カメラ紛失中につき、写真撮影のない思い出話です。
このステキなおじさま、ご存知ですか?
モゥリー・ポヴィッチと言う名前のアメリカ人で、職業は・・・何だろう?経歴は知らないけど、多分タレントか司会者だと思います。20年近く前に北米某所にいた頃、テレビで「モゥリー」というトーク番組を放映してて、偶然それを発見してまだ若かった私は(多分若かったと思う、そう思いたい)、その内容に強い強い衝撃を受けました。
この番組、知っている人は知っていますよね。10代の妊娠、不倫、珍しい病気、変身、制御不能な若者、性転換者、肥満、家庭内暴力等々のテーマについて、素人のゲストから話を聞く番組です。中には対立する素人ゲスト同士が番組内で罵倒し合い、絶叫し、観客を巻き込んで踊りまくり、泣き叫んで、時には取っ組み合うこともある。暴力に発展するのを押さえるため、舞台には男性警備スタッフ数人が配置されてます。えぇ、皆さんヤラセなし、本物の素人さんなんですのよ~。
代表的な企画をひとつ挙げてみます。
<You are /aren't the father>
女性が登場し、その子どもの写真がモニターに映し出される。父親は不明。そこへ父と疑われる男性が出てくる。次に男性と子供の顔写真が並べられ、観客が「似てるから父親かも」とか「似てないなぁ。人種も違うんじゃ」とか妄想を始める。男女お互いに言いたいことを叫び合い、観客も加勢。その後モゥリー・ポヴィッチが事前に行ったDNA父子鑑定の結果を発表するというもの。
その子の実父なら、 ”You are the father ”
他人の子どもなら、 ”You are not the father”
どうですか?誰一人、モザイクは掛けられることもなく、日本ではあり得ない番組でしょう。たとえモザイクあっても、あり得ないわ。
ゲストそれぞれが現在の恋人や親・親戚を連れて来るので、話はさらにややこしくなる。また、常連女性(出場10回目)の子どもの父親探しがまたも不発に終わったり、複数いる父親候補が兄弟同士だったとか、同じ男性が何度も出演してて呆れる場面もある。男性一人に対し3人の子連れ女性が一度に登場したこともある。反対に女性一人に父候補者3人の時もあったけど、実は全員父ではなかったし。
モゥリーから「You are the father(あなたの子)」と宣告された男性の反応には2種類あって、その内容が不服で怒ったり逃亡したりする場合と、態度を急変させて女性に膝まづいて「結婚してくれ」とプロポーズする場合。複雑な人間模様が観察できます。
こうなるともうトーク・ショーじゃなくて、感情的で挑発的な「タブロイド・トーク・ショー」と呼ばれるのもわかります。他にもジェリー・スプリンガー・ショーとか、同種の番組が少なくなかったんですの。いつも聞いてる英語はホントに英語なのかと思わせる程の超カジュアルな言葉遣いをなさる出演者の皆さま方に魅了され、私は怖いもの見たさでよく見たわ。この番組を楽しめれば米国文化になじめる気がして、観客募集に応募したくなったの。けれど貧乏なので、遠くまで行く飛行機代がなくてあきらめた。
当時一緒に住んでた家族はお父さんがよく法廷ものの番組を見てたけど、毎回似た場面で俳優も全然おしゃれじゃない。「このドラマ、退屈」と言ったら、「ドラマじゃなくて現実の裁判だよ、テレビ裁判」。そうか、アメリカじゃ簡単な裁判はお茶の間に生中継するのかぁ~。これも日本じゃありえない!
そこの長男は低俗な番組が嫌いらしく、私がモゥリー・ショーを見るたびに「こんな気分を害するような、下らない番組なんかよく見られるね」と言ってました。でも本当にナマの英語に接した貴重な時間だったんだもん!帰国後はモゥリー・ショーのことをすっかり忘れてて、多分今見ても当時ほど面白いとは思えないでしょう。
清く正しい(?)私のブログにあんなに過激なモゥリー・ショーの記事を投稿するなんてこと、カメラを紛失してなければ絶対にあり得ませんでした。カメラが出てくるまではしばらく過去の出来事が続くかも。どうかご容赦を!