今の歌声は

ohtaと申します。M!初演の中川晃教さんに感動してこのブログをはじめました。ゆるゆると更新中。よろしくお願いします。

映画 アメリカン・ユートピア

2021-06-16 22:58:13 | cinema


3月に母が入院しました。
4月上旬に一時退院したものの、再度の入院となり・・・
幾度か峠を越して、ようやく見通しが立つところまでなんとか来ました。

コロナ禍で面会が出来ず、気を揉むことも多く、辛かったです。

そんな日々だったので、舞台を観る余裕もなく、アッキーのコンサートもやむなくキャンセルしたり(泣)
エンタメを楽しめるのは、身近な家族の健康あってこそ、ということを痛感しております。

最近は母もどうやら落ち着いてきて、私も少し気持ちの余裕が出てきて、娯楽を求める気持ちが出てきました。

そんな中、ラジオのピーター・バラカンさんの番組で映画「アメリカンユートピア」が紹介されていて、どうしても見たくなってしまい、行ってきました。

素晴らしかったです!
観てよかった!
というか、また観たい(笑)

元トーキングヘッズのデヴィッド・バーンが2018年に出したアルバム「アメリカン・ユートピア」を元に、ショーとして2019年秋から期間限定でブロードウェイで上演された舞台の映画化です。

ブロードウェイのハドソンシアターという劇場での上演ということで、中心は音楽であるけれども、表現方法としてはかなり演劇的要素があると思いました。

細い鎖のカーテンに囲まれた舞台には何もありません。
出演者はデヴィッド・バーン含め12人。
皆ミュージシャンで、ギター2人、ダンスが2人、キーボード1人、パーカッション6人。
デヴィッド・バーンがボーカルとMCという構成。

普通、バンドのライブというと、ドラムセットやらキーボードやらギターのアンプとか、それに繋げるコードなんかが所狭しとあるんですが、
そういう付属物はいっさいありません。
何もない舞台で、いるのは出演者のみ。

皆、楽器を自分で持って、演奏します。
ワイヤレスで音響機器に繋がっているんでしょうね。
とにかく、スッキリした舞台です。

全員ライトグレーのスーツに裸足。
マーチングバンドのように動き回りながら演奏します。
コードとか無いから自由に動けるんですね。
とても面白かったです。

そして、フォーメーションを変えながら、ダンスするんですけど、これが凄く面白い!

パントマイムのような、アルゴリズム体操みたいな、独特な動き。
見てて全然飽きませんでした。

以前観た「ねじまき鳥クロニクル」の舞台を思い出しました。
あの独特な静かな動きと計算された美しい照明。

そして、何故か昔観た「ママ、アイ・ウォント・トゥ・シング」というミュージカルのことも。
ブロードウェイミュージカルだけれども、コンサートライブに行ったかのような、凄いライブ感があった舞台でした。

あっという間の1時間半でした。

あと、感じたのは、メッセージ性。
タイトルからも感じますが、政治的なメッセージも含みつつ、しかし、一番は人に対するメッセージかなと。

しかし、そう言ったメッセージが特に声高に語られるという感じではなく、辛辣になりすぎず、観て面白い舞台、エンターテイメントとして実現していることが素晴らしい思いました。

ただ、アフリカ系アメリカ人が殺害されている事件の犠牲者を追悼する「He’ll You Talmbout」は、強い悲しみ、怒りが感じられて胸が熱くなりました。

音楽的には6人のパーカッション隊の迫力に支えられたグルーブ感が圧倒的で、感動的です。

私はトーキング・ヘッズのファンということでもなく、普通にヒット曲数曲を知っている程度で、「アメリカン・ユートピア」のアルバムのことも知らなかったけれど、そんなことは関係なく、とても楽しめたし、とても感動しました。

また、観に行くと思います(笑)












オスロ

2021-02-24 09:37:30 | 安蘭けい


新国立劇場 中劇場 で16日観てきました。

作  j・T・ロジャース
翻訳 小田島恒志・小田島則子
演出 上村聡史
出演 坂本昌行 安蘭けい 福士誠治 河合郁人 横田栄司 石田圭祐 那須佐代子 石橋徹郎 佐川和正
   チョウ・ヨンホ 駒井健介 吉野実紗 相島一之 益岡徹

1993年、イスラエルとパレスチナの代表者が初めて和平交渉に合意した「オスロ合意」の成立
その歴史的史実に基づいたドラマです。

何故オスロなのか。
それは、当時、イスラエルとパレスチナ、両方と良好な関係であったのがノルウェーだったそうで、
ある民間の研究機関のスタッフが仲介する形で極秘裏に合意に向けての努力がなされたそうです。

