今の歌声は

ohtaと申します。M!初演の中川晃教さんに感動してこのブログをはじめました。ゆるゆると更新中。よろしくお願いします。

宝塚花組 MESSIAH~異聞・天草四郎~

2018-10-23 22:55:49 | takarazuka



9月はシアタークリエでジャージーボーイズでしたが、その前の東京宝塚劇場では宝塚花組が公演中でした。

お芝居は「MESSIAH 異聞・天草四郎」、ショーは「 ビューティフルガーデン-百花繚乱」の二本立て。
前回は「ポーの一族」一本立てだったので、ショーは久しぶりかな。


「MESSIAH 異聞・天草四郎」
作・演出  原田 諒
作曲・編曲 玉麻 尚一
振付・所作 尾上 菊之丞
装置    松井 るみ

天草四郎が実際にどういう人物であったのかははっきりしていないため、いろいろな設定が可能ということで、今回宝塚版四郎様はカイラギ、海賊という設定でした。

嵐で難破し、天草に流れ着き、そこで益田甚平に助けられ、彼の四番目の子供、四郎となり、苦しむ民を率いて立ち上がる、という流れでした。

苦しむ民衆を率いて蜂起する四郎がいつキリシタンになったのか、とか唐突感もありましたが、1時間半という限られた尺の中で、蜂起から幕府軍による鎮圧まで、コンパクトによく纏められていたと思います。

特に江戸幕府での石高の審議場面やキリシタンによる一揆ではなく、あくまでも百姓一揆として処理するのだと話合われる場面など、キリシタンによる氾濫などあってはならないという幕府の意向を挟み込むことによって、民衆の気持ちが踏みにじられていく流れは凄く良かったと思います。

幕府軍との原城での戦場面は、大階段を原城に見立てての設定になっていました。
大階段での立ち回りは迫力がありましたが、大階段に布が敷いてあって、みんな滑ったりしないか、見ていてちょっとハラハラしたりもしました。

宙組の「神々の土地ーロマノフの黄昏ー」の時もお芝居中に大階段が印象的に使われていたけれど、今回の花組でもインパクトありました。

四郎役の明日海りおさん
美貌の四郎様でした。海賊ということでワイルドな感じもあり、悲劇的ヒーローがぴったりでした。

山田右衛門作役は柚香光さん
あの有名な陣中旗を描いた南蛮絵師として、また、幕府側との交渉役として、一揆鎮圧後はただ1人の生き証人として、キリシタン一揆を後世に伝える役を担う重要な役どころ。
押さえた演技で今までにない役どころだったと思いますが、成長振りが感じられて良かったです。

他には憎まれ役となる松倉勝家役の鳳月杏さん
冷酷な目つきが堪らなく美しい。まさに宝塚の悪役として一つの形ができていて目を奪われました。
この役がしっかりと存在するからこそのこの悲劇。
素晴らしかったと思います。


花組は次回本公演は 祝祭喜歌劇「CASANOBA 」
また一本ものですね。
明日海さんと演出の生田大和先生とは三島由紀夫原作の「春の雪」で組んでいるし、生田先生のカサノバがどういう風に表現されるのか、とっても楽しみです。
画像も宝塚公式HPにアップされましたが、う、う、美しい!
期待しちゃいます。















内藤礼 明るい地上にはあなたの姿が見える

2018-10-14 09:29:08 | 日記・エッセイ・コラム



10月6日(土) 現代美術家 内藤礼さんの個展に行ってきました。

水戸芸術館現代美術ギャラリー
「 明るい地上にはあなたの姿が見える 」

彼女の過去最大規模となる個展ということで、ぜひ行きたいと思い、水戸まで出かけました。
一昨年、瀬戸内海の豊島にある豊島美術館に行った時、その空間に凄く感動したのですが、その空間を作ったのが内藤礼さんということで、ぜひ行きたかったんです。

水戸芸術館は水戸駅からバスで10分ほど。

自然光だけの会場
4室が縦に並んでいて、そこを貫くように進んで行きます。
まず、最初入ったところに母型という作品が

小さな点みたいな透明なスフレビーズが宙にたくさん浮いている
細いテグスで吊るされてるんですね。
周りの壁が白いこともあり、見る位置によってビーズが見えたり見えなかったり。

この浮遊感がなんというか
無重力感ともいうべきか

ここはどこ?
私はだれ?

