Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
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<淳と亮>過去回想(2)ー真実ー

2016-07-10 01:00:00 | <淳と亮>過去回想(1)〜(10)
亮と静香は、自分の父親に利用されていただけー‥。



僅かに開いた扉の隙間から漏れる光が、彼らを憎むのは見当違いだと淳に教え、

亮の代わりにコンサートへ出向いたり、まるで兄弟のように一緒になって行動したりと、

そういった行動を”好意”として、淳は示していたつもりだった。

亮と静香は全くの下心無しに、自分と共にいるのだから、と。

「‥けど、実際は違った」



淳は暗い瞳を偽ることなく静かな口調で話を続けた。

亮は目を見開きながら、それを聞いている。

「父さんに言いつけるだけじゃ飽き足らず、結局お前は、俺を留学させようとまでしたんだ」

「あ‥」



”留学”というワードが、亮の記憶の蓋をこじ開ける。






瞼の裏に浮かんで来たのは、何かについて悩んでいる青田会長の姿だった。

いつものように青田家を訪れた亮は、机の上に置かれたその膨大な資料に目を留める。



家政婦がお茶を運んで来た後、亮は会長に向かって話を切り出した。

「アイツ、留学させるんスか?」



「‥悩んでるよ。淳だけじゃなく、お前達のことも心配だし‥。亮はどう思う?」

「はは、オレらはまぁ‥」



亮は自分のことについては言葉を濁しながら、淳の留学についての見解を述べる。

「アイツは良い大学行った方が良いでしょーね。将来会社継ぐつもりらしいですし。

他にやりたいこともないらしいスから




会長は微笑みを浮かべながら亮の話を聞いていたが、今度は亮にその話題を振った。

「お前達自身はどうだ?留学する気があるか?」「えっ!?」



それは亮にとって、青天の霹靂とも言える話だった。

けれど会長は当然のように頷いている。

「‥留学までさせてくれるんスか?」

 

「はは、当然だ。遠慮する必要なんて無いぞ」







親も無く姉と二人だけで生きている自分が、留学出来るー‥。

突如舞い込んで来たその話は、亮の心を高揚させた。

「勿論行くっす!!」



「オレ、めっちゃめちゃ頑張りますから!音楽界に自分の名前、ぜってー「角印」します!」

「はは、「刻印」だよ」

「淳が外国で浮かれてたら、オレが兄貴分として目ぇ光らせることも出来ますし!

アイツのことカンペキ見守りますよぉ!オレはぁ!」








亮の心は浮き立ち、嬉しさに思わず打ち震えた。

いつか夢見た”三人で居る未来”の足音が、聞こえてくるような気がして。

「三人一緒に!良いじゃないスか!」



亮は会長に向かって無邪気にそう叫んでいた。

そして話は、現在へと戻る。




「あぁ?あん時お前家に居たっけ?」



亮は首を傾げながらそう淳に問うたが、淳はそれには答えずに先ほどからの流れを続ける。

「お前とこれ以上揉めたくもないけど、いつまた帰って来て絡まれるか分からないから、

ちゃんと話をつけとくべきだと思ってね。留学に学校生活の報告まで、随分うちの父さんと話し込んでたみたいだな」


「は?何のことだよ?」



亮は先ほどから淳の話の意味がいまいち掴めずにいた。

留学のことにしたって、どうして今更その話を出して来るのかが分からない。

「つーか留学のことはよぉ、会長がさせてくれるっつーから、嬉しくてついハイハイ言っちゃったんだろ!

あとお前の日常生活の報告?まぁ話してる内に色々言ったことあるかもしんねーけど、

オレがチマチマ会長にチクるわけねーだろ?あ?」




亮は苛立ちながらもそう自身の気持ちを語ったが、

淳は亮の方を見もしないで、ポツリとこう言った。

「おかしいな」

 

「いやだから、一体何がだよ?!さっきから何言って‥



やはり淳の意図が理解出来ない亮。

淳はそんな亮のことをじっと見つめながら、

彼の意識外にあるその真意を引き出そうとしていた。

「お前のその顔‥今の、それ演技なのか?」



「じゃなきゃ、ごくありふれたことだったから覚えてもないってことなのか」

「はぁ?」



そして淳は遂に口に出した。具体的なあの事件のことを。

「まるで俺が西条和夫に暴行したみたいに、

いつの間にか父さんにそう伝わってた」




「あの時俺に疑いの目を向けていた人間はただ一人‥」







淳はそう言った後、静かに指を刺した。

地面にへたり込んだ亮に手を差し伸べていたあの頃とは、もう何もかもが違っていた。

「お前だ」



「亮。お前だよ」



まるで見当違いな方向へと流れていると思われた淳の話は、

あの”西条和夫の事件”に終着することで、亮にその実感をもたらした。



身に覚えがないと言い切ることが出来ない。

それが亮の真実だった。






淳は暗く苦しい当時の記憶を引き摺り出しながら、

絶望の中で悟ったあの真実を口に出す。

父さんの俺に対する監視と抑圧に、

お前が止めを刺し、助長させたんだ。




嫌でも蘇る、僅かに開いたドアの隙間から聞こえた、両親の言い争う声。

「うちの淳のどこがおかしいって言うんですか?!」

「友達の髪を掴んで、レンガにぶつけようとしたと!

それに西条社長の息子さんにしたことも聞いてただろう?結果上級生達から袋叩きに遭わせて‥。

たとえ誰かに手出しされたとしても、こういった形で対処することが正しいと思うか?」


「それよりも子供の学校生活を逐一監視する親がどこにいますか?!

その為に河村教授の孫を同じ学校に通わせてるくせに」




自身の領域が、気がつけば侵害されていた。

その時からだった。

父親に利用されているだけだと思っていた亮の存在が、淳の中で敵になったのは。

あまりにも深く介入し過ぎた。

家族の関係と平和な日常をぶち壊したのは‥








「お前なんだよ」



何も言わない亮に向かって、淳は淡々と言葉を続けた。

そして再びあの時の記憶を想起させる為に、淳はあるキーワードを亮に投げる。

「なぁ、お前あの時も見てただろ?」



あの時、教室でー‥



そして二人の記憶は、再び高校時代を辿る‥。




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<淳と亮>過去回想(2)ー真実ー でした。

淳の心の中に常にあった疑心が、一つのきっかけで何倍にも膨れ上がってしまった感じですね。

そもそも亮は自分達に対して淳がそんな感情を抱いているとは微塵も気付かなかったので、

気がついた時には淳が自分を敵対視していた‥と。

なんかこれって萌菜との話に出て来た、高校時代の雪ちゃんとかぶります。

やられてもやられてないふりをし続けて、ある日突然相手を見切り、絶縁してしまった雪ちゃん。

この辺の話の流れのつなぎが上手いなぁ‥と改めて鳥肌でした。


次回は<淳と亮>過去回想(3)ー不穏な芽ー です。


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