※個人の特定を避けるためにフェイクを入れて書いています※
【残念ながらよくある、悲しい話】
大先輩レディーがこんな悲しい話をしてくれました…。
「私の母はね、母親…私から見て祖母に、子どもの頃から…ううん、きっとお腹に入った胎児の頃から。
それはそれは人格否定されて、産まれてからは暴力もあったし、お金も随分取り上げられたし、ほんとうにとんでもない虐待をされたの。
心が壊れてしまったんでしょうね。
火山が噴火するみたいに凶暴になることが多かったし、死ぬまでの10年くらいはそりゃー狂ってね。
母が死んだとき、私も他の家族も嬉しかったの。
やっとこれであの理不尽に怯えないで生きていけるって…やっと、自分たちの人生を始められるって思った」
辛くて苦しい、嘘だったらいいけれど残念ながらよくある、この世の地獄。
話はその毒母さんが盲目的に信頼していた父親、大先輩レディーの祖父さんのことに。
「私はだいっっっ嫌いだったから美形なんて思ったことなかったけど、おじいさんは男前だ美丈夫だ美男子だとよく言われていてね」
写真を見た人の話だと、長身・筋肉ムキムキ・和顔ながら色気ただようガチ美男子だったらしいです。
「私の祖母と婚約する前から、関係のある女性が数え切れないほどいたのよ。
素人さんも玄人さんも。
でも良家の処女と結婚したかったのか、ぜんぶ黙って祖母と結婚して、私の母を妊娠した時に全部ばれたの。
祖母はお前さえいなければ離縁できるのに…って全ての恨みをお腹の子にぶつけてね。
実家も妊娠してるからって理由で助けてくれなかった」
良家の子女、じゃなくて処女。
ここにもまた意味がある。
しんどい(しんどい)。
「それだけでも耐えられないでしょう?
なのに戦中戦後の動乱でお金まで失ってね。
お屋敷に住んでるのに借金まみれ、使用人にお給料も出せない。
借金してダンナが行くのは芸者さんのところ。
これで狂うなって方が無理だけど、全部全部祖母は子どもたちに怒りをぶつけたの。
全部夫が、祖父が悪いのに」
愛と金…。
しんどい(しんどい)。
「ぜんぶぜんぶ祖父が悪かったのよ。
結婚するのも子どもを作るのも資格ないくせに欲しがって、妻も子どもも皆不幸にしてね。
なのに私の母はそんな祖父が…自分の父親が大好きだったの。
死ぬまで神さまみたいに愛してたわ。
父親のせいでいつだって地獄にいるのに、あの人に優しい言葉や態度を与えてくれるのはあいつしかいなかったのよ。
こんな残酷なことってないわよねー」
ええ、とっても。
とても残酷。
「母はね、父親への期待が捨てられなかったの。
それを捨てたら生きていけなかったんだろうけど…私は祖父が大嫌い。
心の底から憎い。
今でも。
母が祖母に虐待されたのは祖父のせいだし、あそこまで困窮したのは祖父に生活力がなかったからだし、全部あいつのせいなのよ。
私は…気付いてほしかった、死ぬ前に。
祖父のせいで不幸になってたんだって気付いてほしかった。
気付かなかったけど。
でも期待を捨てたら生きていけなかったのかもとも思う。
死ぬくらいなら仕方ない…って私考えたいのだけれど、どうしても思えないのよ。
だってあんなに母にめちゃくちゃにされて、死んでやっと救われたんだもの。
母が気付かなかった代わりに、私が祖父を憎んで苦しんでるのね。
どこまでも嫌な男」
父親への期待が捨てられない。
愛だと信じたい。
事実に気付きたくない。
…なんとも考えさせられる大先輩レディーのお話でした。
家父長社会の歪みや有害な男らしさを感じ取る歴史でもありますね。
お祖父さんはなぜにそんなに女遊びに依存したのか。
なのに良家の処女と結婚したがったのか、子どもを産ませたのか。
私達は耐えた先人たちの話を聞かなくてはいけない…そんな風に思いました。
