今日は正月7日、五節句の一つ七草の日である。
この日に春の七草を入れた粥を食べると万病を防ぐことが出来るとされ、古くは朝廷で儀式化されたものが、今に伝えられているという。
ただ、どう考えてもこの時期に、自然の七草を手に入れることは不可能である。これと同じように桃の開花には早い桃の節句、梅雨空で星が見えない七夕なども、私たちの季節感とは大きなズレがある。この季節感のズレは、明治5年の暦の切替えのとき、五節句の旧暦日付をそのまま新暦に当てはめたことにある。
ちなみに、今年の旧暦正月7日は新暦の2月16日にあたる。七草の日が2月半ば頃となれば、この風習が始まったとされる関西地方では、それほど大きな季節感のズレを感じないのではないか思われる。
近年、かつての夏野菜が真冬でも食べられる便利な世の中になった。しかし一方で、日本人が長年にわたって培ってきた四季折々の自然観、季節感が急速に薄れていくような気がしてならない。
せめて五節句ぐらいは、季節感を生かした行事にしたいものである。
(写真:近くの商店で購入した七草)
晩秋、収穫が終わった柿木のこずえに数個の実が残されている。 これは「木守柿」といわれ、かつてはどこででも見られた風景である。
すべてをもぎ取らない理由も、今年の豊作への感謝と来年への願い、
自然(神)への捧げもの、小鳥たちへの贈り物などと土地によって様々である。
いずれにしても、人が自然の恵みへの感謝、自然との調和を願ってのこと
であろう。日本人の優しい、繊細な心があらわれている。
(写真:郡山市大槻町内にて)