月のカケラと君の声

大好きな役者さん吉岡秀隆さんのこと、
日々の出来事などを綴っています。

吉岡刑事物語 その6

2008年07月31日 | もしものコーナー 吉岡刑事物語


国境の長いトンネルを抜けると、


“ え~、ただ今この電車は日暮里を出まして~ 次は~ 
アンドロメダ~ アンドロメダに到着いたし~ます。
お出口は進行方向~ どんとこい~。 ”


そこは宇宙だった。顔の色が青くなった。


ゴ: さすがのナレーションだな。 五臓六腑にしみわたる声だ。
聞かせるね~。もしかしたら学生時代、語り部の部長だった? 
ほら、弁当とお茶だ。デザートに冷凍みかんも買ってきたぞ。 
さ、食べよう。ん? どうした、そんな豆鉄砲をくらったような顔をして?

吉: ゴリさん、僕は今どこにいるんですか?

ゴ: さっきのアナウンスを聞いただろう? アンドロメダの近所だよ。

吉: でも今さっきまで僕らは日暮里に。。。。

ゴ: 細かいことは気にするな。お前は任務のことだけ考えていればいい。
それがデカってやつだ。昔、お前の親父さんがオレによくそう言っていた。

吉: 父さんが?

ゴ: あぁ、そうだ。 やたらと影響力のある人だったよ、お前の親父さんは。
オレはな、いまだに靴屋で気に入ったものを見つけるとそれを手にとって、
「これが最高。」
って言ってしまうんだ。 インパクトのゴロー、と呼ばれてもいたっけな。
若い頃は青大将でもあったらしい。おいおい、どうしたっていうんだよ、
今度はそんな沈んだ顔をして?

吉: それに比べて僕はまだ何も・・・・・僕は父さんの・・・・・
本当の息子じゃないのかもしれない。。。

ゴ: どうしてそれを知っている?

吉: えっ?!

ゴ: 実はお前には出生の秘密があるんだ。いいか吉岡、驚くなよ?
わぁあああああっ????!!!!!!!

吉: どうしましたっ、ゴリさんっ?!

ゴ: 驚く前に驚いておいたんだ。プリ・ビックリしちゃった現象ってやつだよ。
いいか、吉岡、この赤いヘルメットを頭に被って、それからこの看板を手に持て。
これで大丈夫だ。

吉: ビックリカメラーって書いてありますよ、この看板。
これのどこが何に大丈夫なんです? 

ゴ: いいか吉岡、人生に無駄なことはないんだ。
人生に起こる出来事ってぇのはな、いわば全てにおいて
四捨五入切り捨て切り上げなんだぞ。わかったか?

吉: 全くわかりません。

ゴ: よく聞くんだ、吉岡。

吉: なんですか?

ゴ: 冷凍みかんがとけちゃうぞ。

吉: 話をそらなさいでください、ゴリさん! 僕の出生の秘密とは
一体何なんですか? 話してください!

ゴ: それはだな・・・・・・

吉: ・・・それは?

ゴ: ・・・・・・・・・・お前、

吉: ・・・・・・・?

ゴ: スパゲッチーバジリコって知ってるか? 

吉: 知っています。 話を逸らさないでくださいと先ほど言ったはずです。
僕の出生の秘密と、スパゲッティーバジリコと何の関連があるというんですか?

ゴ: スパゲッチーバジリコ・・・バジリコ・・・ミジンコじゃないぞ、
バジリコだ。 グリコカプリコとも違うんだぞ、混同するなよ~。どうだ、 
これですっかり俺の言いたいことはわかっただろう?

吉: いいえ。全く。

ゴ: おばかさんだな~。いいかい? 僕はね、空知川のこと言っているんだよ。

吉: ・・・・・・・わかりました。 それでその空知川がどうしたんです?

ゴ: お前が流れてきた場所だ。

吉: ・・・・・・・・・・・・・は?

ゴ: ある日、親父さんが川で洗濯をしていたら、どんぶらこどんぶらこって
アナウンスしながらお前が上流から流れてきたんだよ。桃に乗って。

吉: 桃に乗って?

ゴ: 白桃だったらしいわけで。

吉: ふざけるのもいい加減にしてください、ゴリさん。それじゃ、
僕は桃太郎だっていいたいんですか?

ゴ: 違う。お前は桃太郎じゃない。

吉: え?

ゴ: ピーチくんだ。

吉: ・・・・・・・・。

ゴ: 間違った。 ピーチホワイトくんだ。

吉: ・・・・・・・・。

ゴ: プハ~。(←食後の一服らしい。)

吉: ・・・・ゴリさん?

ゴ: 冷凍みかんがとけちゃうぞ。

吉: そうではなくて今の話は、

ゴ: なんだ?

吉: ほんとうなんですか?

ゴ: 嘘にきまっているだろう。でもな、
白桃に乗って川から流れてきたピーチくんという部分は本当だ。

吉: 全部本当じゃないですかっ?!

ゴ: そうとも言えるし、そうとも言えん。それを決めるのはお前次第だよ。

吉: 僕が決めていいんですか?

ゴ: いいんじゃないのか?

吉: 僕はピーチではありません。

ゴ: それはお前が決めることじゃない。

吉: いい加減にしてください! 僕は、僕は・・・・・
もうこんなことにはうんざりです。僕は刑事を辞めます!!!

ゴ: ぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~?

吉: なにを小声で驚いているんですか?

ゴ: 落ち着け、吉岡。お前がピーチくんでありたくないという気持ちは
よくわかった。だらからな、こうしよう。お前はピーチくんじゃない。

吉: ?

