ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

ドラマ「天国と地獄」

2007-09-11 13:28:24 | TV DVD
TVAで黒澤明監督映画のリメーク版がドラマ化された。
白黒映画時代の黒沢映画の傑作のひとつで、非常に印象に残った作品だった。
三船敏郎が主役だったが、仲代達也、山崎努の出生作にもなった映画でもある。
原作は米国のエド・マクベイン、87分署シリーズ「キングの身代金」である。
もちろんドラマでは時代設定を現代に置換えたために、舞台も東京から小樽に移し変えられている。
結論から言ふとドラマの出来はもうひとつだ。
しかし映画のシナリオを忠実にリメークしているので、骨太のドラマには仕上がっていると思う。

製靴会社の常務が勤務先の会社の株を買い増し、同時に大阪の企業と提携して自分が理想とする会社を経営しようとする。その為に用意した3億円だったが、運転手の息子が自分の子どもに間違えられて誘拐される。苦悩の末にその身代金を支払って子どもを助けてしまう。
そこからドラマは急展開、誘拐と子どもの引渡しを担当した2人の共犯者が殺害されて発見される。
その事実を伏せたまま、犯人をおびき出す作戦の警察。
犯人が身代金を入れたカバンを、浜辺の廃船を焼却する現場に持込む。そして焼却の際に発生する赤色の特殊なけむり、白黒の黒澤映画ではこの「けむり」だけが一筋の赤いカラーで描かれていたのが実に印象的だった。そのトリックで犯人が近くの病院の研修医と特定される。
共犯者が生き残っている事に不安を感じた犯人は再度、殺害の為の麻薬を手に入れる。そして共犯者の殺害された浜辺の家に侵入しようとして逮捕される。
この犯人が街の中を歩き、麻薬の売人と接触する場面を追う刑事たち、この刑事たちの動きがどうもドタバタしすぎていてあれでは犯人に気ずかれてしまうのではないかと不自然に感じました。

何故に犯人は主人公を狙ったのか、獄中の犯人が求めた主人公との面会で明かされる。
恵まれない環境で生活している犯人は、朝夕にはるかに仰ぐの豪邸の主人公(幸福な人)を不幸に陥れる、いわゆる天国から地獄に引きずり降ろす事で快感を得ようとしたのだと。
しかし主人公は今や、製靴会社を退職し自分の作りたい靴を作る職人の店を開店していた。そんな生きがいのある生活を得た主人公は犯人が冷静を装いながら、死刑の判決におびえる姿を呆然と眺める。

主人公役の佐藤浩市、警視役の阿部寛、主人公の妻役の鈴木京香がそれぞれに良い雰囲気を出している。これからも今回のドラマの様な、往年の名作のリメーク版が出るのだろうが、名作の持つ雰囲気をうまく伝えてくれる事を祈っている。


コメント (3)
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