自分の着地点、居場所がふっと飛んでいってしまうような、、、そんな感覚

部屋を進んで行くと窓のない部屋とある部屋を交互に通り抜けることになるんですが、自然光だけなので、日光の加減で微妙な影ができたり、何度も巡りたくなるそんな空間でした。

特に第3室
上部にガラスの三角屋根があり、そこから光が柔らかく差し込んでいて、どのあたりからかは分からないけれど、とにかく上の方から白い細い糸が垂れ下がっているんですね。
これが全然見えない
プログラムにはそこに作品があることが示されているのに、どんなに目を凝らしても見えなかった。
昼前に3巡したんですけど目にすることができず、自分の目が悪いせいだ、ということにして先にすすみました。

で、一旦会場を出て、お昼を食べて再入場してまたそこに行ったら…見えた!
天空から垂れる1本の蜘蛛の糸
あやふやで不確かで頼りなげな…
でも確かにありました。


光の具合だったかもしれない
でも一番違っていたのは自分かもしれない
空間を感じたから見えたのかなと思いました。

多分誰にも分からない自分だけの感覚のような気がします。

午前中に見た時は、最初はこれは何だろう、とか、こうなってる意味は何?とか、探りながら分かろうとしながら見ていて、かなり疲れました。
一回外に出てボーっと考えていたら、ふと、あの空間全体を感じればいいんだ、と思ったんです。
空間に身を任せるというか。


そしたら凄く心地よくなって、ずっといたくなりました。
不思議ですね。

時間によって光が違うし、それによって吊るされている白い風船とか小さな鈴が白い壁に揺れる淡い影を落とす…

人工の光や区切られた空間に慣れた身が、一瞬解き放たれるような感覚になりました。

いつかまた豊島美術館に行きたいなあ…












東京千秋楽を終えて

2018-10-04 21:12:21 | 中川晃教



ミュージカル ジャージーボーイズ  
東京公演が無事に終わりました。
あっという間の約1ヶ月間でした。
全33回(本当は34回だが台風で1回延期になっています)

アッキーは全公演出演、本当にお疲れ様でした。
トワング、ファルセット、普通の歌い方とは違うテクニックを使いこなしての歌の数々。
普通だったらダブルキャストでいくところでしょう。
1人で乗り切ったアッキーはもう驚異という他はない…そんな気がします。

4人のメンバー以外のキャストの方も実力のある方たちばかり。
コーラスの厚みを出すために、舞台上で演技しながら4人のメンバーの声に重ねて歌うとか(影コーラスを舞台上でやっている形ですね)、役も一つではなくいくつもあって、皆さん、本当に大変だっただろうなと。
ほんとにご苦労さまでした。

10月3日の青チームの千秋楽が東京公演の楽でもあったので、全キャストから一言づつあったのですが、皆さんとっても大変だと思うのに凄く楽しそうに話されていたのが印象的。暖かいチームだなと感じました。

これから全国公演ですね。
体調に気をつけて凱旋公演の横浜まで頑張ってください。

ところで、全国公演には参加できない私としては、舞台を観られない淋しさを乗り切らなければいけない。

映画のDVDを観る、という手もありますが、私はCDを聴きます。
ブロードウェイ版オリジナルキャストのCDです。
映画はストーリーを再構築してあって曲順とかが違っていたり、カットになっている曲もあったりしますが、CDは舞台と同じ。
台詞も入っています。一部だけど。

何と言っても曲順が同じなのが大きい。聴きながら舞台を思い出せるんです。
再現率かなり高し。
何だかアッキーの声に重なるような気がしちゃうし(空耳?)
音もとってもいい。