ゴ: ピーチ男爵なわけで。

吉: だからそういう問題じゃないんです!

ゴ: そんなに桃が嫌いなのぉ? 好き嫌いは体によくないよ。
それよりお前、刑事を辞めてこれから一体どうするつもりだ?

吉: それは・・・・・

ゴ: 何で食っていく?

吉: それは・・・・・

ゴ: きび団子か?

吉: 意味が違います。

ゴ: メガネドラッグのCMで小銭を稼ぐだって?

吉: どうしてそうなるんですかっ? 僕は桃太郎じゃないとさっき仰いましたよね?

ゴ: メンメンメ~ガネ~のよ~いメ~ガネ~♪ってそれでも男かっ?!

吉: だから僕はそんなことは一言も・・・

ゴ: 品質表示の良いメガネだとっ?!

吉: は?

ゴ: そんなのは当たり前だぁっ。いちいちCMで歌にするなっ!!!

吉: ・・・・そんなこと僕に言われても・・・

ゴ: オレは無性に悲しいぞっ!!!ゴリさんパ~~ンチッ!!!!!
立てぇ~! 立つんだ、ジョー! おやっさん、オレは燃え尽きたぜ。
なんだとっ?! 弱音を吐くな、タイガーマスク! いやお前は
タイガーマスクじゃなくて、タイガー・ゴマちゃんだ。きゅ~~~~~。
らぶり~~~~~~~~~~ それじゃ~また来週!

吉: 何を一人でやっているんです? 勝手に来週に持ち込まないでください。

ゴ: わかったよ、吉岡。そこまで言うなら、オレはもうお前に
ニックネームをつけるのは今後一切やめる。

吉: え? ほんとうですか、ゴリさん? 信じていいんですね?

ゴ: ああ、本当だ。俺を信じろ。

吉: ありがとうございます。これで任務に集中できます。

ゴ: そうだな、安心して任務に没頭しろ、マシュマロ刑事。

吉: ・・・・。

ゴ: マシュマロちゃんデカのほうがいい?

吉: 。。。。。。。。。。。。

ゴ: うれし泣きするほどのことじゃないだろう?

吉: 悲しくて泣いているんです。

ゴ: 悲しい時は思い切り泣け、マシュマロ~ン。男が汽車の中で泣く。。。
余程の訳有りなんだろう。。。汽車といえば、お前は銀河鉄道がよく似合うな。
お前を見ていると、どうも銀河鉄道の夜の話を思い出してしまってのぉ~。 
まるでお前は、ジョバンニとカムパネルラ、あの二人のどちらでもある、
みたいな男だな。ま、それはそうとして、目的地に着く前に、今度の任務先の
オレの連絡先を渡しておく。これだ。慣れない土地だからな、何かあったら
遠慮なくすぐに俺に電話しろよ。

吉: ・・・・・。

ゴ: どうした?

吉: 東京03-200-2222 って書いてありますよ。

ゴ: そうだ。

吉: 日本文化センターの番号じゃないですかっ?!

ゴ: え? あ、間違っちゃったぁ~。 それはこの前、
「スタイリースタイリー・孫の代までお得用セット」を注文した時のメモだったぁ。
お望みなら一台あげようか? オマケで更に35台ついてきたんだ。

吉: 結構です。僕が今現在必要なのはゴリさんの連絡先です。

ゴ: そうだったそうだった。それはねこっちのメモだったよ~。はい、どうぞ。

吉: ・・・・・・・なんですかこれ?

ゴ: 何がって?

吉: 電話はヨイフロって、何ですか? と聞いているんです。

ゴ: シッ! 大きな声で読むんじゃない! それはな、シークレットコードだ。

吉: は?

ゴ: いいか? 伊東に行くなら?

吉: ハトヤ?

ゴ: 電話は?

吉: 4126。

ゴ: よろしい。しかし聞け、電話は4126だが、その前の番号は
一体何番なんだ? 4126だけじゃ繋がらないだろう?!

吉: ・・・・・確かに・・・そうですが・・・。

ゴ: どうだ、立派なシークレットコードだろう? いいか、この番号に
電話してもオレに繋がらない時は、フロントに電話するんだ。万が一の時の為に、
4126体操の後で海底温泉につかっているかもしれん。これも任務の一つだ。
つらい任務だが仕方あるまい。  

吉: ゴリさん?

ゴ: なんだ?

吉: アンドロメダにハトヤ旅館があるんですか?

ゴ: ないとどうして言い切れる?

“ 次は~ アンドロメダ~ アンドロメダ~ お泊りはハトヤへどうぞ~
ちなみに映画の鉄郎は~ テレビの鉄郎とは似ても似つかないので
見間違えなく~ しかしどちらも鉄郎~ 
お降りの前には 宇宙服の装着をお忘れなく~ ”

ゴ: さ、行くぞ、吉岡!

吉: えっ? でもその前に宇宙服を着ないとですよね?

ゴ: そんなもんはいらんっ。気合だっ! うぉりゃぁ~~~っ!
待ってろよぉ~っ、メーーーーーーテルーーーーーーーーー!

吉: ゴリさ~~~~~~~~~~んっ!!!!!

ゴ: なんだい?

吉: いつの間に後方にっ?! たった今アンドロメダに飛び降りましたよね?

ゴ: 忘れ物しちゃったんだよ~。

吉: 何をですか?

ゴ: お前をだよ! 行くぞっ、とぅりゃぁ~!

吉: ぅわぁーーーーーっ?!


つづく。

まだ?
コメント (7)
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