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1本3000円ガトーショ new
コラ店FC展開 連載 13
ガトーショコラ専門店誕生
また同店のガトーショコラ
では小麦粉を使わない。こ
のことから実現する、とろ
けるようななめらかさと香
りが大きな特徴となってい
る。チョコレートの占める
割合が高く濃厚であるとと
もに、小麦粉を使ったケー
キのように完全に火を通す
必要がないので、いわば卵
の半熟のような状態だ。
「これまでに経験したこと
のない味」と、レストラン
客から評判になったのが、
ガトーショコラ専門店誕生
のきっかけである。ただ、
当時テイクアウトを求める
声も高かったものの、氏家
氏はなかなか踏み切ること
ができなかった。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 12
いい素材はうまい
学生時代から食に興味をも
ち、バブル全盛期に舌を育
てた氏家氏の原点となって
いるのは、「素材にお金を
かけるほどおいしい」とい
う経験則だ。レストラン時
代、料理に合わせるスイー
ツとして提供していたとき
から、業界でも「業務用チ
ョコレートの最高峰」と言
われるフランス、ヴァロー
ナ社のクーベルチュールチ
ョコレートを使用。仕入れ
価格は一般的なチョコレー
トの3倍ほどだそうで、「
ガトーショコラにこんない
いチョコレートを使おうと
いう発想が、当時は誰にも
なかった」という。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 11
レベルアップが図れる
「店舗を増やすとパワーが
上がります。もっと質の高
い素材を使って、もっとお
いしいガトーショコラをつ
くれるからです。そして、
質のよい素材が出回るよう
になれば業界全体のレベル
も上がります。最強の1店
舗としてのレベルもアップ
するのです」と氏家氏。こ
れを説明するためには、ガ
トーショコラ誕生の歴史か
ら紐解く必要がある。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 10
最強の 1 店舗の布石
さらに、やはり、いつでも
どこでも買えることは価値
の低下になる。そこで氏が
とった手段が、FC展開だっ
たのだ。フランチャイズや
ファーストリテールなどを
事業とするMIGホールディ
ングスと手を組み、フラン
チャイズ店を募集。FC店舗
ではOEM工場で製作した商
品を各店舗で販売すること
になる。ただ、冒頭にも紹
介したように、FC展開は氏
家氏の次のチャレンジであ
り、「最強の1店舗」を究
めるための布石である。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 9
外装デザイン・パッケージ
もこだわる
例えば氏家氏は、新宿御苑
の総本店外壁デザインを高
頻度で変えている。市場の
好みに合わせてレシピを変
えている、ガトーショコラ
の味に合わせているという。
また、商品のパッケージも、
手触りや重みでリアルに感
じられる高級感を大切にし
ている。折りたためる折り
箱はコストが安く場所もと
らないが、最上級のガトー
ショコラの「器」としてふ
さわしくないと、ジュエリ
ーなどに使われる貼り箱採
用しているのだそうだ。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 8
リアルにこだわる美学
「心が通わない商売はやめ
よう」と、ネット通販事業
から撤退。2〜3割の売り上
げダウンを予想していたが、
案に相違してかえって評判
は高まり、売り上げ利益率
ともにアップしたそうだ。
百貨店の小売り部門など、
固定の受注先も増えた。そ
して、リアルにこだわる美
学ゆえとも言えるかもしれ
ない。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 7
売上の7割の通販やめる
実は同店は、売り上げの 7
割を占めていたネット通販
を2015年にやめている。注
文受付や梱包、発送といっ
た手間暇コストがかかる点
や、商品が届かない、形が
崩れていた等、配送事故へ
の対応が物理的・精神的負
担になったことが理由だそ
うだ。「例えば物流が東日
本震災の影響を受けていた
時期、『商品が遅れた』と
クレームを受けて料金をタ
ダにしたこともあります」
(氏家氏)
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 6
ネット通販を避けたい理由
確かに、コロナ以来、ネッ
ト通販の市場が大きく伸び、
実店舗を持たないブランド
も増えている。ホームペー
ジの美しいビジュアルや S
NS でアピールし、顧客と
関係を持てる今、無理に店
舗を持たなくてもブランド
価値を醸成できる。店舗に
かけるコストを削減できる
メリットは大きい。しかし
そうではあっても、ネット
通販を避けたい理由が氏家
氏にはあった。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 5
コロナ禍で売らげ落ちる
「接待や宴会が開かれなく
なったことで手土産の用途
も少なくなり、バレンタイ
ンに向けていつもなら予約
が埋まっている状態ですが、
今( 1 月中旬)はまだ予約
できる。そのぐらい、販売
も落ちているということで
す。このままだと通販事業
を再スタートさせなければ
ならないか、と覚悟したほ
どです」(氏家氏)
