家庭教師募集 メンター募集
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/cb/2e170015cc7beb70e56d3d9a9b6731eb.jpg)
学内の掲示板に貼ってあるその張り紙を、雪はその場でじっと見ていた。
来学期から休学をしようがしまいが、アルバイトをしなければならないことに変わりはない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/de/dd445459e868aee4bf43ff7658e6a359.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/ab/1dca27fcc9213d3d386d857be0b658b1.jpg)
雪は連絡先の紙を一枚ちぎると、そこに色々と書き込んで行った。
依然として体調は最悪だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/0f/cfa7bcd4a85a403d87d8217413c4e30a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/9f/470eae7b9f587e50a5b7244212e023fa.jpg)
紙をポケットに仕舞い、雪は胃が痛いのを我慢しながら一人廊下を歩いた。
すると向こうから、見覚えのあるシルエットが近付いてくる。
「!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/6b/35901ec655405555f2ee72b8a3d3af20.jpg)
先程、彼と太一を間違えてしまったこともあり、雪は気まずさを感じて狼狽えた。
アタフタしながら、彼に背を向けて歩き出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/08/6d0c17b6a0629c567e8fd3510cac0a66.jpg)
「あっ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/ce/ca5a66cf0a59b78d86fd498558ccbcf5.jpg)
すると目の前に、良いタイミングで聡美と太一が現れた。
雪はすぐさま彼らに声を掛ける。
「おーい!」「雪ー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/9e/34525117ebfe01f9325f1f80633ec275.jpg)
「何してんの?」「ん?バイト探してたー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/45/659942ae6dbe330f487352e773512245.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/03/0ad88742c0e51f9a6614bec1a8b81424.jpg)
青田淳は、雪の背中を見つめながらその場にじっと佇んでいた。
手の中には、薬局で買った栄養ドリンクが握られている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/fc/18fabe5c90396f779903cbd4122351a5.jpg)
会話一つ入り込む隙間も無い、彼女と自身との関係。
淳はポケットにドリンクを仕舞うと、彼女に背を向けて歩き出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/27/6af0d39da9352b6af06db6e28dff75c7.jpg)
頭の中に、およそ半年程前の雪の声が蘇った。
「おはようございます!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/ab/a6bfa08302d282be84524a0641c8672b.jpg)
あの頃は、毎日のように彼女から声が掛かった。
「こんにちはー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/f1/83e92caf72b663e1dbd81929fd179eb5.jpg)
どんなに人ごみに囲まれていても、
「こんにち‥うっ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/47/03387f16d5b9e475d478887a3a33adb0.jpg)
淳を見つけると彼女は挨拶を口にした。
「おはようございます先輩!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/0f/4c7c5862dab3ff139ca6e68fce2c55f7.jpg)
半ば捨て鉢のようなその挨拶。
淳が無視することに腹を立て、そうしているであろうことはすぐに分かった。
「先輩、こんにちは!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/dd/c9b26509c17e1ffd1bf1b19c03397ad4.jpg)
「こんにちは‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/d9/b93a3118e234ff4713bb4d5c15e54082.jpg)
いつしかその声も、聞こえなくなって行った。
そして彼女に接触する要素が、一つも無くなった今に至るのだ‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/40/8e69bda593a0defbd87bddf073600ad6.jpg)
僅かに開いた心の扉の隙間から、冷たい風が吹き込んでくるようだった。
淳がその場に立ち止まっていると、不意に後方から声が上がった。
「雪さん!」「えっ?!どうしたの?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/59/8dc2cb526419f60f9cc3e96e4cee8184.jpg)
振り返ると、福井太一が雪のことをおぶりながらこちらに向かって走ってくる。
「雪!しっかりして!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/02/ea46f7638fa4105246faf28b1fb40059.jpg)
伊吹聡美は雪が倒れたことに狼狽し、太一は冷静ながらもその足は急いていた。
彼らは横の通路に佇んでいる淳のことには気づかない。
「死んじゃいやぁ~~!」「死にませんヨ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/d4/ac2ea7027baf6b3b2e5f5671d6ed59d1.jpg)
彼らが、雪が、目の前を通過する。
「それじゃ保健室に行きまショ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/f3/ae092fd4c603b43686304a4f1ab19b95.jpg)
去り際に見えた彼女の横顔に、
滝のような汗が流れているのが見えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/50/5449917d6b6a9f329c6afdc49e2db6c7.jpg)
淳はその場に立ち尽くしたまま、そんな彼女の背中を見送る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/6d/f81bb0254d63021235f8b5e9a9f2b6b0.jpg)
「雪ぃーー!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/a7/7a9fc2322991cc0f33fe64d7eb33b0f8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/75/e828d8ccbf411576879445e82cde1752.jpg)
遠ざかって行く彼ら。
淳は目を丸くしながら、嵐のように去って行ったその背中を見つめていた‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/43/2c30b29dc81c7121fb9d68b1e00031b1.jpg)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<雪と淳>倒れる でした。
冒頭の「メンター募集」ですが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/3c/ec8676049c081f7b4da718a6ed2ff848.jpg)
メンターとは、助言者、教育者、後見人‥いわば”師”のようなものらしいです。
バイトの体制としては家庭教師とはどう異なるのか‥。ちょっと謎でした‥。どうなんだろう。
次回は<雪と淳>動く です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は化けてしまうor文章が途中で切れてしまうので、
極力使われないようお願いします!
