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カレー屋開店15年 new
続いた理由 連載 18
食べ歩き 客目線 ヒント
純粋に趣味として楽しんで
いたころは新しい味に出合
うたびに刺激を受け、ワク
ワクした。お店の立ち上げ
期も、無我夢中に生きてい
た。もちろんお客さんにも、
一緒に働く仲間にも恵まれ
ている今は、とてもありが
たくて幸せだ。でも「やっ
ぱり人間、飽きますからね
。何かしら新しいことをす
ると楽しくて、失敗しつつ
も少しずつ前へ進んで、で
きることが増える喜びがあ
る。40歳を超えると、そう
いう感覚が薄れていくので、
意識して大事にしていきた
い」。他店を食べ歩き、客
目線で良いところ、悪いと
ころを観察。気づきを自分
の店でも生かし、改善する
手は止めない。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 17
慣れとの闘い
店を長く続けていく中で、
直面するのは「慣れ」との
戦いだ。「毎日、同じよう
な感じの日が続くと正直、
しんどいときがあって。年
を追うごとに、“慣れ”はど
んどん深くなっていきます」。

お店を長く続ける苦労はあるが「カレー屋が好き」
という思いは変わらない(撮影:今井康一)
(時価に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 16
2号店目は考えない
しかし、2店舗目など店の
拡大には興味がない。「会
社員を辞めてカレー屋をす
ると決めたときから、お金
持ちになるのは無理だとあ
きらめました。毎日、楽し
く生きていけたら良いと思
っているので、店を増やす
ことは考えていません」。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 15
いろいろあって15年周年

基本メニュー。写真は発酵バターをトッピングしたもの。自家製ヨー
グルトで作ったラッシーも人気だ(筆者撮影)
コロナ禍で休業要請を受け
入れたり、デリバリー対応
を始めたり、想定外の出来
事もあったが、もうすぐ開
店15周年。開店当初とは違
い、今は守るべき家族がい
る。そしてフルタイムの社
員が4人、週1回程度しか来
ない人も含めるとアルバイ
トは40人も数える。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 14
玉ねぎ一皿に1個使用
馬屋原さんのカレーは、一
皿あたり炒めた玉ねぎ一個
分を使ったものがベースで、
独自に配合したスパイスを
効かせている。「食べ終わ
って1、2時間ぐらいしてか
ら、幸せが胃から伝わって
くるようなカレーにしたい
と常々思っていて。身体が
その感覚を覚えて、自然と
また食べたくなるような」。
メニューはチキンやナス、
トマトなどの具材でバリエ
ーションを持たせ、さらに
辛さの程度を1から10まで
選べる。チーズや発酵バタ
ーなどトッピングもカスタ
マイズできるため、具材・
辛さ・トッピングを掛け算
すればメニューの幅は実に
広い。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 12
お客さん増え 移転法人化
一方、営業が軌道に乗って
くると、お客さんの待機列
が伸びる日が増え、申し訳
なさが募った。もっとゆっ
たりカレーを食べてもらい
たくて2013年、新宿二丁目
の現在の店舗へ移転。席数
は20席に増え、2015年には
法人化も果たした。

(サツエイ:イマイヤスカズ)
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 11
少しづつ客が増え始める
「時給に換算すれば50円と
か30円」だったが、店から
電車で 1時間ほどのところ
に実家があり、一人暮らし
をせずに済んだ。ただ毎日
通うには時間的にも経済的
にも厳しかったので、ほと
んど店で寝泊まり。「若く
て元気だったからできた」
と当時を振り返る。幸いに
して少しずつお客さんの数
は増え、1〜2年たってよう
やく手元に20万ぐらいは残
るようになった。接客など
を担当するアルバイトに加
えてカレーを作る人も雇い
始めて、店はにぎやかにな
っていった。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 10
開店2~3か月売上40万円
開店してしばらくは、知り
合い以外のお客さんがなか
なか来なかった。最初の2、
3 カ月は、毎月の売り上げ
が40万円ほど。家賃、材料
費、光熱費などを払ってい
くと、手元に残るのは2、3
万円ほどしかない。しかも
週5日は朝8時ごろから夜10