舞台は、このノルウェーの研究機関の中心人物である坂本さん扮するテリエ、その妻で外交官で
ある安蘭けいさん演じるモナが中心となって進んでいきます。

はっきり言って、中東情勢って、よくわかりません。
考えてみると、昔から、例えば「アラビアのロレンス」だって、よくわからなかった。

まあ、子供だったということもありますが・・・

一番覚えているのは、PLOのアラファト議長が国連で演説したことですかね。
なんだか、あのアラファト議長は印象的だったなあ、と思います。
詳しいことはわかりませんが。

なんだか、よくわからないことばかりだけど、重いというか深いというか。
外交の交渉ってこんな忍耐強くしないといけないのか、とか、とにかく、いろいろと
考えさせられることが多い内容でした。

政治的な内容だから、ちょっと退屈かもと思っていましたが、それほど退屈することもなく(爆)
お芝居に集中できたのは、出てくる人物たちがとても人間的で、生き生きと描かれていたからだと
思います。

そうなんです。とても人間的!

人種の垣根を越えて、お互いが自分の権利を主張し合い、なんとか合意点を見つけようとする、
見つけていきたい、その気持ちは同じなのに・・・

総論賛成、各論反対、みたいな・・・

なかなか上手くいかないなかで、それでも努力しようとするテリエ夫妻。
そこまでする必要があるのか、と考えてしまいました。

でも、そこは外交官魂がそうさせるのかなあ、と思いました。

出てくる方たち、皆個性的でした。

イスラエル側の正式な代表として登場するウリ・サヴィール役の福士誠治さん。
それまで、イスラエルは正式な代表ではなく民間人を派遣していたんですね。
福士さんの登場で場面の雰囲気がガラッと変わった気がしました。
とても存在感がありました。

その他、パレスチナ側の益岡徹さんも、良かったです。

それにしても、アラファト議長があんなに恐れられていた人物とは知りませんでした。
というか、ほんとに食えないやつ、何をするかわからない人物と捉えられていることに
ちょっと驚きました。

いや、私が無知なだけだと思いますが。
あの、国連のスピーチが頭にあって。
平和の印、オリーブの枝とピストルを両方持っている、ということの意味を改めて
考えました。

平和とは何か。
人間とは何か。

考えさせられるお芝居でした。




宝塚雪組大劇場公演 フォルティッシッシモ/シルクロード千穐楽ライヴビューイング

2021-02-11 13:41:20 | takarazuka
宝塚大劇場雪組公演千穐楽 ライヴビューイング感想その2



レビュー・アラベスク
シルクロード〜盗賊と宝石〜

作・演出は生田大和先生

生田先生も、上田先生と同じく、宝塚のこれからを担っていく演出家、ホープです。
そして、今回退団する望海さんとは、縁のある演出家です。

今まではお芝居をやってこられましたが、今回、初めてのショー作品ということで、
とても楽しみにしていました。

ストーリー仕立てになったショーでした。
望海さんが砂漠の盗賊、真綾さんが盗まれる宝石。

菅野よう子さんの主題歌が覚えやすくて、素敵なメロディでした。

生田先生は「カサノヴァ」でも、ショー的な演出があったので、初めてのショー作品といっても、
そんなに不安感はなかったのですが、思った通り、安定感のある作品になっていたと思います。

ロケットの入り方も自然で、違和感なく、全体がよくまとまっていたと思います。

フィナーレも定番な感じですが、とても良かった。

大階段の男役勢揃いの黒燕尾のダンス、トップコンビのデュエットダンス・・・

奇をてらった演出より、オーソドックスな定番が一番。
ファンにとっては、それが嬉しいのです。

今回は望海さんが青い一輪の薔薇を持って踊るのですが、最後にそれを次期トップの
彩風さんに渡すシーンがあって、素敵でした。

そして、真綾希帆さんとのデュエットダンスも素敵でした。
優しい雰囲気が出ていて、胸が熱くなりました(涙)


退団公演の千穐楽なので、本編終了後にサヨナラショーがありました。

私は望海さんの作品の全部を観たことがないので、知らない曲もありましたが、
望海さんの歌のうまさ、表現力、力強さに感動しました。

ドン・ジュアンとか、観たかったなあ!

真綾さんも歌がとても上手いので、私が大好きだった、「ファントム」からの
デュエットは凄く嬉しかったです。

歌の上手なトップコンビって、貴重。

これで大劇場は最後かと思うと、寂しい気持ちで一杯です。

望海さん、真綾さん、組子の皆さん、関係者の方々、大変な状況の中、お疲れ様でした。
素敵な歌声をありがとう。

東京公演も無事できます様に。

















宝塚雪組大劇場公演 フォルティッシッシモー歓喜に歌えー/シルクロード 千穐楽ライヴビューイング

2021-02-10 15:43:26 | takarazuka


8日(月)、宝塚大劇場 雪組公演千穐楽ライヴビューイングを観てきました。

ミュージカル・シンフォニア fffフォルティッシッシモ ー歓喜に歌え!ー
レヴュー・アラベスク シルクロード〜盗賊と宝石〜


トップコンビ 望海風斗さんと真綾希帆さんの退団公演です。
本来なら昨年11月のはずだった退団公演
コロナ禍のため、今年になっての公演でした。

1月1日初日から2月8日まで、まずは無事に公演できたこと、本当に良かったと思います。

ミュージカル・シンフォニア
fffフォルティッシッシモ ー歓喜に歌え!ー

昨年2020年は、ベートーヴェン生誕250年の年でした。
それに合わせての演目だったと思いますが、コロナ禍により、今年になりました。

作・演出は宝塚の鬼才、と言ってもいいですよね。上田久美子先生。
今、注目の若手演出家、これからの宝塚を背負って立つ才能の持ち主だと私はとても期待している先生です。

