秋空に映える濃い青紫色の花。美しさだけでなく、かわいらしさ、たくましさも感じる。子供の頃に「りんどう峠」という淋しげな歌を聞いた記憶があるが、この花には日本人の心に響く何かがあるような気がする。
リンドウという呼び名は、漢名の竜胆(リュウタン)が訛ったものという。この何とも恐ろしげな名前は、根の苦味がこの世で一番の熊の胆よりも苦いと言うことから付けられたとされる。生薬として健胃・消炎剤などに使われている。
現在、リンドウには多くの園芸種が出回っている。しかし、清楚な野生のものが一番美しいように思う。
深まる秋に、鮮やかさがいっそう際立つ。
(写真:棚倉町の林道にて)