【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 緊急事態基本法の成立を急げ
(中略)
小泉純一郎・安倍晋三両元総理の2代6年で日本の内政外交上の国家危機管理システムは急速に整備された。テロ特措法、武力攻撃事態対処法、国民保護法等々三十余年放置されてきた「有事法制」関連法令が次々と制定され、あと一息で「ふつうの国」になるところだった。
「緊急事態基本法」がそれである。
≪安保会議法案も廃案に≫
有事に際して総理に非常大権を、官房長官に調整権を与える同法案は、安倍(自)、冬柴(公)、藤井(民)の3党幹事長署名入りの合意文書ができ、可及的速やかに直近の国会会期中に可決成立の運びとなっていた。
しかしこの法案は小泉総理の「8・8郵政解散」で吹き飛び、安倍内閣においても、国会衆議院の3分の2、世論支持率70%でなお可決の可能性があったのに後回しにされ、立ち消えになった。
(中略)
≪強い指揮権の確立が急務≫
日本財政大改革のため21特別会計368兆円をすべて一般会計に組み入れるためならともかく、たかが5兆円のガソリン税ごとき急場凌(しの)ぎの弥縫(びほう)策のため「みなし否決」の衆議院3分の2再可決は憲政の自殺行為に等しい。衆参の「ねじれ」は向こう5年、いや11年続く。
問題の起こる度に、解散総選挙は避け、国会を空転させて税金を浪費し、第59条で解決しようというなら、いっそ「参議院廃止法案」を衆議院で3分の2議決すればよい。いま荒海を漂流している「日本丸」に必要なのは「靠るべき舵手」すなわち「決断力に富み、責任感の強い、指揮権を持つ内閣総理大臣」である。そして誰がアメリカの大統領になろうが、プーチンがロシアの覇王になろうが、胡錦濤が「反日愛国」「愛国無罪」の波にのまれようが、北の金正日が恫喝(どうかつ)してこようが、日本の国益と日本国民の生命財産を守って、毅然(きぜん)として外交を行う「チュチェ」思想の内閣総理大臣なのである。
ミャンマーのサイクロン、中国の大地震は平和ボケの日本に対する神の啓示である。今ならまだ間に合う。福田総理は、船橋に立って舵をとり、小泉、安倍と続いた「国家危機管理体制」の確立という針路に船首を向け、廃案になった「緊急事態基本法案」を再度公明・民主の協力を得て、それこそ「憲法第59条」の伝家の宝刀を抜いてでも成立をはかるべきである。(さっさ あつゆき)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080603/plc0806030250001-n1.htm
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いま荒海を漂流している「日本丸」に必要なのは「靠るべき舵手」すなわち「決断力に富み、責任感の強い、指揮権を持つ内閣総理大臣」である。
・・・・福田総理は、船橋に立って舵をとり、小泉、安倍と続いた「国家危機管理体制」の確立という針路に船首を向け、廃案になった「緊急事態基本法案」を再度公明・民主の協力を得て、それこそ「憲法第59条」の伝家の宝刀を抜いてでも成立をはかるべきである」
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このような考えを読むことができて、本当にほっとした。
日本は一国だけで存在しているわけではなく、周辺国の事情や比較的遠い国の事情とさえ無関係ではいられない。経済だけでなくあらゆるものが行き来し、食糧、経済問題、エネルギー、疫病、天災地異など、あらゆる問題で世界中から影響を受ける。最近の天災地異の多さは異常で、わが国も危機管理システムの整備「緊急事態基本法」は急を要することだと思う。
現在の政治の混迷は、政治家の混迷であり国民の混迷だろう。国民は、「戦後」で立ち止まったまま、日本の行く先行く末を、まったく見ることができないように見える。国民が考えなければ国は立ち行かなくなる。国民は、「決断力に富み、責任感の強い、指揮権を持つ内閣総理大臣」を待望している。
〈参考〉
緊急事態基本法(きんきゅうじたいきほんほう)とは外国からの侵略やテロ、騒乱などの有事や、大きな自然災害、原子力発電所の臨界事故など、国家の独立と安全における危機や、国民の生命・財産が脅かされる重大で切迫した事態に対応するために、国として迅速かつ適切に対処するための基本法である。(Wikipedia「緊急事態基本法」より 注:Wikipediaは編集可能な百科辞典です )