原発推進も米の圧力
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-08-26/2012082603_01_1.html2012年8月26日(日)しんぶん赤旗電子版
原発ゼロを求める国民の世論と運動が高揚する中、野田内閣・民主党は、関西電力大飯(おおい)原発の再稼働を強行し、原発に固執する姿勢を示しています。
その背景には、原発推進を強く求める財界とともに、アメリカの圧力があります。
■原子炉 輸出狙う
第3次アーミテージ報告
(写真)アーミテージ報告
日本政府のエネルギー・環境戦略が策定されようとする中、アーミテージ元国務副長官らがつくる米超党派の専門家グループは15日、原発ゼロへの動きをけん制する対日提言をまとめた報告書(第3次アーミテージ報告)を公表しています。
「アーミテージ報告」の発表は2000年、07年に続き3回目。集団的自衛権の行使や有事法制の整備、憲法改悪の要求など、日米同盟強化のための青写真と露骨な対日提言を繰り返し発表してきました。
今回の報告は、エネルギー安全保障を前面に押し出した点に最大の特徴があります。その最初に挙げられているのが、原子力エネルギーの利用です。
野田佳彦首相が世論の強い反対を押し切って大飯原発2基を再稼働させたことに触れ、「正しい、責任ある一歩だ」と評価。勧告では20年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を1990年比で25%削減する日本の国際公約をはたすためには、「原発再稼働は唯一の道だ」と言い切り、「原子力は日本の包括的安全保障の絶対に必要な要素」と位置づけています。
同報告が掲げる他のエネルギー源は天然ガスとメタンハイドレートのみ。米国経済に有利なエネルギー源を誘導するとともに、日本の再生可能エネルギーの可能性を排除したものになっています。
なぜ米国は日本の原発にこだわるのか。報告が重視するのは、海外への商業用原子炉の売り込みです。開発途上国が原子炉の建設を続ける中で日本の原発が永久停止することになれば、「責任ある国際的な原子力開発が頓挫(とんざ)する」と指摘。中国が将来的に国際市場の売り手に台頭するとの見方を示した上で、日米は商業用原子炉推進に「政治的、経済的に共通の利益をもっている」としているのです。
これに倣うように、福島第1原発事故後も民主党政権が一貫して前のめりの姿勢を示してきたのが、商業用原子炉の輸出です。ヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムへの原発輸出を進めるため、4カ国との原子力協定が国会で承認されたのは、昨年12月です。
■協力体制着々と日米二国委員会
「原子力エネルギーの平和的、安全・安心な利用といったエネルギーに関する協力と、エネルギー安全保障に関する協力に対し、コミット(誓約)することを確認する」
野田首相は5月1日、米国のオバマ大統領と会談し、こんな共同声明を発表していました。国内では「脱原発依存」といいながら、圧倒的な国民が反対する原発の再稼働や、「原子力エネルギー利用」の推進方向に舵(かじ)を切ったのです。―中略
政府が新たなエネルギー・環境戦略の策定を進める中、民主党も「エネルギー・環境調査会」を設置(24日)。9月上旬にも結論を出すとして、原発政策の論議の取りまとめに入りました。参加議員の一人は、「脱原発依存という方向を出しながら、米国との原発・技術輸出で協力するというのはおかしい。アメリカとの協力関係についても議論するべきだ」と指摘します。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-08-26/2012082603_01_1.html2012年8月26日(日)しんぶん赤旗電子版
原発ゼロを求める国民の世論と運動が高揚する中、野田内閣・民主党は、関西電力大飯(おおい)原発の再稼働を強行し、原発に固執する姿勢を示しています。
その背景には、原発推進を強く求める財界とともに、アメリカの圧力があります。
■原子炉 輸出狙う
第3次アーミテージ報告
(写真)アーミテージ報告
日本政府のエネルギー・環境戦略が策定されようとする中、アーミテージ元国務副長官らがつくる米超党派の専門家グループは15日、原発ゼロへの動きをけん制する対日提言をまとめた報告書(第3次アーミテージ報告)を公表しています。
「アーミテージ報告」の発表は2000年、07年に続き3回目。集団的自衛権の行使や有事法制の整備、憲法改悪の要求など、日米同盟強化のための青写真と露骨な対日提言を繰り返し発表してきました。
今回の報告は、エネルギー安全保障を前面に押し出した点に最大の特徴があります。その最初に挙げられているのが、原子力エネルギーの利用です。
野田佳彦首相が世論の強い反対を押し切って大飯原発2基を再稼働させたことに触れ、「正しい、責任ある一歩だ」と評価。勧告では20年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を1990年比で25%削減する日本の国際公約をはたすためには、「原発再稼働は唯一の道だ」と言い切り、「原子力は日本の包括的安全保障の絶対に必要な要素」と位置づけています。
同報告が掲げる他のエネルギー源は天然ガスとメタンハイドレートのみ。米国経済に有利なエネルギー源を誘導するとともに、日本の再生可能エネルギーの可能性を排除したものになっています。
なぜ米国は日本の原発にこだわるのか。報告が重視するのは、海外への商業用原子炉の売り込みです。開発途上国が原子炉の建設を続ける中で日本の原発が永久停止することになれば、「責任ある国際的な原子力開発が頓挫(とんざ)する」と指摘。中国が将来的に国際市場の売り手に台頭するとの見方を示した上で、日米は商業用原子炉推進に「政治的、経済的に共通の利益をもっている」としているのです。
これに倣うように、福島第1原発事故後も民主党政権が一貫して前のめりの姿勢を示してきたのが、商業用原子炉の輸出です。ヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムへの原発輸出を進めるため、4カ国との原子力協定が国会で承認されたのは、昨年12月です。
■協力体制着々と日米二国委員会
「原子力エネルギーの平和的、安全・安心な利用といったエネルギーに関する協力と、エネルギー安全保障に関する協力に対し、コミット(誓約)することを確認する」
野田首相は5月1日、米国のオバマ大統領と会談し、こんな共同声明を発表していました。国内では「脱原発依存」といいながら、圧倒的な国民が反対する原発の再稼働や、「原子力エネルギー利用」の推進方向に舵(かじ)を切ったのです。―中略
政府が新たなエネルギー・環境戦略の策定を進める中、民主党も「エネルギー・環境調査会」を設置(24日)。9月上旬にも結論を出すとして、原発政策の論議の取りまとめに入りました。参加議員の一人は、「脱原発依存という方向を出しながら、米国との原発・技術輸出で協力するというのはおかしい。アメリカとの協力関係についても議論するべきだ」と指摘します。