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過去と未来に何かを求めてはいけない

2019-11-07 17:13:15 | 日記
古代ギリシャの哲学者であるエピクテトスが、当時の宴席のマナーを巧みに引用しながら、
実人生での欲望のあり方を諭してくれている。
少し硬いがなかなか参考になる考え方だった。
上智大学の荻野教授が教えてくれた。

◆欲望のあり方~過去と未来に何かを求めてはいけない
 古代ギリシャ時代の饗宴(シンポシオン)は、様々なお祝い事に際して、名士が自宅に知人友人を多数招いて
 夕方から夜にかけて開かれるものだ。
 だが、一般の晩餐のように一人分ずつ最初から取り分けられた料理を食べるわけではない。
 給仕役の奴隷が運んでくる皿の上の料理を、片手で次々ととっていくという形式だ。
 中華料理の「円卓」と似たようなものだ。
 だから、自分の前に料理が回ってきたのに、うっかりしているとすぐに隣に運ばれて行ってしまうし、好物の料理があっても
 皆が順番を待っているからすぐには回ってこない。

 たまたま機会に恵まれれば、これらを享受することには何の差支えもない。
 だが、いったん機会が失われれば、いつまでもそれに執着していてはいけないのだ。
 さらに、好機が来ないかといたずらに期待だけを先走しらせてもならない。

 ある料理(チャンス)がぐるりと回って目の前にやってきた、手を伸ばして行儀よく自分の分だけ取ればよい。
 通り過ぎてしまったら引き留めるな。
 まだ来ないならば、遠くから自分の欲望を投げかけてはならぬ。
 自らの前にやって来るまで待つべきなのだ。

 要するに、過去にも未来にも欲望の目を向けることなく、現在の与えられた状況を見据えてそれを享受すること。
 それが、エピクテトスの考える正しい欲望のあり方なのだろう。
 むろんこれは、刹那的な快楽を勧めるものではなく、日本の「一期一会」の精神に近いのだろう。

 現在の状況だけに関心を向けることができれば、過去に引きずられることもなければ、
 不確かな未来に心を揺さぶられることもないはずだ。
 なるほどこうして欲望をコントロールできれば、常に落ち着いて平常心を保てるのでしょうね。
 でも、それではおもしろくない人生だ!! という突っ込みもあるかもしれませんね。