時まで働き、定休日もほと
んど事務作業や準備でつぶ
れた。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 9
店名「草枕」開店する
ほかにもカレーの試作、仕
入れ先の検討、役所関係の
手続きなど、やることは山
積み。「大変だったけれど、
目標があって、自分の好き
なことを始めるのだから悲
壮感はなく、楽しいばかり
で、ウキウキしていました」。
こうして2007年9月、「cur
ry 草枕」を開店した。店名
は「旅」にかかる枕詞の「草
枕」からとった。これまでの
貧乏旅で、それこそ草を枕に
するような野宿も経験もした
が、各地でエネルギーをくれ
る料理や、ずっと忘れられな
い味に出合った。自分も同じ
ように人を元気にし、幸せに
するカレーを作りたい。そう
願って付けた店名だった。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 8
様々な料理スパイス触れる
会社を辞めてまずは半年間、
アフリカ諸国やインド、ネ
パールなどを巡り、さまざ
まな料理やスパイスに触れ
た。店で出したいカレーの
イメージを固めつつ、帰国
後は出店の場所探し。札幌
や大阪も考えたが、人が多
い場所で勝負しようと最終
的には東京・新宿三丁目に
決めた。借りたのは、7 坪
でカウンター10席のみの小
さな店舗。大掃除から始ま
り、天井のペンキ塗りや水
道管工事、厨房レイアウト
の変更など、店作りは自分
で手がけた。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 7
28歳 独立決意
会社員を辞め、さまざまな
仕事で独立した人と、しな
かった人を取材したノンフ
ィクションで、「飛ばなき
ゃよかった」と後悔する人、
考え抜いた結果「飛ばなか
った」人、逆にあのとき「
飛べばよかった」と振り返
る人など、さまざまな人生
がつづられている。読めば、
夢への挑戦が決してきれい
ごとではないこともわかっ
た。それでも「自分はやっ
ぱり飛んでみたい」。本が
背中を押してくれた。当時
はまだ20代後半で、独り身。
多忙すぎてお金を使う暇も
なかったため、開店準備に
充てられる貯金が500万円
あった。「やってダメなら、
また別の仕事でやり直せば
いい」。2006年、28歳で会
社を退職した。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 6
揺れる心
自分の関わった店が軌道に
乗る過程を目の当たりにし
つつ、何より、いきいきと
楽しそうに働く店主夫妻の
姿を見ると、心にグッとく
るものがあった。「自分も
カレー店を開きたい」。だ
が安定した人生が約束され
ている会社を辞めて店を出
すなんて、あまりにリスク
が大きすぎないか? 心は
揺れた。そのころ、駅前の
本屋に平積みにされていた
内館牧子さんの著『夢を叶
える夢を見た』(幻冬社文
庫)を読んだ。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 5
友人の両親の開店相談
仕事のストレスを解消して
くれたのは、やはりカレー。
大阪でもたくさんのカレー
店を食べ歩いたが、まさか
自分で店を開こうなどとは
思いもしなかった。転機は
ふいに訪れた。大学の後輩
から、両親がカレー店を開
くのでアドバイスしてほし
い、と頼まれたのだ。馬屋
原さんは初めての飲食店経
営に不安そうだった店主夫
妻を励まし、開店をサポー
ト。結果、店は繁盛した。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 4
空調現場監督をまかsれる
だが配属になった大阪で、
空調設備などの現場監督を
任されたのが仕事としてき
つかった。大学を出て1、2
年の“若造”が、取引先の現
場で年配の作業員たちに指
示しなければいけない。さ
らに病院の改修工事を担当
したときは、ミスがあって
設備が止まれば患者の生命
に関わる、というプレッシ
ャーがのしかかった。それ
でも、予定どおりに任務を
こなすのは当たり前。誰か
から直接、感謝されるよう
な仕事ではなかった。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 3
中東へ3か月スパイス修行
ついには「カレー部」なる
ものの部長に就任し、毎日
作り、食べすぎて、身体を
壊したこともある。それで
もとにかく夢中で、ひたす
ら楽しく、中東へ3カ月、
貧乏旅行もしてスパイス料
理の奥深さにのめり込んだ。
しかし、カレーはあくまで
趣味。工学部を卒業したあ
とは制御・計測機器メーカ
ーに就職し、北海道を離れ
