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人格の香り

2022-12-27 06:40:32 | 日記
哲学者の芳村思風氏が、こんなことを語ってくれた。
それは、一流と二流を分けるものについてだ。
何度も読み直して、やっと氏の言わんとすることにたどり着いた感じだ。

◆一流とはこういうものらしい
 時は鎌倉時代末期、有名な刀鍛冶正宗にはたがねという一人娘がいた。
 そのたがねが年頃になり、弟子たちの内一番優れた刀を鍛えた者を婿に取り跡を継がせようとした。
 最後に二人が残った、村正と貞宗だ。
 正宗の評価方法はこうだった。
 屋敷の中を流れる小川に、二人が鍛えた刀を立て、上流から藁を流した。
 
 藁は村正の刀に吸い寄せられるように寄っていき、刀に触れるか触れないかの間にスパッと切れた。
 貞宗の刀にも藁が流れていき、引っかかったが切れなかった。
 正宗が貞宗の刀を流れから引き上げると、藁ははじめて切れて流れていったのだ。
 村正は勝ったと思い、たがねと結婚するのは自分だと思った。
 だが師の評価は異なり、貞宗の鍛えた刀が優れているとしたのだ。

 村正の刀は、斬ろうとしなくても斬ってしまう。
 貞宗の刀は、斬ろうとしてはじめて斬れる。
 これこそが武士の持つ刀にふさわしいと考えたのだ。
 村正の刀は、技術的な能力の冴えだけで鍛えられた。
 貞宗の刀は、人間の意思が働いてはじめて切れ味を発揮する。
 いわば技術的な能力に、人格の香りといったものが備わっているのだ。
 これこそが、一流と二流を分けるもののようだ。

 →スティーブ・ジョブズもこう言っていたな、
  「技術は人間性と統合されてこそ、心をふるわせるような成果を出すのだと、僕たちは信じている。」