大寒波襲来の日、乗るはずの飛行機が欠航になった。
同行者(障がい者)が体調不良になり、どうしてもその日に帰らねばならない。私は混雑する空港の振替便カウンターに並んだ。
いくつものカウンターの中で、ジュディ・オングに似た50歳前後の係員は手慣れた様子で顧客をテキパキと処理している。ここに並ぶしかないよねと、ジュディお姉さまの列を選ぶ。長い順番待ちだけど、他のカウンターよりも進み具合が早い。へへっ!
いよいよ私の番が来た時、高校生に見える若い女性が新規に別カウンターを隣にオープンし、「こちらへどうぞ」と私を手招き。
私「へ?????」
高校生風職員「こちらでお受けします、どうぞ!」
ちぇ、ここまで待ったのに急に何だよ~と思いつつも、その高校生風職員に予約票を渡した。いかにも頼りない高校生風職員はじっとその票を見つめている。どうしたいか希望も聞かず、長らく固まった後、端末を操作することなく無言でカウンターを離れた。おいおい、勝手にどこ行くねん!
事務室へ入り、しばらくして出てきた。近くにいた職員に声をかけた高校生風職員、なぜかそこでじっと何かを待っている。その後、訳もなくカウンター内を何度も右へ左へ小走りと謎の行動。その間もジュディお姉さまは笑顔で次々と客をこなしてゆく。私は具合の悪い同行者をベンチで待たせっぱなし。その上、予約は遅い時間のフライトだったので、この間にも振り替え可能な飛行機が離陸してゆく。あぁ、大失敗。
(ちょっと嫌味風に)時間がかかるようなら同行者の様子を見てきたいと言うと、ほっとしたように「えぇどうぞ❤」の返事。同行者はひたすらベンチに座って無事だった。
カウンターに戻ると、高校生風職員はようやく端末を立ち上げていた。そうか、いよいよ事務が進むのか。しかし、ずーっと端末を見つめているだけで何もしない。私たちが今日帰りたいのか、延泊かすら聞いてこない。なぜ?なぜ?
温厚な私もさすがに、「希望を聞かれていないけれど、今、どんな手続きをなさっているのですか?」と声をかけた。すると、驚きの答え!
「はい、本日は悪天候のため飛行機の欠航や遅延が発生しています」
この回答に腰を抜かしたね。そこで名札を確認すると、太文字で姓より大きく「実習生」とある。いえいえ、実習生が悪いんじゃないん。誰でも初めは新人、経験を積んでベテランになっていくのは良~く理解しておりますし、協力いたしますよ。
しかし、事務処理を知らない実習生がカウンターで固まっていたことは会社の責任。単に「列でお待たせしてませんよ、受け付けてますよ」という顧客への言い訳パフォーマンスでしかない。それではこの実習生も居心地が悪かろう。そもそも、こんなにイレギュラーな出来事で混乱している現場になんで実習生を出してくるのか。実習生は再び断りなく事務室へ戻ってしまった。なんだよ~、またかよ! まずこっちへ断ってから居なくなれよ。無人カウンター前でひとり、ぼーっと待つ私。長い。あぁイライラMAX!
かなり経って40歳前後の男性役席者がやって来た。
「お客さま、欠航ですがどうさせていただきましょうか? 延泊、もしくは振替便なら隣県のA空港、B空港、反対側の隣県C空港、大阪府のD空港の中から選んでもらえます」
これって最初に聞かれることで、手続きは今始まったってことだよね。今までの時間は何だったん?
その男性はさすがに要領を得てて、ささっと端末を操作し、「ではご希望どおり隣県のB空港行の便に振り替えます。往路で障がい者同行とお聞きしておりますので、前スペースの広いお席をお取りし、隣席はブロックしておきます」
預ける荷物もないし、手続きはものの数分で終わった。そして実習生がオープンした新カウンターは私が手続きしただけですぐに閉鎖された。
「お客様。他にお手伝いできることはあるでしょうか」
この男性は親切だった。特にないと断っても他の職員をベンチまで寄越し、障がい者にも出発までの説明をしてくれた。
「では出発時間が近づきますと、別の地上職員がお迎えに上がり、搭乗ゲートまでご案内します」
さすがに接客業、障がい者に対する気配りは見上げたものです。さっきの実習生Tさんの不手際は忘れることにする。
そして搭乗時間が近づき、お迎えが来た。
「あぁ、実習生Tさん!」
せっかく忘れようとしたのに、また思い出したやんか!
私たちの前をさっさと闊歩するTさんだが、こちらは体調を崩した障がい者と一緒だ。右折左折も知らせてくれず、同行者から「急に曲がったらフラっとして気分が悪くなる」と訴えられ、私が後ろから「次は右ですか?」「左ですか?」と前もって声掛け確認する。時々振り返るだけで、私たちから距離を取っていたTさん。個人の資質によるのか、それともOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング:On-the-Job Trainingいわゆる現任訓練)中だからなのか。
ブログに愚痴を描く私、年を取ったのでしょうね。
Tさん、キャリアは今始まったばかりだよ。
応援しているよ、ガンバレ!