前回の衆議院選挙で投票率は52%台だった。小選挙区制度という虚構で自民党が得た3分の2の議席は、全有権者の17%の支持によってしか依っていない。しかも支持率がじり貧である。今後どこまで細っていくのか、政権政党は戦々恐々のはずだ。こうしてみると、数の力といわれる表面的な議会の優勢は、個人の議員の当選基盤でみると与党議員のほとんどは極めて不安定ないし絶対的少数の上に成り立っていることがわかる。相対的多数を得ているのは他の政党が更に、さらにわずかに比較少数基盤であるからである。小選挙区制度の恩恵で国会のイスは3分の2近くを総なめにしたが、この現状では、実際には世論を動員できるような力ないことを示している。
安保法制【戦争法案】を巡っては、安倍、磯崎、高村、中谷等の幹部は、法治国家を否定する言動をちらつかせている。即ち憲法の否定、破壊をこの法律によって行おうとする姿が露骨に現れてきている。これは、自民の従来的な支持層も離反させる作用を及ぼしている。即ち、10年目、20年前の党幹部が総じて現執行部の考え方、やり方に真っ向否定的であることに現れている。
投票率は半数の有権者にとって政権選択肢がなかったことをあらわした。いわゆる無党派層、あるいは選挙に行かなかった無関心層、無自覚層は、政治がどうなっても無関心、無自覚という層ばかりとは限らない。日本人は高学歴、高学力を保有している。だから、彼等が自覚を呼び覚ますような事象、が現れるとこれまでとは違う動きが出るはずである。現在の生活の土台である憲法とそれに基づく法律体系が、その土台である憲法をハンマーでたたき割ろうとするようなクーデター的事態が生起すれば、それこそ存立危機事態だと国民は気づき、行動が生まれる。今般の安保法制の強行採決は存立危機事態なのである。国民の政治的自覚に火をつけた安倍は、自民党に取ってみれば馬鹿殿であるとしかいいようがない。国民は選挙が遠くても、行かなくとも、政治参加形態は、議会にお任せではなく、監視批判に鈍感ではない。一端覚醒させれば行動の流れに与するだろう。若い者の動き、ママ達の動きに見られるように、今までおとなしく、存立危機とは一度も思わなかった人達が怒って動き始めるとき、自民党、公明党、民主党など対米従属で結ばれた政治勢力がぐらぐらに揺れて、分解する可能性もあり、日本国民は現在は別の一極を探っていくに違いない。今回の安保法制の強引な可決は、こうした流れを集めていく可能性を持つので、法案の強行は体制側にとっても非常にリスキーな行動である。
こうしたことから、自民党の従来的支持基盤の崩れつつある一角と他の野党の支持基盤を重大な一つのテーマで共闘を組み、今般の戦争法案や、小選挙区を廃止する等の一点で、総選挙を戦えば、きっと大量の票を掘り起こして圧勝することだろう。
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