そして今回の作品は、月組のショー「BADDY」に続く衝撃作だと思います。

ベートーヴェンの生涯を辿るストーリーではあるけれど、焦点があたっているのは、内面の世界です。
非常に観念的な内容だと思いました。

なので、見ていて、これはどう捉えたらいいのだろう、と思うところが・・・
難しい、というか、今までにない表現方法のような気がしたからです。

ストーリーとして見るより、感覚的に感じる、というか、音楽を聴くように感じる、と捉えればいいのかなと思いました。

タイトルに『シンフォニア』となっているのは、そういうことか、とも。

ベートーヴェンに絡む役柄として、ナポレオンとゲーテが出てきます。

ナポレオンがロシアで敗戦するところで、夢の場面になって、ベートーヴェンと交響曲の作曲と戦い方の方法に共通の法則があると
二人で話し合うところが、とても面白かったです。

4つの音符が倍に、そのまた倍になっていく、それが兵の動かし方と同じだ、と。
アニメーションと連動した場面になっていて、凄く面白かった。

また、使われていないオケピットの使い方も、楽しかった、というか、よく考えられているな、と思いました。
オケの動き合わせて、音符が飛び散っていくアニメーションが、とても素敵だった!

そして、ベートーヴェンだけに見える存在の「謎の女」が出てきます。
耳の聴こえない彼にも、彼女の言葉は聴こえるのです。

彼の人生は「不幸」と「苦しみ」の連続、その中に女は現れてくるのです。
そんな自分の人生を思う時、ベートーヴェンはその女こそ自分の「運命」と名づけ、最後のシンフォニーを作り出していく・・・

その最後へ向かっていく場面は、とても迫力がありました。
グワっと持っていく感じが素晴らしかったです。
胸が熱くなりました。

タイトルのfff
fが3つ!
フォルテシモのさらにその上!
さらに強い音!
それが感じられる素晴らしく力のある場面でした。

これは、実際の舞台を観なければ、感じなければ、と強く思いました。

チケットが取れるかどうか心配しかないけど・・・
とにかく、手は尽くす覚悟です(気持ちだけは前向き)

そして、嬉しいことに、大劇場公演期間中に、N○Kで収録が入ったようです。
N○Kは機材が良いから、映像が綺麗なんですよね。
オンエアはいつかわからないけれど、楽しみです。











没後70年 吉田博展

2021-02-07 20:31:49 | 日記


6日、アッキーのコンサートの前に行って来ました。

東京都美術館
没後70年 吉田博展

いや〜もう、びっくり!

ー美が摺り重なるー

このコピーが表現しているように、幾重にも重なり合ってる色と形、光と影・・・

今まで私が持っていた版画というものの概念が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちる・・・

そんな感じでした。

版画なので、そんな大きな作品はありません。
A4くらいの大きさです。

しかし、その中にあるのは凄い世界でした。

今まで私が考える版画というのは、広重とか北斎の浮世絵でした。
でも、吉田博の作品はそれらとは全く違うものでした。

写真とか風景画がそのまま版画になったような、細密な写実的な絵というか。

色もグラデーションが素晴らしい。

浮世絵は摺り回数が10回程度だそうですが、吉田博の版画は、なんと、平均30回だとか。
100回近い作品もあるとのこと。

もう、気が遠くなりそう。。。
いや、それを通り越して、信じられない!

版画だから、絵師(吉田博)、彫師、摺師と分業になっているけれど、吉田博はずっと現場に
付き添ったらしい。
自ら彫ることもあったそう。

板木も展示されていたけれど、その細かさに圧倒されました。

写生帳も展示されて、とにかく細かくて、スケッチ力が素晴らしい。

若い頃は「写生の鬼」といわれていたとか。
凄い集中力を感じました。

欧米での評価が先行していて、日本での評価は欧米ほどではなかったそうですが、
浮世絵の固定観念があると、吉田博の作品は評価しにくいかも、と思いました。

故ダイアナ妃の執務室の写真が公開された時、吉田博の「光る海」と「猿沢池」があったことで
有名になったとか。

日本の浮世絵より、絵画に近い雰囲気が欧米での評価に繋がっているのですね。

3月28日まで開かれています。
会期期間中にもう一度行ってみたいです。