た。会社は、育児と両立し
て働く女性社員もいるなど
長く働ける環境。待遇も十
分で、不満はなかった。
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 連載 2
スパイス配合カレーハマる
馬屋原さんがカレーに目覚
めたのは、北海道大学での
寮生活時代。入寮した「恵
迪(けいてき)寮」は、全
国でも数少ない自治寮とし
て知られる。寮では部屋ご
とに趣旨を掲げて活動する
伝統があり、その中でカレ
ーを追求する部屋もあった。
馬屋原さんは仲間らと自炊
生活を送る中で、ルーを使
わず、スパイスを配合して
作るカレーの奥深さに触れ、
店を食べ歩いては研究を尽
くした。「本当においしい
ものって、脳みそにくるん
です。スパイスの配合、ス
ープの取り方ひとつで味が
ガラッと変わるので、狙っ
た味ができたときの面白さ
がたまらなかった」
(次回に続く)
カレー屋開店15年
続いた理由 新連載 Ⅰ
参入しやすいものの、生き
残りは厳しい飲食業。日本
政策金融公庫総合研究所が
発表している「新規開業パ
ネル調査」でも、「飲食店、
宿泊業」は業種別で最多の
廃業率となっている。それ
ゆえ「脱サラして飲食」と
いう選択は安易に薦められ
ないものの、中には夢をか
なえ、自分の店を守り続け
ている人もいる。そこで「
脱会社員の選択」連載第7
回は脱サラ後、東京・新宿
にスパイスカレー店を開業
し、15年になる馬屋原亨史
さん(44)に、安定した生
活を手放して趣味だったカ
レー作りを仕事にしたきっ
かけや、店を続けていく難
しさ、さらには人が集う場
を作れた喜びなどについて
聞いた。
吉岡名保恵フリーライター
(今回新連載です)
人気急上昇コスメ自販 new
機花王予想外 最終回 9
店舗で買うきっかけに
現在、 KATE iCON BOXは
世界に 1 台だけで、今のと
ころ増産の予定はないとい
う。「これまでは設置場所
を弊社で探していましたが、
最近では設置場所の打診も
いただくようになりました」
(若井さん)。しかし、KA
TE iCON BOXは定期的なメン
テナンスが必要である上、
照明の明暗によって診断結果
が大きく変わってしまったり、
診断の質が落ちてしまうなど、
設置場所へのハードルも高い
のだという。「長期的には量
産も視野に入れてはいますが、
まずは、デジタル世代以外の
幅広い年齢層や、それまでメ
ークに興味はあっても買うき
っかけがなかった方などが店
頭で化粧品を買うきっかけに
していきたいです」
(今回最終回です)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 連載 8
BOXで買いたい 増える
ECは確かに便利だが、化粧
品に限らず欲しいと思った
ものがすぐ手元には届かな
い。もちろん待つ楽しみも
あるが、実際に試してみて
「欲しい!」というテンシ
ョンのまま買えるという店
頭ならではの喜びや満足感
が、コロナ禍でのECによる
購買行動に慣れた人たちに
刺さったのではないだろう
か。最近では、KATE iCON
BOXで買いたいと遠方から
訪れた利用者や、もともと
興味があったり、たまたま
通りかかって興味をもった
男性の利用者も増えている
という。
(次回最終回です)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 連載 7
前向きな気持ちが戻る
1 年越しに人気が高まって
いる要因について、若井さ
んは「一時期よりも外に出
る機会が増えたことで、メ
ークに対して前向きな気持
ちが戻ってきており、これ
まで遠のいていた店頭での
購入を再開する人も増えた
からでは」と分析する。
(次回に続く)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 連載 6
体験する楽しさに重きを
KATE iCON BOXの開発ではM
AKE UP LAB.の技術を応用し
たが、消費者心理の差に着目
し、それぞれのサービス内容
にあえて差をつけているとい
う。「MAKE UP LAB.は、1人
で家でじっくり自分の顔の印
象を分析することを想定して、
顔パーツごとの距離や角度、
輪郭のタイプなどかなり詳し
く分析する機能にしています。
一方、KATE iCON BOXは店頭
で、また1人だけでなく友達
同士など集団で利用すること
を踏まえ、あえて簡潔で分か
りやすい分析にして、体験す
る楽しさに重きを置いていま
す」(若井さん)
(次回に続く)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 連載 5
デジタルと店舗の融合
「KATEでは、MAKE UP LAB.
