「葛根」は文字通り葛の根を原料とする生薬で、辛涼解表薬に分類される。初詣の帰路、今年も鍵善で黒蜜のくずきりをいただいた。吉野大宇陀の森野芳野葛本舗の葛粉を使用したくずきりである。「葛根」の五臓六腑における作用部位を表す帰経は脾胃の二経である。その効能は発表解表、昇陽透疹、解熱生津の働きであり、風熱の邪を散じ、熱毒を皮膚の表面に排出し、潤して項背の筋脉を緩め、脾胃の気を上昇させて渇きや下痢を止める働きを持つ。葛の花の「葛花」(かっか)は解酒毒、醒脾和胃の働きがあり、飲み過ぎの頭痛、口の渇き、胸が張ってむかつくなどの症状を改善する作用を示す。
くずの花
ぢぢいと ばばあが
だまつて 湯にはひつている
山の湯のくずの花
山の湯のくずの花 (『青い夜道』 田中冬二)