Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

引っ掛かり

2016-07-01 01:00:00 | 雪3年4部(女狐と熊〜互いの問題点)


ここは都心の一角にある、とあるカフェ。



夕方迫る時刻、まだ空席がちらほらと見える程度の混み具合だった。

しかしそこに居る人達のほとんどが、一つのテーブルを囲む男二人の方を見ている。







まだテーブルに置かれて間もない珈琲からは、まだほのかに湯気が上がっていた。

青田淳はそれに口を付けようともしないまま、目の前に居る男のことをただじっと凝視している。







一方淳の向かいに座る男、河村亮は、ジャケットのポケットに両手を突っ込んだまま、

どこか落ち着かない素振りで窓の外を眺めていた。

途中チラ、と淳の方へと視線を遣る。



しかし再び気まずさからか、目を逸らしたままただ無言を貫いた。

そして淳もまた何も口にせぬまま、亮のことをじっと見続ける。



痺れを切らしたかのように、亮がいつもの憎まれ口を叩き始めた。

「こんなとこでツラ突き合わせて座ってんのも妙な気分だな」

「お前が呼び出したんだろ」



淳は亮の言葉にニコリともしないまま、本題に入るよう亮を促す。

「俺も同感だよ。話があるなら早くしてくれ」



「‥‥‥‥」



亮は暫く口を噤んだままであったが、不意にある場所に視線を留めた。

怪我をしてギブスを嵌めた、淳の右手である。



亮は淳の顔を見ずに、ボソリと呟くように質問した。

「‥それ、痛むのか?」






亮が”怪我をした手”について言及したことを受けて、淳は少し物思うところがあった。

しかし特に昔のことに触れることなく、淳はそっけなく返事をする。

「別に。ギブスしてるし」「は‥」



「だよな」



短い会話は終わり、二人の間に再び沈黙が落ちた。

淳は、亮が話し出すのをただじっと待ち続けている。






暫し黙っていた亮は、やがてゆっくりと口を開いた。

置いてけぼりの心を奮い立たせながら、覚悟だけを肚に決めながら。

「オレ、ここ出てくわ」



淳は亮の語る言葉を、相槌も挟まずにただじっと聞き続ける。

「今まで自分らしくもなく、ややこしいことばっかしてたけどよ‥」



「オレなりに、結論出したんだ。

たとえそれが誰にも分かってもらえねぇとしても、今回は‥」




亮はそこで言葉を区切り、決めた覚悟を口に出した。

「今回は、ただ逃げ出すわけじゃねぇ」



結論は出したが、左手はまだ震え続けていた。

けれど今はこうすることしか分からない。目の前にあるものを一つ一つ片付けて行くしか。

「だから話すべきことは話すし、片を付けるべきことには片を付けんだよ」

「それでこんな風に会いに来たってわけか」



すると淳が口を開いた。

表情を変えぬまま、亮の真意をなぞるように言葉を続ける。

「ここを去る前に一人一人に挨拶回りでもするつもりか?」



亮は黙っている。

淳は目の前にあるカップの縁を指でなぞりながら、胸の中にあった不安要素を口に出した。

「片を付ける、ね‥」



「お前、」



「昨日見てただろ?」



淳の瞳から光が消え、その視線は昨日の場面をなぞり始めた。

柳瀬健太との話し合いが終わり、一人佇む淳、そしてそれを見ている亮ー‥。



あの時淳は気付いていた。

事の成り行きを、終始見ていた亮のことを‥。






淳は光の消えた瞳で亮を凝視しながら、低い声で問う。

「また首突っ込んで来るつもりか?」






淳は嘗ての”監視者”に対する警戒心を剥き出しにしていた。

その瞳に宿る闇は、いつか亮が目にしたことがあるそれに違いなかった。

「また雪に‥」



”線を守れ”と言ったあの時と、

あまりにも酷似したその瞳にー‥。






「しねーよ!」



思わず亮は立ち上がった。

淳のことを指差しながら、彼からの問いを全力で否定する。

「しねぇ、しねぇって!首突っ込んだりしねーっつの!」



「ダメージには‥もう挨拶も全部済んでんだよ」



亮はそう口にして、髪の毛をぐしゃぐしゃと掻きながら大きく息を吐いた。

淳はそんな亮のことをじっと見続けている。



亮はゆっくりと着席しながら、今の自分の気持ちを正直に口に出した。

「今はただ‥全部終わらせちまいたいだけなんだ。

テメーらに絡んだオレが間違ってたよ」




「お前と、オレと、静香と‥。もうウンザリだ!」



亮はあからさまに顔を顰め、その嫌悪感を隠すことなく淳に向かって皮肉を吐く。

それは二人の別れにふさわしい幕切れに思えた。

「嬉しいか?ムカつく奴が居なくなって」



「このままだと全員疲れ切っちまって‥」

「何だと?」



しかし淳は、そこで亮の言葉を止めた。

亮が口にしたその単語一つ一つを、改めて口に出す。

「終わらせる?逃げる?」



「ウンザリだと?」



引っ掛かったファクターは、亮をこのまま行かせるわけにはいかないと淳に教える。

「亮、」



ギブスを嵌めた右手の指が、トンと机を叩いた。

淳は低い声で、亮に向かって口を開く‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<引っ掛かり>でした。

すいません良いところで

二人の話し合い、一筋縄ではいかないと思いましたがやっぱりそうなりましたね。


細かいクラブとしては、先輩のネクタイが謎の二色展開になったところが気になりましたな‥。




次回は<互いの問題点>です。


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