やSNS、YouTubeチャンネル
などさまざまなデジタル施策
を進めてきました。その一方
で、相反することではありま
すが、コロナ禍で失われつつ
あった店舗で実際に化粧品を
手に取って買う楽しさを、あ
らためて周知する施策が必要
なのではないかと考えました。
そこで打ち出したのがデジタ
ルと店舗の融合であり、形に
したものがKATE iCON BOXで
す」(若井さん)
(次回に続く)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 連載 4
メイクアップアイテム提案
もともとKATEは、21 年2 月
から LINE公式アカウントで
「MAKE UP LAB.」というサ
ービスを開始していた。こ
れは、スマートフォンのカ
メラを通して顔のパーツ比
率や顔印象を分析し、ユー
ザーの「なりたい顔に変わ
れる」メークメソッドやメ
ークアップアイテムを提案
するものだ。
(次回に続く)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 連載 3
顔の撮影だけで分析完了
KATE iCON BOXは、それ
ぞれに合わせた 4色のアイ
シャドウパレットを提案。
実際に使用したイメージを
バーチャルで確認できる他、
提案した色以外を選ぶカス
タマイズも可能だ。アイシ
ャドウパレットにつける、
保護フィルムへの名入れサ
ービスも行う。実際にKATE
iCON BOXを使ってみると、
カメラで顔を撮影するだけ
で顔分析が完了。ものの数
分で、まるでタッチアップ
を行ったかのような体験を
提供する。診断したからと
いって必ず購入する必要は
なく、気軽さを打ち出して
いる。
(次回に続く)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 連載 2
購入 ECサイトにシフト
コロナ禍での衛生意識の高
まりから、化粧品のテスタ
ーは店頭から軒並み撤去さ
れ、百貨店ではビューティ
ーアドバイザーによるタッ
チアップもできなくなって
しまっている。コロナ禍で
42.7%が化粧品の購入方法
が変わり、そのうち81.6%
はECサイトで購入するよう
になったという。メインの
購買チャネルがECサイトに
移り変わる中で、あくまで
店頭での購入を後押しする
KATE iCON BOXが生まれた
理由とは? 花王の若井麻
衣さん(化粧品事業部門マ
ステージビジネスグループ
KATEグループ)に話を聞い
た。
(次回に続く)
人気急上昇コスメ自販
機花王予想外 新連載 Ⅰ
「1 年前に出したのに、こ
こにきての急な人気は予想
外です」──と、花王の社
員も驚いたのは、化粧品ブ
ランドのKATEが開発した「
KATE iCON BOX」だ。KATE
iCON BOXは、AI による顔
の印象分析をもとに、一人
一人に合わせた4 色のアイ
シャドウを提案し、自動販
売機のように商品が出てく
る機械。2021年9月に店頭
での運用を始め、メーク好
きを中心に話題になってい
たが、サービス開始 1年を
目前に人気が急拡大してい
るという。
菊池 央里子 ITmedia
(今回新連載です)
小売店 選ばれるを new
実現する3視点 最終回 10
現場の強みに溺れない
ここで挙げた事例は、起点
となる観点は異なるものの、
どこかで聞き覚えがある取
り組みでもあるはずだ。導
入コストや現場で十分に使
いこなせるかなどの問題以
外にも、小売業の商習慣や
考え方が障壁となっている
場合もあるだろう。実現・
展開・定着に向けては、現
場への丁寧なアプローチだ
けでなく、実店舗という強
みにあぐらをかいている現
状からの脱却という意思も
求められる。
(今回最終回です)
小売店 選ばれるを
実現する3視点 連載 9
接客スタイルのデータ化
次に接客品質である。人間
が接客する限り、感情が絡
むため俗人的であり再現性
の確保が難しい。しかし、
店舗運営における重要性は
高く、品質向上施策を講じ
る必要がある。ホテルや飲
食店のように、小売店舗で
もこの領域の存在感が増し
てくるはずだ。中国地方の
一部で総合スーパーを運営
する天満屋ストア(岡山市)
は、収集した定量データか
ら曜日別・時間帯別での接
客課題を特定する方法を採
用している。口コミなどの
定性情報を収集するサービ
スを展開する企業も増えて
きている。自店の接客スタ
イルをデータ化することで、
リピート客の増加なども見
込めるかもしれない。そう
することで、メーカーから
の期待値向上や良好な関係
構築にもつながっていく。
(次回最終回です)
小売店 選ばれるを
実現する3視点 連載 8
接客の観点から
最後は接客の観点から解説
する。こちらは、「投入人