【残念ながらよくある、悲しい話】
大先輩レディーがこんな悲しい話をしてくれました…。
「私の母はね、母親…私から見て祖母に、子どもの頃から…ううん、きっとお腹に入った胎児の頃から。
それはそれは人格否定されて、産まれてからは暴力もあったし、お金も随分取り上げられたし、ほんとうにとんでもない虐待をされたの。
心が壊れてしまったんでしょうね。
火山が噴火するみたいに凶暴になることが多かったし、死ぬまでの10年くらいはそりゃー狂ってね。
母が死んだとき、私も他の家族も嬉しかったの。
やっとこれであの理不尽に怯えないで生きていけるって…やっと、自分たちの人生を始められるって思った」
辛くて苦しい、嘘だったらいいけれど残念ながらよくある、この世の地獄。
話はその毒母さんが盲目的に信頼していた父親、大先輩レディーの祖父さんのことに。
「私はだいっっっ嫌いだったから美形なんて思ったことなかったけど、おじいさんは男前だ美丈夫だ美男子だとよく言われていてね」
写真を見た人の話だと、長身・筋肉ムキムキ・和顔ながら色気ただようガチ美男子だったらしいです。
「私の祖母と婚約する前から、関係のある女性が数え切れないほどいたのよ。
素人さんも玄人さんも。
でも良家の処女と結婚したかったのか、ぜんぶ黙って祖母と結婚して、私の母を妊娠した時に全部ばれたの。
祖母はお前さえいなければ離縁できるのに…って全ての恨みをお腹の子にぶつけてね。
実家も妊娠してるからって理由で助けてくれなかった」
良家の子女、じゃなくて処女。
ここにもまた意味がある。
しんどい(しんどい)。
「それだけでも耐えられないでしょう?
なのに戦中戦後の動乱でお金まで失ってね。
お屋敷に住んでるのに借金まみれ、使用人にお給料も出せない。
借金してダンナが行くのは芸者さんのところ。
これで狂うなって方が無理だけど、全部全部祖母は子どもたちに怒りをぶつけたの。
全部夫が、祖父が悪いのに」
愛と金…。
しんどい(しんどい)。
「ぜんぶぜんぶ祖父が悪かったのよ。
結婚するのも子どもを作るのも資格ないくせに欲しがって、妻も子どもも皆不幸にしてね。
なのに私の母はそんな祖父が…自分の父親が大好きだったの。
死ぬまで神さまみたいに愛してたわ。
父親のせいでいつだって地獄にいるのに、あの人に優しい言葉や態度を与えてくれるのはあいつしかいなかったのよ。
こんな残酷なことってないわよねー」
ええ、とっても。
とても残酷。
「母はね、父親への期待が捨てられなかったの。
それを捨てたら生きていけなかったんだろうけど…私は祖父が大嫌い。
心の底から憎い。
今でも。
母が祖母に虐待されたのは祖父のせいだし、あそこまで困窮したのは祖父に生活力がなかったからだし、全部あいつのせいなのよ。
私は…気付いてほしかった、死ぬ前に。
祖父のせいで不幸になってたんだって気付いてほしかった。
気付かなかったけど。
でも期待を捨てたら生きていけなかったのかもとも思う。
死ぬくらいなら仕方ない…って私考えたいのだけれど、どうしても思えないのよ。
だってあんなに母にめちゃくちゃにされて、死んでやっと救われたんだもの。
母が気付かなかった代わりに、私が祖父を憎んで苦しんでるのね。
どこまでも嫌な男」
父親への期待が捨てられない。
愛だと信じたい。
事実に気付きたくない。
…なんとも考えさせられる大先輩レディーのお話でした。
家父長社会の歪みや有害な男らしさを感じ取る歴史でもありますね。
お祖父さんはなぜにそんなに女遊びに依存したのか。
なのに良家の処女と結婚したがったのか、子どもを産ませたのか。
私達は耐えた先人たちの話を聞かなくてはいけない…そんな風に思いました。