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学内の掲示板に貼ってあるその張り紙を、雪はその場でじっと見ていた。
来学期から休学をしようがしまいが、アルバイトをしなければならないことに変わりはない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/de/dd445459e868aee4bf43ff7658e6a359.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/ab/1dca27fcc9213d3d386d857be0b658b1.jpg)
雪は連絡先の紙を一枚ちぎると、そこに色々と書き込んで行った。
依然として体調は最悪だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/67/2d0e347a5e920a88b1fc348926e9cbe2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/0f/cfa7bcd4a85a403d87d8217413c4e30a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/9f/470eae7b9f587e50a5b7244212e023fa.jpg)
紙をポケットに仕舞い、雪は胃が痛いのを我慢しながら一人廊下を歩いた。
すると向こうから、見覚えのあるシルエットが近付いてくる。
「!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/6b/35901ec655405555f2ee72b8a3d3af20.jpg)
先程、彼と太一を間違えてしまったこともあり、雪は気まずさを感じて狼狽えた。
アタフタしながら、彼に背を向けて歩き出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/08/6d0c17b6a0629c567e8fd3510cac0a66.jpg)
「あっ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/ce/ca5a66cf0a59b78d86fd498558ccbcf5.jpg)
すると目の前に、良いタイミングで聡美と太一が現れた。
雪はすぐさま彼らに声を掛ける。
「おーい!」「雪ー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/9e/34525117ebfe01f9325f1f80633ec275.jpg)
「何してんの?」「ん?バイト探してたー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/45/659942ae6dbe330f487352e773512245.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/03/0ad88742c0e51f9a6614bec1a8b81424.jpg)
青田淳は、雪の背中を見つめながらその場にじっと佇んでいた。
手の中には、薬局で買った栄養ドリンクが握られている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/fc/18fabe5c90396f779903cbd4122351a5.jpg)
会話一つ入り込む隙間も無い、彼女と自身との関係。
淳はポケットにドリンクを仕舞うと、彼女に背を向けて歩き出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/27/6af0d39da9352b6af06db6e28dff75c7.jpg)
頭の中に、およそ半年程前の雪の声が蘇った。
「おはようございます!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/ab/a6bfa08302d282be84524a0641c8672b.jpg)
あの頃は、毎日のように彼女から声が掛かった。
「こんにちはー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/f1/83e92caf72b663e1dbd81929fd179eb5.jpg)
どんなに人ごみに囲まれていても、
「こんにち‥うっ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/47/03387f16d5b9e475d478887a3a33adb0.jpg)
淳を見つけると彼女は挨拶を口にした。
「おはようございます先輩!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/0f/4c7c5862dab3ff139ca6e68fce2c55f7.jpg)
半ば捨て鉢のようなその挨拶。
淳が無視することに腹を立て、そうしているであろうことはすぐに分かった。
「先輩、こんにちは!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/dd/c9b26509c17e1ffd1bf1b19c03397ad4.jpg)
「こんにちは‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/d9/b93a3118e234ff4713bb4d5c15e54082.jpg)
いつしかその声も、聞こえなくなって行った。
そして彼女に接触する要素が、一つも無くなった今に至るのだ‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/40/8e69bda593a0defbd87bddf073600ad6.jpg)
僅かに開いた心の扉の隙間から、冷たい風が吹き込んでくるようだった。
淳がその場に立ち止まっていると、不意に後方から声が上がった。
「雪さん!」「えっ?!どうしたの?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/59/8dc2cb526419f60f9cc3e96e4cee8184.jpg)
振り返ると、福井太一が雪のことをおぶりながらこちらに向かって走ってくる。
「雪!しっかりして!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/02/ea46f7638fa4105246faf28b1fb40059.jpg)
伊吹聡美は雪が倒れたことに狼狽し、太一は冷静ながらもその足は急いていた。
彼らは横の通路に佇んでいる淳のことには気づかない。
「死んじゃいやぁ~~!」「死にませんヨ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/d4/ac2ea7027baf6b3b2e5f5671d6ed59d1.jpg)
彼らが、雪が、目の前を通過する。
「それじゃ保健室に行きまショ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/f3/ae092fd4c603b43686304a4f1ab19b95.jpg)
去り際に見えた彼女の横顔に、
滝のような汗が流れているのが見えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/50/5449917d6b6a9f329c6afdc49e2db6c7.jpg)
淳はその場に立ち尽くしたまま、そんな彼女の背中を見送る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/6d/f81bb0254d63021235f8b5e9a9f2b6b0.jpg)
「雪ぃーー!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/a7/7a9fc2322991cc0f33fe64d7eb33b0f8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/75/e828d8ccbf411576879445e82cde1752.jpg)
遠ざかって行く彼ら。
淳は目を丸くしながら、嵐のように去って行ったその背中を見つめていた‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/43/2c30b29dc81c7121fb9d68b1e00031b1.jpg)
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<雪と淳>倒れる でした。
冒頭の「メンター募集」ですが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/3c/ec8676049c081f7b4da718a6ed2ff848.jpg)
メンターとは、助言者、教育者、後見人‥いわば”師”のようなものらしいです。
バイトの体制としては家庭教師とはどう異なるのか‥。ちょっと謎でした‥。どうなんだろう。
次回は<雪と淳>動く です。
☆ご注意☆
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