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木瓜(もっか)はバラ科ボケまたは同属近縁種の成熟果実からえられる生薬である。日本産の木瓜は、同じくバラ科の落葉高木である花梨(カリン)の成熟果実であり、和木瓜と称する。生の果実を漬け込んで作るカリン酒が古くから民間薬としても知られている。写真は医院駐車場の片隅に植えてあるカリンの花である。毎年四月ころに淡紅色の5弁の花を咲かせ、果実は晩秋に成熟して約10cm前後の芳香を放つ黄色い楕円形の固い果実を実らせる。生薬としての木瓜は、風湿の邪を取り除いて病変を改善する去風湿薬に分類されている。薬性は酸、温で、肝経、脾経に属し、その効能は舒筋活絡、和胃化湿で、筋・関節の運動を伸びやかにして気血を巡らせる、湿邪を除いて胃腸の働きを整える作用を有する。
なお「かりんの花」は春の季語で、「かりんの実」は秋の季語である。
清麗のひとのゆびさすくわりん咲き 佐野まもる
くらがりに傷つき匂ふかりんの実 橋本多佳子
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