Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

忠告と真実

2016-07-29 01:00:00 | 雪3年4部(忠告と真実〜二人の休日)
あの頃の回想を全て終えた亮は、暫く口を噤んだまま俯いていた。



目の前にある珈琲はすっかり冷めてしまっている。

「‥‥‥‥」



まるで長い時間旅をしていたような気分だった。

しかし周りの風景は、このカフェに入った時と何ら変わっていない。



やがて亮はゆっくりと、自身の左手を動かしてみた。

五本の指全てに力が入り、手は意のままに動かせる。



亮は幾分ホッとすると、淳に向かっていつもの軽口を叩き始めた。

「だーよな」



「どんなに長々と話した所で意味なんてねーか。

とっくにダメになった手のことなんて、今更テメーにグダグダ言ってもよ」




亮はそう言って、淳に向かって自身の左手を開いて見せた。

淳は呆れたような眼差しで亮を見つめながら、ただ黙って彼の話を聞く。

「今更何をどう言おうと、オレにとってお前はこの手を滅茶苦茶にした黒幕に違いねぇし、

お前にとってオレは、ダチのフリして逐一会長にチクった卑怯な奴なんだもんな」




「‥‥‥‥」



続けられる皮肉に、淳はウンザリとした表情で亮から顔を逸らした。

亮はそんな淳の態度もお構いなしに、ただ淡々と話し続ける。

「ま、それなりにスッキリはしたけどよ、

溜まったモン全部吐き出す為にお前を呼び出したわけじゃねぇ。オレもそこまでバカじゃねぇよ。

敢えてテメーの面拝みまでして会いに来た理由は‥」




「静香のこと‥よろしく‥」



そこまで言うと、淳の目が点になった。

亮はクククと笑いながら言葉を続ける。

「なーんてことは言わねぇから心配すんな」



「完全無視してくれりゃいいからw

それと‥」




「ダメージとお前も、上手くやってってくれ」



突然亮が雪の名を口にしたので、淳は幾分目を見開いた。

亮は十年来の幼馴染に向かって、最後の忠告を口にする。

「この話もしときたかったんだ。上手くやって行きてぇならよ、」



「お前のその‥なんだ、今までの色々な悪行あんじゃん?

もうああいうことは止めろよ」




「少なくともダメージの前ではな」

「お前に‥」



そう言って淳は言葉を返そうとしたが、亮はそれもお見通しといった具合に言葉を続ける。

「”何の関係がある?”って言いたいんだろ。

確かにオレがダメージに近付いたのはテメーの女だからだし、メシおごらせたのも事実だし、

自分がクズだってのも承知してる。けどテメーにも後ろめたい面があんだってこと、自覚してんだろ。

違うか?」








淳は険しい表情で亮を睨んでいたが、何も言い返しはしなかった。

亮は自身が口にした真実とその忠告を、淳に言い聞かせるようにゆっくりと投げ掛ける。

「少なくとも今後悔してることがあんなら、今後ダメージの前で同じことはすんな。

あの図体のデカイ男に時計代弁償させんのも、単純にそれで終わりじゃねーんだろ?」




「そんなこと話してる暇があったら、

もうここからさっさと出て行ったらどうだ?」




「あーそーかい。オレがバカってことも事実だけどよ」



亮は上を向いてウンザリしたようにそう言った。

けれど脳裏に浮かぶのは、いつか夢で見た、血だらけになって泣く雪の姿だ。



亮は椅子から立ち上がりながら、もう一度釘を刺すことにした。

自身の立ち位置とこれまでの経験と、両方との折り合いをつけながら。

「だからってオレの話、聞き流すなよ。

お前の領域には踏み込まねぇから」




「それでもまぁ、お前の器が小せえからスネたんじゃねーってのは今日よく分かったよ。

オレも間違ってたしテメーも間違ってた、そういうことで気持ちよくバイバイしようじゃねーか。

オレはあと一つやり残したこと終わらしたら、完全にお別れだ」




「じゃーな」



そう言って席を立つ亮。

淳は口をへの字に曲げたまま、去って行く亮の方を見ようともしなかった。













亮はカフェを出た後、ドアの前でつと立ち止まった。



先程の回想で引っ掛かったことが、亮の足を止めているのだ。



「西条のこと‥会長が知ってただと?」

「あの時俺に疑いの目を向けていた人間はただ一人‥お前だよ、亮」



どこか違和感を感じていた。

まるで噛み合わないパズルのように、淳の主張と自身の認識が食い違う。

いや‥違う



亮は西条のことを会長に話したりはしていなかった。

ただ、世間話のついでに姉に話したことがあった。

「本当に?」「おお。そうだって」「ふぅん‥」



そしていつものように青田家を訪れた折、見たのだ。

何かを報告するかのように話す姉と、神妙な面持ちでそれを聞く会長の姿を。



「最近会長と何話してんだよ?」「アンタに関係ないじゃん」



「変な話じゃねーだろーな?」「変な話って何よぉ?」



いつもそう言ってはぐらかされた。大して気にも留めていなかったし、

自身に何も害は無かったのでそれ以上の追及はしなかった。

けれどー‥。

「亮が淳ちゃんのこと会長にチクったことも、あたしが代わりに謝るから!」



先ほど聞いたあの言葉は何だ?

なんで自分が会長にチクったことになっている?

「お前がずっと勘違いしてたことを」



亮はゆっくりと、あの事件へと繋がる糸を手繰り寄せる。

「勘違い‥」




その先に居たのは‥









亮は掠れた声で、たった一言呟いた。



「静香」





それが、輝かしい未来へと繋がっていた糸を歪ませた、真犯人だった。



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<忠告と真実>でした。

亮さんの淳への忠告、その通り!と思わず唸りました。

ここまで淳の本質を理解して、尚且つもう領域を踏み越えないと言う亮さん‥。

行かないで〜〜(再び引き止め隊)




そしてやはり黒幕は静香でしたね。

真実を知った亮さんがどう動くのか。次回に期待!‥ですが、なんと今週は特別編でした

赤ずきんちゃんですかね〜。ちょっと翻訳に自信が無いので、特別編はお休みさせて頂きます

最後の方の一コマだけ‥

「雪ちゃん、全部キミのおかげだ!」「先輩!」

「一緒に課題やろう?」



ここのパロディ(笑)




次回は<一筋の水流>です。


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