ジョン・ボインの2006年に出版された小説の映画化されたもの。イギリスとアメリカの共同制作映画で、両国では2008年に、日本では2009年に公開された。
ドイツの幼い少年の目を通してユダヤ人大虐殺、ホロコーストを描いた映画である。強制収容所の所長の8歳の息子と収容されている同い年のユダヤ人の少年の偶然の出会いから悲劇的な結末を迎えるまでを8歳の少年の冒険として描いている。しかし、現実はどこまでも残酷で、それに対して無知ゆえの無邪気さと愛らしさが際立って心が揺さぶられる映画になっている。
ドイツ人に対して、ユダヤ人と同じように最愛の者を失う悲劇を味わって見ろという作者の声が聞こえてくるようだ。それこそが作者の一番言いたかったことなのかと思うほど、結末は悲劇的だ。