敕勒歌(ちょくろくのうた) 無名氏
勅勒川 陰山下 ちょくろくのかわ いんざんのもと
天似穹廬 籠蓋四野 てんはきゅうろににて しやをろうがいす
天蒼蒼 野茫茫 てんはそうそう のはぼうぼう
風吹草低見牛羊 かぜふきくさたれて ぎゅうようあらわる
モンゴルの大草原を旅すると人生観が変わるらしい。旅した友人によれば、空には地平線まで辿れる満天の星、見えるはずのない彼方の衛星が見えて、聞こえるはずのない遠方の音が聞き取れるようになるという。人はこの大地で生まれて、また大地に帰ってゆく。
悠久の時の流れの中で、はじめて人以前の存在から人へとベクトルが向いた一瞬があったに違いない。その時、風に吹かれ原野のど真ん中に立ち、人になったばかりの小さな命は一体何を思ったのだろう。時は下り、いまやその身に余計なものを纏い過ぎて、何がデフォルト値であったのか解らない。
勅勒川 陰山下 ちょくろくのかわ いんざんのもと
天似穹廬 籠蓋四野 てんはきゅうろににて しやをろうがいす
天蒼蒼 野茫茫 てんはそうそう のはぼうぼう
風吹草低見牛羊 かぜふきくさたれて ぎゅうようあらわる
モンゴルの大草原を旅すると人生観が変わるらしい。旅した友人によれば、空には地平線まで辿れる満天の星、見えるはずのない彼方の衛星が見えて、聞こえるはずのない遠方の音が聞き取れるようになるという。人はこの大地で生まれて、また大地に帰ってゆく。
悠久の時の流れの中で、はじめて人以前の存在から人へとベクトルが向いた一瞬があったに違いない。その時、風に吹かれ原野のど真ん中に立ち、人になったばかりの小さな命は一体何を思ったのだろう。時は下り、いまやその身に余計なものを纏い過ぎて、何がデフォルト値であったのか解らない。
