Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪と淳>彼女の劣等感

2016-04-09 01:00:00 | 雪2年(学祭後~保健室にて)

「ゲホッ‥ゲホッ‥」



猛ダッシュで青田淳から逃げて来た雪は、急に猛烈な吐き気を感じて嘔吐した。

壁に手をつきながら、嗚咽と咳を繰り返す。

「ゲホッ‥」



「はあ‥」



その場で暫く休んだ後、ようやく落ち着いた。ふぅと深く息を吐く。

驚きすぎたからか?どうして吐き気が‥



でも食べてないから何も出てこないや‥掃除せずに済んだな‥






急に全ての力が抜けた気がした。

雪はその場にへたり込むと、額や頬を壁に付けた格好で目を閉じる。

「はぁ‥ひんやりする‥」



身体全体が熱っぽかった。

しかも先程のことを思い出せば出すほど、顔から火が出るようだ。

それでなくても熱あるのに、何たる失態‥。あの人の前で真っ赤になっちゃって‥



「‥‥‥‥」



恥ずかしかった。

繰り返し思い出すのは、目を丸くして紙幣を差し出すあの人の顔‥。






その手に握られた千円札四枚を見て、わけもなく苛立った。

雪の心が皮肉に歪む。

お金いっぱい持ってるわけね。羨ましいですこと‥



似たようなことが前にもあった。

あれはグループワークのメンバーで飲みに行った時、会計を全て彼が出すという雰囲気になった時‥。

「お、おごりですか?皆で飲んでるのになんで一人で‥」



あの時の彼の顔が忘れられない。

まるでお金の心配など無いであろう彼の、変なものでも見るかのようなあの目付き‥。



あの時のことを思い出すと、ふと冷めた気分になる。

私のこと、さぞバカみたいに思ったでしょうね‥



彼と相対する度に思い知らされる、この圧倒的な劣等感。


あの人は私に‥




地面をカサカサと這う落ち葉のように、心が乾いて虚しくなる。


恥辱を与え、



踏み付けられた書類。あの時雪のプライドさえも、粉々に踏み潰された。


屈辱を与え、



ペンを落としたあの時も、無視されたあの時も、

その後姿を見る度に、いつも心は屈辱に歪んだ。


当惑させ、



意図の分からない行動も、衆人環視の中での言動も、常に雪を当惑させた。

どうしてこの人は、いつも私をこんな気持ちにさせるのだろう?と。


そして先程差し出された、あの同情。

惨めにさせる



悔しかった。

その手に握られた紙幣を見た途端、カッと燃えるように心が燃えた。

あんな状況で、私の最後のプライドまでも、



躊躇いもなく粉々にしてしまうような人間



彼と相対するといつも、自身の弱さを自覚させられる。

目を背けたい脆弱な面を、嫌でも見せつけられるのだ‥。



雪はぎゅっと口元を結んだ。

様々な感情が胸の中を駆け巡っている。

「‥‥‥」



広いキャンパスの一角で、一人ぺしゃんこになっている自分自身。

耳を澄ませば、楽しそうに会話する学生達の声が聞こえてくるというのに‥。



皆と同じ立場のはずなのに、まるで余裕の無い自分自身に、雪は改めて向き合っていた。

いや、向き合わされていた。

空は広いのに、世界は明るいのに、今の雪の目には、何も入っては来なかった‥。




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<雪と淳>彼女の劣等感 でした。

まるで走馬灯のような今回‥。雪と淳の黒歴史を遡るような展開になりました。

こうやって見ると、雪ちゃん本当に先輩が嫌い‥というか苦手なんだなと思いますね。

でもこれら過去の出来事は全部真実ではなく、全ては雪の視点なんですよね。劣等感に苛まれている雪の。

一年後の淳と雪を知っているからこそ、彼らの互いへの誤解が見て取れますね。。


次回は<雪と淳>彼らの距離 です。


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