残念ながら日本版の映像、音源は出せないでしょうから、もう、これに頼るしか道はない。

聴きながらクリエの舞台を思い出すことにします。











帰るべき場所へ

2018-10-01 22:23:58 | 中川晃教
ミュージカル ジャージーボーイズ
4つの季節(ストーリー)をそれぞれメンバーが語り継いでゆく。
最後の冬はフランキー・ヴァリ、アッキーです。
秋~冬そして最後、ロックの殿堂の場面まで、アッキーはほとんど出ずっぱりです。

トミーの借金問題があってニックはグループを去り、ボブとフランキーは借金返済のために活動を続けます。

トミーはフランキーを道端から拾ってくれた。ニックはフランキーに歌を教えてくれた。この二人がいたから今の自分がいる。
このかけがえのない二人を欠いてフランキーはどれほど悲しかったことか…
とにかくトミーの借金を返す、ということだけがモチベーションだったのかなあと。

「Don't worry 'Bout Me」「Bye Bye Baby」
あたりは曲が楽しげなので余計に悲壮感が漂ってる気がします。
特に「Bye Bye Baby」 はフランキーの家族関係があって切ないです。

そしてボブはフランキーにソロでやることを提案します。
フランキー・ヴァリ「と」フォーシーズンズ にするんだと。
フランキーは最初は躊躇するが結局そのようになる。

そして「C'mon Marianne」が大ヒット。
しかし、用意したもう一つの曲「Can't Take My Eyes Off You (君の瞳に恋してる)」はポップにしてはハードだし、ロックにしてはソフトだ、ということでどこも出してはくれない。
「C'mon Marianne」はいい、だけどこれはちょっと…とだれも取り上げてくれないのです。今までにないスタイルの曲だからみんな二の足踏むんですね。
売れ筋じゃないと手をつけない、という業界の徹底した姿勢がよく判る。


でもボブはこの曲はフランキーにとって必要なんだ、と諦めない。
プロデューサーのボブ・クルーの進めで関係者に直接働きかけることによって、ようやく日の目をみて爆発的にヒットするわけです。

この辺の苦労があるので、フランキーが歌う「君の瞳に恋してる」の場面はすごく感動的。
ミラーボールが回る中、念願のホーンセクションをバックに歌うフランキーの姿に胸が熱くなります。(涙)

その後の「Workin' My Way Back To You」も大成功。
これも軽快な曲で凄くいい曲です。
ただ、メンバーは元のメンバーは誰もいない。フランキー以外。そのあたりが胸にとげがちくっと刺さったような気がするんです。切ない。

フランキーは言う。
曲もいい、気分もいい。でも、母に言われた。何事にも終りがある。悪いこともそうだし、良いことにも…
娘の死を知ってから歌う「Fallen Angel」は胸が締め付けられるような痛みがあります。

そして時は過ぎて…
フォーシーズンズはロックの殿堂入りをします。

それまでのいろいろな成功、挫折、争い…
今は離れ離れに過ごしている4人
そんな彼らが4人一緒に「Rag Dool」で登場するところはもう胸が一杯です。


トミーは言います。
アカデミーやエミーは金で買える。だけどこれは金で買えない。何故ならこれは一般大衆が選んだからだと。

ビートルズのような社会的ムーブメントにはならなかったけれど、底辺で働く若者達に支えられた彼ら。

成功も失敗も、女のことも家族のことも、いい事も悪いことも赤裸々なまでに語る彼らの姿を観ていると、ただの成功物語ではない人間味というか、人生の真実味が感じられて胸を打たれます。

曲の素晴らしさもあって、言葉にはならない感動が溢れてくる。涙も…

この作品が単なる普通の「カタログミュージカル」とは一線を画す感じがあるのは、そんな赤裸々な彼らの生き様に裏打ちされたリアリティがあるからだと思います。
光もあるけど影の部分も描かれている。
だから観る人の心に響くんだと思います。


























音楽を追いかけて 2

2018-10-01 20:00:51 | 中川晃教


ミュージカル ジャージーボーイズ
フォーシーズンズの物語ということで4つの季節を4人がそれぞれ語る、という形で進んでいくミュージカル。

秋はニック・マッシです。
彼はベース担当でハーモニーの天才。
フランキーに音楽を教えた人。
そして、何か問題があるとまずグループのことを第一に考える人。
自分の気持ちは置いておいて。