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 4
新たな挑戦を迫られた
「焼きたてのガトーショコ
ラをていねいに売る。価格
も高いけれど、その価値は
通ほどわかる。繁華街とは
離れた当店にわざわざ足を
運んでもらう、その経験も
価値になる」(氏家氏)と
いう考えのもと、価値を追
求してきた。
その一方で、2016年から続
けているファミリーマート
での監修商品販売や、さま
ざまな企業とのコラボ商品
企画など、ブランド認知を
広める取り組みにも力を入
れてきた。
そこへ新たな挑戦を迫った
のが、このたびのコロナ禍
だという。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 連載 3
意味合いの大きい転換
大きな方針転換の意図はど
こにあるのだろうか。ケン
ズカフェ東京オーナーであ
り、運営会社ドメーヌ代表
取締役の氏家健治氏による
と「次のチャレンジ」の意
味合いが大きいという。
1998年にカフェレストラン
として開業した同店は、20
08年にガトーショコラ専門
店として再スタート。
1本3000円ガトーショ new
コラ店FC展開 連載 2
FG全国50店舗募る
そのケンズカフェ東京が今、
変化のときを迎えている。
2021年11月にFC1号店静岡
店をオープン、以後続々と
出店し、2022年4月までに
20店舗の展開を予定。最
終的には各都道府県に1店
舗以上、全50店舗以上展開
する、全国ブランド化を見
込んでいるというのだ。入
手もしやすくなり、ぐっと
身近なブランドになるわけ
である。
(次回に続く)
1本3000円ガトーショ
コラ店FC展開 新連載 1
ガトーショコラ商品だけで
年商 3億円を売り上げる人
気のガトーショコラ専門店
として知られるのがケンズ
カフェ東京だ。同店の唯一
の商品「特撰ガトーショコ
ラ」は「スイーツ百名店」
や、ぐるなびの「接待の手
土産セレクション『特選』
」といった各賞を受賞。店
でその日につくる400本の
みを販売する希少性や、2
80gで3000円という価格も
さることながら、入手のた
めにちょっと足を延ばして
本店を訪ねる距離感も、1
つの付加価値となっていた。
薗岡 志麻フリーライター
(今回新連載です)
止まらぬ新聞 new
衰退の末路 最終回 14
日本の砂漠化大都市から
日本では戦後、大都市圏で
地域密着の新聞が育たなか
った。「東京」の名を冠し
た東京新聞でさえ、都政は
ともかく、東京23区や都下
の各自治体については行政
や議会をくまなく継続的に
ウォッチしているとは言い
がたい。大阪も似たような
状況だ。冒頭で紹介した日
本新聞協会の2021年10月の
データを全国12の地区別で
みると、対前年比の減少率
は大阪(8.0%減)、東京(
7.3%減)、近畿(6.5%減)
の順に大きい。新聞メディ
アの崩壊はもう避けられな
いが、日本の場合、ニュー
ス砂漠の影響は大都市圏か
ら現れる――いや、実際に
すでに現れているのかもし
れない。
(今回最終回です)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 13
ファンドが買収を繰り返す
投資ファンドが買収を繰り
返した。ガネット、アルデ
ン・グローバル・キャピタ
ル、リー・エンタープライ
ゼズの上位 3 グループだけ
で、全日刊紙の 3 割超を傘
下に収める。過酷なリスト
ラなどの経費削減で利益を
生み出すファンドの方針を
背景に、新聞社編集局の人
員は7万1640人(2004年)
から、3万820人(2020年)
と半分以下に落ち込んだ」
がないか、週刊の新聞が1
紙しかない地域は 1753郡
で半数を超えた。ニュース
砂漠の住民は選挙で投票し
ない傾向にあるほか、高貧
困率、低い教育水準などと
関連するとのデータがある」
(次回最終回です)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 12
米地方紙の模索、掲載
東北の有力地方紙・河北新
報(本社仙台市)は2022年
の年明け、アメリカ取材も
踏まえた企画記事「メディ
ア激動 米・地方紙の模索
」を掲載した。その中では、
ノースカロライナ大学の調
査などを引用しながら、次
のように実情を紹介した。
「2004年には8891紙が発行
されていたが、4分の1の21
55紙が廃刊した。新聞広告
の売り上げは2005年の494
億ドルから、2020年には8
8億ドルと8割減った。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 11
デジタル時代生残れるか
ただ、この1年でオハイオ
州ヤングスタウンの日刊
紙The Vindicatorと、ワ
シントンDC郊外のメリー
ランド州の週刊紙The Sen
tinelの2紙が閉鎖されたこ
とは特に注目すべきだ。
オハイオ州ヤングスタウ
ンは、現存する唯一の日
刊紙を失った全米初の都
市となった。また、The
Sentinelの廃刊はメリーラ
ンド州モンゴメリー郡の
経済的に豊かな住民100万
人から地元紙を奪うとい
う、これまでには考えら
れない事態を招いた。
【消えゆく読者とジャー
ナリスト】 新聞の読者と
ジャーナリストの半数も、
この15年間で姿を消した。
現存する6700紙の多くは、
新聞社も読者も激減し、
かつての面影はなく、「
幽霊新聞」と化した。こ
うした実態は地方紙の影
響力低下を物語っており、
