ローマ軍が何故強かったのか、つらつら考えてきた、学者はどのように結論づけているか判らないが、そろそろ自分なりの考えをまとめることにした。
結論を一言で言えば、愛国心に富んだ人達に率いられた超優良企業的国家だったということだったと言う、あまりにも判りきった結論である。
1. 兵士となった人民は誇りと責任を持って戦った。
これは国家に対する自己犠牲の精神と強い義務感責任感で、かつての日本人が抱いていた感情と類似したものではないかと思っている。
2. 国家安全保障のためのインフラ整備
軍隊が高速に移動できるための手段として街道(高速道路)や橋や砦などのインフラ整備。
兵士はもとより大型の兵器(攻城用の大型兵器や投石器など)の高速移動ができ、大きく効率的効果的戦力増強に役立った。
3. ロジスティック(兵站)システムの充実
兵員・食料・武器などの補給がうまく出来るシステムが確立し機能していた。
4. 兵士は優秀な建築技師・建築技能者
ローマ軍の兵士は平時・軍事を問わずインフラの建設と整備に従事していた。
例えば、行軍中のローマ軍は、当日の行軍が終わり宿営地に到着するとあっという間に周囲に堀をめぐらし柵を立て立派な半恒久的ともいえる砦を築き、翌朝にはそれを完全に破壊して次の30kmくらいの行軍を行い、また砦の建設・破壊を繰り返す能力があった。
また、街道や橋もこれら兵士達によって建設された。ただ橋は戦略上不要とみなされると直ちに兵士達の手によって破壊され、敵を利することがないようにした。
5. ローマ軍の現地への同化
兵役中独身を守らされた兵士は、退役すると現地の娘と結婚し現地へ同化していった。
これは外国に「ローマ」を浸透させ、大いに民族的文化的同化に対し効果があった。
6. 厳しい軍律と集団戦に強い軍隊
一般民衆へ危害を加えることなどまずなかった。また、平時の戦闘訓練にあっても真剣を用いて格闘訓練を行っており、戦闘技術はもとより精神力更には長時間の激しい戦いにも耐えられる持久力も養っていた。
肉体的にははるかに勝るゲルマン系の巨人達は、緒戦では体力にものをいわせ優勢に戦えるが持久力と言う点では劣っていた。
チーム力と持久力に勝るローマ軍は、最終的に戦いに勝利を収めたのであった。
7. 全てにシステム化がなされていた。
国家としても軍隊としても、合理的なシステム化がなされており、法律やマニュアルに従った意思決定や作業が整然と行われた。また、良好なシステムは、全ての指示命令が隅々まですばやく正しく伝わりそして実行された。
それでも、ローマは五世紀頃滅亡するのであった。ペルシャなどの外的な超大敵国との戦に勝てなくなったのだった。
それまで持っていた総合力が、制度疲労とでもいうのであろうか、いずれも機能しなくなったことが直接的な原因だったが、その一番の要因は国家に対する忠誠心や義務感が薄れ個人主義的・利己的思想の蔓延だったように思えてならないのである。