから今でもご自分の身の回りは整理しているんですね
実家を処分した時に洋服がたくさんあった
だから今でも、着るお洋服はご自分で選びたいんですね
その後も、ギャンブルは？お酒は？ペットは？
とか
母個人のカルテ（？）に、細かい字でびっしり書かれていた
お話を伺ってみると
〇子さんが穏やかで周りと仲良くされている理由が分かりました
でもご自分の意志もおありで、お風呂に入りたくないの
とおっしゃる時は本当に入りません
はい、頑固一徹です
なんだか、親子の立場逆転の『学校の面談』のようで
ただ、ちょいちょい挟んでくる
この頃はみんな来なくなりました・・・
の 言葉に母の寂寥を感じる
20分位の受け答えが終わり、スタッフが戻ったとたん
あ～なんだか疲れちゃった、ちょっと横になりたいわ
じゃあちょっと寝ま～～す
緊張してたの？
またね～～
ナビで10分位しか違わないので、高速を使わず一般道で帰宅
環八途中で工事車両が止まっている個所があり、大渋滞
1時間で帰れるところが2時間近く掛る
参った～