デジタル時代の地方紙が
長期的に経営を継続でき
るのかという疑問を突き
つけた。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 10
米15年で2100新聞消える
「ニュース砂漠」について
は、アメリカのノースカロ
ライナ州立大学がまとめた
「ニュース砂漠とゴースト
新聞 地方ニュースは生き
残れるか?」に詳しい。そ
れによると、アメリカのニ
ュース砂漠は次のような状
況だ。
【消えゆく新聞社】過去15
年間で、アメリカでは2100
の新聞が失われた。その結
果、2004年に新聞のあった
少なくとも1800の地域が、
2020年初めに新聞がない状
態になる。消えゆくのは経
済的に苦しい地域の週刊新
聞紙がほとんどだ。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 9
ニュースの砂漠
ここ数年、日本では「新聞
社はあと5~6年で最終局面
を迎える」「淘汰と合従連
衡が本格化し、新聞のない
エリアが生まれ、そこがニ
ュース砂漠になる」といっ
た議論が絶えない。ニュー
ス砂漠とは、経営破綻によ
って新聞が存在しなくなる
という「ニュースの空白地
域」だけを指す言葉ではな
い。地域の議会や行政に対
して恒常的に目を向ける存
在がなくなることによって、
社会に対する住民の関心が
薄れ、政治・行政の不正や
不作為などが進行する状態
を意味する。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 8
有力新聞も
2009 年以前には、早々と
北日本新聞(富山県)や南
日本新聞(鹿児島県)など
が夕刊から撤退し、夕刊紙
の名古屋タイムスは廃刊し
た。また、朝刊だけの発行
だった茨城県の常陽新聞は
2017年に廃刊した。こうし
た動きはさらに強まってお
り、新聞界に影響力を持つ
有力新聞が夕刊発行の停止
に踏み切るとの話もくすぶ
っている。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 7
夕刊廃止の新聞社
主な夕刊廃止の動きをざっ
とまとめておこう。◎は地
方紙よりも発行エリアの狭
い「地域紙」であり、かつ、
もともと夕刊しか発行して
ない。
【2021年】
◎根室新聞(北海道)、
◎千歳民報(同)、
◎両毛新聞(栃木県)、
◎近江同盟新聞(滋賀県)、
熊本日日新聞
【2020年】
東奥日報(青森県)、
山陽新聞(岡山県)、
徳島新聞、高知新聞、
大分合同新聞
【2010~2019年】
岩手日報、秋田魁新報、
岐阜新聞、◎岡山日日新聞、
中国新聞(広島県)、
沖縄タイムス(沖縄県)、
琉球新報(同)
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 6
広告・人手不足で夕刊廃止
読者が夕刊の購読をやめる
前に、コスト負担に耐えか
ねて「休刊」という名の夕
刊廃止に踏み切った新聞社
も少なくない。特に地方紙
でそれが目立つ。広告がほ
とんど入らないため、広告
スペースを自社関連の出版
物や催しの案内で埋めざる
をえなかった新聞も多い。
これに配達員不足が加わり、
多くの新聞社で夕刊はお荷
物でしかなくなったのだ。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 5
夕刊紙離れ顕著
2021年のデータで発行形態
別の数字を見てみよう。そ
れによると、朝夕刊セット
部数の合計は648万4982部
(10.6%減)となった。こ
れに対し、朝刊単独の部数
は2591万4024部(4.2%減)
で、夕刊単独は62万8129部
(19.0%減)。夕刊離れが
特に著しいことがわかる。
かつて、紙で新聞を読む人
の大半は、同じブランドの
新聞を朝刊も夕刊も読んで
いた。そうした「セット」
購読層は今後、稀有な存在
になっていくだろう。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 4
(次回に続く)
衰退の末路 連載 3
現実は深刻だった
この幹部が言うように、前
年2020年10月時点のデータ
と比べると、減少の速度は
やや緩やかになった。スポ
ーツ紙も含めた1年前の発
行部数は3509万1944部。2
019年との比較では7.2%減
で、その減少幅は過去最大
だった。これまでに例のな
い落ち込みというインパク
トは強烈だったから、「7.
2%減」が「5.9%減」にな
ったことに少しでも安堵し
たいという気持ちはよくわ
かる。しかし、読者の「紙
離れ」に、もうそんな気休
めが入り込む余地はない。
(次回に続く)
止まらぬ新聞
衰退の末路 連載 2
コロナ禍で一定の歯止めが
日本新聞協会が2021年12月
下旬に公表した同年10月時
点のデータによれば、スポ
ーツ紙を除く一般の日刊紙
97紙の総発行部数は、前年
比5.5%(179万7643部)減
の3065万7153部だった。2
0年前の2001年には4700万
部、10年前の2011年には4
400万部を数えたものの、
今や3000万部割れが目前で
ある。新聞協会のデータを
公表前に見た全国紙の経営
幹部は、「思ったほど減少
率が大きくなかった。減り
方は鈍化したと言える。コ
ロナ禍で人々が正確な情報
を欲し、それが新聞離れに
一定の歯止めになったので
はないか」と推察した。
(次回に続く)
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