映画雑感5 ガープの世界
制作国 アメリカ
制作公開年 1982年
日本公開年 1983年
原作 ジョン・アーヴィング
監督 ジョージ・ロイ・ヒル
主演 ロビン・ウィリアムズ
★感想★
T・S・ガープの短い生涯を描いている。生まれ方も死に方も常識を超えている。生まれ方は自立心に富んだ女性だったジェニー・フィールドが結婚を望まず、子供だけほしいと思ったことから始まる。看護婦だったジェニーは戦地から運び込まれた意識のない傷病兵ガープと交わり、ガープを授かったのだ。ガープ三等軍曹は亡くなった。私生児のガープは母が働く男子校ステアリング・アカデミーで成長し、そこで学ぶ。ステアリング・アカデミーを卒業したガープは母のジェニーとともにニューヨークに行き、作家を目指す。母のジェニーも自伝「性の容疑者」を書き、ベストセラー作家になる。ジェニーは女性解放運動のシンボルとなり、自宅を開放して苦しんでいる女性を受け入れる施設にする。そこで、ガープはエレン・ジェームスという11歳の少女がレイプされ証言できないように舌を切り取られた事件を知る。その事件に抗議して自らも舌を切り取るエレン・ジェームシャンという一団の活動を目の当たりにし、その不健全さに嫌悪感を抱く。そして作家になっていたガープはその一団の活動を批判する著書を書き、最後はその一員に銃殺される。
手短に言えば上記のようなあらすじだが、ガープの恋も結婚生活も、妻の浮気に子供の死、そして母のジェニーの銃殺も入ってきて盛沢山である。しかし見るからに完璧に幸福なガープの結婚生活が危機的な事態に陥ることが信じられない。平凡なストーリー展開に変化をつけるために、無理に浮気話を持ち込んでいるような感じがする。最終的には以前にもまして幸福な結婚生活が再生される。ガープを殺害するエレン・ジェームシャンという組織の狂気が今一つ描き足りないので、ガープの死がすごく唐突だ。母も息子も銃によって殺害されるという点がアメリカらしい。
ロビン・ウィリアムスが愛情溢れる父親を熱演している。