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花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

仏手柑(ぶしゅかん)

2015-01-03 | 漢方の世界


仏手(仏手柑)は、特有の芳香を有する濃黄色の果実の先があたかも手の指の様に分かれていて、仏様の御手の蜜柑ということでこの名がついた。ミカン科ミカン属の常緑低木であるが、身が少なくて生で食べるのには不向きな蜜柑である。生薬としての働きは、疏肝理気、和胃止痛であり、脾胃・肝の気を巡らせて、上腹部の脹満感や痛み、むかつきや嘔吐、食欲不振を改善する作用を持っている。

正月の床飾りとして用いる方も昨今は少なくなったのか、市場に出向いてもなかなか入手が困難である。かつて河原町御池に開いておられたスギトラ果実店では、他所では手に入らぬ見事な仏手柑を、しかも新鮮な葉付で枝に実った形のものを毎年扱っておられた。年末の御挨拶にお伺いする時に、お納めする仏手柑を楽しみにして下さっていたお方もおられたのだが、もはやその入手もかなわずまことに残念である。

父母や掌重りのせし仏手柑   森澄雄