員量」と「接客品質」に分
けて考えられる。投入人員
量の観点では、AIを活用し
たシフト作成に取り組む動
きが主流である。パナソニ
ックが開発したCYTIS Shift
for Retailなどが挙げられる。
同社はイオンリテールと共
同で同サービスの仕様を一
部カスタマイズした「AIワ
ーク」を設計。2022年2月
にイオンリテールの総合ス
ーパー62店舗に導入した。
今後は、各種実績データの
作成とセットで普及が進む
と推測される。前述の既存
店舗端末の拡張もここに繋
げることができる。接客に
どれだけ人員を割いている
かが分かれば、省人化対策
なども検討可能だろう。
(次回に続く)
小売店 選ばれるを
実現する3視点 連載 7
競合店のPOSデータ集め
さらに、店舗端末などで品
出し件数実績データを取得
できれば、バックヤードに
あるのか、棚にあるのかが
判別できるため、「品出し
ができていれば売れた量」
を正確に把握できるように
なる。最後に「品ぞろえが
あれば売れたのに」という
観点で、自店舗ではなく近
隣の競合店でのPOSデータ
も集めることができれば、
在庫管理の精度の高さは格
段に上がる。現段階で実現
性が高い手段はレシート買
い取りであろう。小売が主
導する事例は多くはないも
のの、この仕組みを基にデ
ータビジネスを展開する企
業は増えてきている。
(次回に続く)
小売店 選ばれるを
実現する3視点 連載 6
論理在庫と需要予測の一致
次は需要量の分析について
考えてみたい。こちらも最
初に思い浮かぶのはPOS分
析だが、ここにも限界はあ
る。「在庫があれば売れて
いたはず」のデータを取る
ことができないのが欠点だ。
論理在庫と需要予測を基に、
大体の実在庫数を算出する
こともできなくはないもの
の、数値の精度に心もとな
さは付いて回るだろう。事
前に顧客側が数量を入力し
ておく仕組み、例えばクリ
ック&コレクト(ECサイト
で商品を購入し、実店舗や
宅配ボックスなどで受け取
る仕組み)やネットスーパ
ーなどのクラウドワーカー
系の仕組みで実際の需要量
データは取得可能だ。店舗
の実在庫量を超えた場合で
も「本来売れていた量」が
把握できるため、今後の在
庫量や品ぞろえの適正化に
つなげられるだろう。
(次回に続く)
小売店 選ばれるを
実現する3視点 連載 5
買い物客データの重要度
また、店舗の滞在時間も重
要な情報となる。例えばイ
オンリテールが一部店舗で
導入している「どこでもレ
ジ レジゴー」(貸出用の
スマホで商品バーコードを
スキャンし、専用レジで会
計する仕組み)というアプ
リの起動時間や、各企業が
取り組んでいる無人店舗の
入退店時のログデータから、
来店客の買い物の傾向が見
えてくる。ワンタイムショ
ッピング嗜好なのか、ショ
ートタイムショッピング嗜
好なのかといった具合だ。
来店客の属性や買い物行動
の解像度が上がれば、より
消費者のニーズに合った商
品ラインアップを展開した
りや陳列を工夫したりなど
売り場の改善につながる。
(次回に続く)
小売店 選ばれるを new
実現する3視点 連載 4
1.カメラ×画像解析
来店客の分析としては、
「いつ」「何を」「誰が」
「どのように」購買したか
が分かれば理想的である。
ポイントカードやハウスカ
ードでのPOS分析が一般的
だが、これらだと実際の来
店人数や購入に至らなかっ
たが気になった商品などの
情報が得られないことが多
い。解決策の1つとして、
カメラ×画像解析で来店客
の属性や表情などをデータ
として取得することが挙げ
られる。「体験型店舗」を
運営するb8taがこのアプロ
ーチを取っている。来店客
の属性や商品に対する感想
を企業にフィードバックす
ることで、企業は消費者の
意見を商品開発やマーケテ
ィングに生かす。
(次回に続く)
小売店 選ばれるを
実現する3視点 連載 3
売り場の力訴求 3点
実店舗劣勢の状況において、
「売り場」の力をメーカー
に訴求するために小売企業
はどのような取り組みをす
べきか? 「来店客」「需
要量」「接客」の3つの観
点から、それぞれで活用で
きるテクノロジーや実際の
事例を紹介する(著者:
EYストラテジー・アンド・
コンサルティング株式会社
橋場雄士)
(次回に続く)
小売店 選ばれるを
実現する3視点 連載 2
食料・日用品は実店舗
NTTコムが 6 月に発表した
「購買行動」に関する調査
によると、日用品などをは
じめとした12の商品群のう
ち 9の商品で購入場所を実
店舗からオンライン店舗に
シフトする傾向が見られた。
そうは言いつつ、まだ店舗
で買いたいという需要が根
強いのも確かだ。実際、同
調査によると食料品や日用
品の購買は「小売店や専門
店」などの実店舗が最も多
かった。