ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

「大人の見識」

2008-01-16 20:07:09 | 勉学
昨年11月に発売さた阿川弘之さんの「大人の見識」を読みました。
もう既に読まれた方も多いと思いますが、小生なりの感想を述べてみたい。

知識人のおひとりとして、長い間にお付き合いされた方の言葉や見聞きした事例で具体的に日本人のあるべき姿を示している。従っての大戦時に日本を指導された軍人達や、果ては昭和天皇の事跡にまで言及されている。
その中で最後まで大戦を回避されようとされた、昭和天皇の苦悩の日々を具体的な証言から語っているのが目新しい。かって武田信玄の遺訓のなかに「軽躁なるものを勇蒙とみるなかれ」と戒めのことばがある。大戦時の軍の一部の強硬派に引きづられて否応なしに突入した大戦で、日本国が得た代償は大きかったことが分かる。
終戦処理を命じられた鈴木貫太郎総理は就任5日後に、敵国のルーズベルト大統領の死去のニュースに、その功績を認めたうえで「深い哀悼の意をアメリカ国民に送る」と表明した。このことが世界各国で意外な反響を呼んだ。総理の言葉が、まだあの国には騎士道精神が存在する、として国家の品位と受けとられたのでした。

終戦後に外務大臣を引き受けた吉田茂外相は、先の鈴木貫太郎総理からは、負けっぷりをよくして欲しいと指示された。そしてGHQにマッカサーを訪ねた外相は、GHQとはどんな意味かと訊ねた。「ゼェネラル・ヘッド・クオターズの略さ」と説明されが「私はGo Home Quickly!の略かと思った」と言い放ったそうだ。マッカーサの渋い顔が見えるようだ。そんな吉田外相が、その後に総理を引き継ぎ、日本国の再興に尽力したことは良く知られている事だ。

この本で著者は日本人に一番欠けているのは、ユーモア精神だということを再三述べられている。
時代を経て福田赳夫総理がサミット会議の席上、緊張したのか仁丹を口に含んだ。隣のイギリスのキャラハン首相が何の薬か聞いたそうだ。福田総理は「気分が爽やかになる薬だ」と答えた。それに対してキャラハン首相「日本国はこれ以上まだ爽やかになりたいのか」とユーモアを込めて皮肉ったらしい。それに福田総理の答えがなかった。ユーモアでのきりかえしが出来なかったようだ。イギリス人の持つユーモア精神が日本人にも必要だという意味が分かった。

そんな逸話を読んでいて、昨年の自民党総裁選挙のことを思い浮かべた。
吉田総理の孫の麻生太郎氏、対して福田総理のご子息の福田康夫氏。ユーモア精神の素因を受継ぐのは麻生太郎氏だったのではないのか?今時の政局の混乱振りを見ている時、麻生太郎氏の総理選出も日本国のためであったのかな。そんなことを考えてしまった。
コメント (6)
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