矢嶋武弘・Takehiroの部屋

われ在り 故に われ発信す
83歳のジジイ 日一日の命

サハリン物語(11)

2025年01月29日 03時17分52秒 | 小説『サハリン物語』
その頃、ロマンス・シベリア軍は首都のノグリキに迫っていました。何ヶ月も前、カラフト・ヤマト軍に包囲されていた時と全く逆の形になったのです。スパシーバ王子はヤマト帝国の“政変”をまだ知りませんでしたが、ヒゲモジャ王と共に和平への工作を考えていました。その結果、頃合を見てイワーノフ宰相をロマンス側に派遣し、ツルハゲ王の意向を打診するすることになりました。イワーノフも和平には積極 . . . 本文を読む
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サハリン物語(10)

2025年01月29日 03時16分58秒 | 小説『サハリン物語』
プーシキンの遺体を返すと、スパシーバ王子は彼の最後の言葉が気になって仕方がありませんでした。プーシキンは「スパシーバよ、俺の負けだ。見事だったな。リューバ姫をよろしく」と言ったのです。そして、武人らしい立派な最期を遂げました。 スパシーバはたしかに勝負には勝ちましたが、心の大きさ・広さで自分がプーシキンに負けたような気がしたのです。彼は最後にリューバ妃のことまで気遣っていました。それは純粋な気持の . . . 本文を読む
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サハリン物語(9)

2025年01月29日 03時16分02秒 | 小説『サハリン物語』
ノグリキの王宮では、ツルハゲ王とカチューシャ王妃が不安な日々を送っていました。王夫妻は、娘のリューバ妃と孫のマトリョーシカのことがいつも気になっていましたが、どうしようもありません。ツルハゲ王は時々後悔していました。 カラフト国と和平を結んでいれば、今ごろ娘や孫とも会えたかもしれません。和平のチャンスは何度もあったのです。それがシベリア帝国などの甘言に乗せられ、サハリン統一王朝を実現しようと戦いを . . . 本文を読む
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サハリン物語(8)

2025年01月29日 03時15分10秒 | 小説『サハリン物語』
カラフト・ヤマト軍は敵よりも兵力が優勢だったので、緒戦からロマンス国内に攻め入りました。ほとんどの戦線でロマンス・シベリア軍を圧倒したのです。ここで戦争の話はさて置き、シベリアへ帰ったスターリン総司令官の話題に移りましょう。彼が帰国して間もなく、危篤状態だったイワン・レーニン皇帝が亡くなりました。多くの重臣や将軍らが見守る中、彼は静かに息を引き取ったのです。前にも言いましたが、シベリア帝国の皇帝は . . . 本文を読む
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サハリン物語(7)

2025年01月29日 03時14分16秒 | 小説『サハリン物語』
マミヤリンゾウ司令官に率いられた艦隊はオホーツク海に出ると、海岸沿いにほぼ真っすぐ北上しました。兵員は3千人程度とマオカ上陸の時の半分ぐらいですが、一騎当千の“つわもの”が多く士気は旺盛でした。戦況が味方に完全に有利になったことが、さらに勢いをつけていたのでしょう。陸軍は幾つかの部隊に分かれましたが、カラフト軍ではやはりジューコフ将軍の部隊が勇猛果敢に戦いました。スパシーバ . . . 本文を読む
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サハリン物語(6)

2025年01月29日 03時13分13秒 | 小説『サハリン物語』
 勇猛なジューコフ隊の側面攻撃を受けて、敵の部隊は混乱しました。スパシーバも剣を振るって突進し何人かの敵兵をなぎ倒したのです。ジューコフ隊はそのまま敵の隊列を突破し、さらにその後方の部隊にも襲いかかりました。また、他の別働隊も違った方向から敵部隊を急襲します。いわばゲリラ戦、遊撃戦となったため、敵は相当に混乱し思うように前進できません。一方、地下トンネルを通って、ロマンス・シベリア軍の部隊がカラフ . . . 本文を読む
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サハリン物語(5)

2025年01月29日 03時12分31秒 | 小説『サハリン物語』
その間、ソーニャ王妃やリューバ姫を乗せた馬車が全速力で発進しました。それを見たプーシキンの部下が追いかけようとしますが、オテンバ姫らが行く手を阻んで剣を振り回します。怒ったプーシキンは彼女らを排除しようと襲いかかりました。激しい戦闘が繰り返される中、馬車はどんどん遠ざかっていったのです。男勝りのオテンバ姫らはよく戦いましたが、さすがに強力な敵勢にはかないません。やがて、オテンバ姫もジャジャウマ嬢も . . . 本文を読む
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サハリン物語(4)

2025年01月29日 03時11分48秒 | 小説『サハリン物語』
 その頃、カラフト領内では、ロマンス・シベリア連合軍が快進撃を続け、着々と戦果を収めていました。ロマンス国のプーシキンの活躍も目覚しかったのですが、シベリア帝国軍はついにスターリン総司令官が陣頭指揮をとることになりました。 スターリンは途中から軍を二手に分け、サハリン島の東海岸と西海岸へ進めました。東へ向かったのがアントン・チェーホフ将軍らの部隊で、西へはユーリイ・ガガーリン将軍らが向か . . . 本文を読む
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サハリン物語(3)

2025年01月29日 03時11分00秒 | 小説『サハリン物語』
その頃、ツルハゲ王の指示を受けたロマンス国のラスプーチン宰相は、少人数の部下を連れてシベリア帝国に乗り込みました。帝国の極東軍総司令部がハバロフスクという所にあり、そこを訪れる予定なのです。ラスプーチンはもともと親帝国派で、何度もシベリアの地を踏んだことがあり、極東軍総司令官のスターリン将軍とも面識がありました。スターリンはシベリア帝国軍の実力者で、あとで詳しく話しますが、「次期皇帝」の有力な候補 . . . 本文を読む
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サハリン物語(2)

2025年01月29日 03時10分01秒 | 小説『サハリン物語』
「まあ、スパシーバ王子様では・・・」「そうです、スパシーバです。ご無沙汰していました」 彼がそう言ってもリューバ姫は絶句したまま、なかなか言葉が出てきません。「どうして、あなた様がここに・・・」と言うのがやっとでした。「ごめんなさい。あなたにぜひ会いたくて、やって来たのです。私の商人(あきんど)姿は満更でもなかったですか、ハッハッハッハ。ところで、私が忍び込んできたことは、もちろん内密にしてくださ . . . 本文を読む
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サハリン物語(1)

2025年01月29日 03時08分26秒 | 空欄・予備
<空想、夢想、幻想、妄想の物語> 【主な登場人物】 <カラフト王国>ヒゲモジャ王  ソーニャ王妃  スパシーバ王子(王室の長男。マトリョーシカの父) ナターシャ姫(王室の長女。のちにヤマト国・スサノオノミコトと結婚) オテンバ姫(スパシーバ王子の従姉妹) イワーノフ宰相 ジューコフ将軍 ゲジゲジサタン(重臣。裏切り者) ほか多数  <ロマンス王国>ツルハゲ王  カチューシャ王妃  リューバ姫 . . . 本文を読む
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