1時間半で到着
姉はすでに到着
無事に荷物も収まり、
まずは腹ごしらえ
食堂のスタッフが、母に細かく教えてくれ、先住の方々に母を紹介してくれる
6月になり、引っ越してきている方も多いらしい
やっぱり暑くなる前にってことでしょうか
お泊りの私は
夕飯も食べ、大浴場にも行く
食事は、本当に美味しい
私がよく言う「よそのお母さんのご飯」を食べてる感じ
食堂やお風呂で自己紹介をする時「92歳です」と言うと
その時点で相手は受け入れてくれる
「齢を言う作戦は有効だね」
来る時は泊まるつもりなので、姉にマットと低めの枕も購入してもらう
母は、覚えなくちゃならない事が山積み
部屋の鍵の開閉
実家は縦に入れる→横に入れる
エレベーターに乗り慣れてない
乗ると行き先階を押さず椅子に座る
「お母さん、これじゃミイラになるまで移動できないよ」
部屋から出る時に、ドアの鍵を開けられない
そんなに難しい鍵では無いのに・・・かなり手こずる
「これじゃ、食事の時間に間に合わなくて、腹ペコで倒れちゃうよ」
部屋から移動する時、私は黙って母の2メートル後ろを歩く
私に頼りたい母
「そうね、自分で行動しなくちゃね」
「そう、そういう事!」
インターフォンの使い方や、生活に関する事項は・・・大きく書いてとにかく貼る
あれこれ用事が重なり・・・
=10日後訪問=
鍵開閉
エレベーターも
おっ!頑張ってるね
「この頃4時くらいにはお風呂に入っちゃうの、その方が夜が楽でいいのよ」
「よそのお部屋にお呼ばれしたのよ~もうね、荷物がいっぱいだった」
「家に帰ってきたら、すっきりしていてホッとしたわ」
「皆さんもスタッフもいい方で、親切にしてもらっていて、私は本当に幸せよ」
食事の時にご一緒する方も数人出来たそうで・・・
そう言えばこのマンション、もちろん母が最高齢
70~80歳代の方が多く、皆さんはつらつとしている
テニスクラブやプールに通ってる方や、たぶん60歳代後半(推測)の男性は通勤してるようだ
女性一人の方が多く、食事の時は「ご一緒させて」と数人で楽しそうに食べている
その反面、夫婦で入居されている方達は、話もせず黙々と・・・
「来週は来ないよ、今度は10日後ね」
「大丈夫よ~」
やれやれこれで一安心
の 3日後の朝、スタッフからの電話
「朝起きたら手が切れていたそうで、これから病院に行きます」
んん
「10針縫いました」
ひゃ~
その日の午後には姪夫婦が訪問、お昼を食べに外出し転倒
ってことで、
行く予定では無かったけど、これから母の所へ行ってきます
もちろんお泊りで
= ご報告 =
「朝起きたら、シーツに血が付いていて、何かと思ったら
左手親指下の膨らんでいるところが、バックリ切れていたの
痛みは無いのよ
絆創膏を張って朝食を食べに行ったら、スタッフが気が付いて病院に行ったってわけ」
「あっそう」
「で、〇〇が夫婦で来てくれたから、お昼を食べに外に行き、どっかで転んじゃったのよ~」
「はふぅ・・・」
午前中に10針も縫い、血圧も上がってふらついてたようだ
高校生の夏 友人が、庭を歩いていて何かにつまづいて転んだ
手のひらに付いた砂を払っていたら・・・膝パッカリ
痛さも出血も無いのに・・・パッカリ
「何針も縫って遊びに行けなかった~あれはかまいたちだ」
「かまいたち?」
「真空状態の空間があって、そこに踏み入れたらパッカリ・・・なんだって!」
「ヒャ~怖~~い」
夏休みが終わり先生に「嘘おっしゃい!あなた、男子のバイクに乗って事故を起こしたんでしょ!!」
と言われ、激怒していたっけ
だから、私は母の傷は「かまいたち」だと思っている
左ひじの擦り傷は日にちが立てば治るでしょう
「血の付いたシーツは?」 「洗ったわよ」
「それから、今日あなたが来るから布団干しておいたわ」
「その手で」
「全然大丈夫よ~」
「あっそ」
3週間目の母の日常はというと
「本当にここに入って良かったわ」
「美味しい食事を頂いて、気楽に生活できて、私は幸せだわ~」
「そうかい そうかい」
表情も穏やかになり、落ち着きを取り戻したようだけど
探し物はまだまだ続いているし
でも
「今度来る時に、爪切り持って来てくれない?爪が伸びちゃって・・・」
「爪切りは小さい引き出しの下の段、見てごらん?」
「ひゃ~あったあった!あなた凄いわね~この部屋の事何でも知ってるねぇ」
「知ってまっせ~~」
軌道修正を兼ねて、訪問は続く