第一幕はトミーの多額の借金が問題として出てきたところで終わるんですが、第二幕はそれをジップ・デカルロというボスと話し合うところから始まります。

この時に歌われる「Beggin'」が凄く好き!
ちょっと黒人っぽいフィーリングでフォートップスのような感じがします。

一幕でフランキーとボブがデモテープを送ったフォローで売り込みにいろんなプロデューサーを回った時、音だけ聴いて彼らを黒人グループと思い込んでいたプロデューサーが白人と知ってビックリするわけですが、言った言葉は「黒人になってまた来て」

売れ筋じゃないと契約してもらえないんですね。

そんなことがあってちょっと黒人ぽい音作りになっているのかな、と思わせる…が、実際の曲のリリース順とミュージカル上の曲順は違っているので、「Beggin'」は実際にはニックが辞めてからの曲なので、これは私の単なる妄想でしかありません。

Beggin'に限らず他の曲も実際のリリース順とは違うわけですが、ストーリーの内容とマッチしているところがこのミュージカルの凄いところだな思います。

ちょっと脱線しました。

デカルロとの話し合いの時、ニックはそれまで我慢して抑えていた自分の鬱憤をみんなの前で発散するんですね。
ニック、そんなにトミーのことで我慢してたなんて…
誰もがニックに同情し、トミーはなんてヤツなんだ!って思う場面ですよね。
私もそう思う。そして、こんなに売れているグループなのに、ホテルの部屋が2人部屋だということにビックリもする。シングルじゃないんだと。

ってそこですか(笑)

今と時代が違うのかもしれないが、ステージも一緒、ホテルの部屋も一緒じゃ息抜けないでしょ、どうしてシングルにしてくれって言わないの、と思いました。
ツアーにはマネージャーがいると思うんだけど、そういう話は全然出てこないので良くわからないが、もしかしてその辺も全部トミーの仕切りだったのかなあ。

まあ、自分の主張はせず従っちゃうのがニックという人なのかもしれないですね。

そしてニックは時折呟く。「俺もバンド作ろうかな」と。
その裏にはいろいろ我慢してる気持ちがあったんだなって判ります。

そしてフランキーとボブのパートナーシップを目の当たりにしたこともあり、ニックはグループから去って行きます。

トミーも借金の解決のためグループから離れざるを得なくなるのでグループは二人になってしまう。
でも、トミーの借金をグループで肩代わりすることに決めたので、フランキーとボブは二人でツアーを続けるんですね。代わりの二人を見つけて。

「Stay」「Let's Hang On」
この辺りは切ないです。とっても。
スタンドマイクが4本…でもいるのは2人…
曲が軽快なだけに寂しさが増します。

またちょっと脱線ですが、メンバーの経済的問題を解決するために、一度解散したグループを再結成してツアーをするとか、よく聞く話です。
フォーシーズンズの場合は解散はしていないけれど、2人しか残っていないので実質分解状態ですよね。
残ったメンバーが必死の思いをしてまでメンバーの借金のかたをつけようとする…
その気持ちを思うと切ないです。
何もそこまでしなくてもって思う気もするけれど、下積みから一緒にやってきたメンバー同士の絆はちっとやそっとのことでは切れないっていうことなんだなと思います。

あと、ツアーの厳しさも思いました。
よくロックグループの解散理由なんかで、ツアーが原因、という話を聞くことがあるからです。
長期間、家族とも離れメンバーとステージ(仕事)も一緒、移動も一緒、そんな中ではどんなに仲良しでも気に障ることが出てくるのはしかたがないのでしょう。

ボブはツアーでは普段と違う法則が働くという。
ツアー用の家族(妻)があるとか…
もう、なんなの~って感じですよね。
でも、それが現実なのが辛い。

ヒット曲が続いて、グループで問題があってもそれは成功の裏に隠れてしまっていた訳だけれど、それがどうしようもなく現れてくるのが、秋の季節。


ああ、冬になかなか行けない…