「何だって?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/89/95bc6b2fa1558f5a75ce653c3cd481ce.jpg)
健太先輩が素っ頓狂な声を上げた。
それもそのはず。
雪は言ったのだ。「恵のことを、諦めてもらいたい」と。
健太先輩は雪に詰め寄った。自分の何がダメなのか。
「顔か?!金持ってなさそうだからか?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/d3/449624eb7647999a374f8079799fcd42.jpg)
雪はその勢いに後退りながら、「あの子男の人に興味ないみたいで‥」と上ずった声で答えた。
「‥嘘じゃないだろうな?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/ed/9c389525602e729170d727a30ab1b62a.jpg)
ここで健太の野生の勘が働いた。雪のことを疑り深く見つめると、きっぱりと言い切る。
「納得いかん。本人の口から聞くまでは何も信じないからな!」
そんなぁ‥と当惑する雪。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/a5/0d01dced721d8f2fb75d5c7a61252e2c.jpg)
その彼女の態度に、健太はますます苛立ちを濃くして行く。
「直接会ってもしも断られたら、その時は潔く諦める!それでいいだろ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/61/1a51cc13a35cf975cdac15ba4063f32c.jpg)
その言葉をまだ信じられない雪が、「本当ですか?」と尋ねると、健太先輩はキレ気味に言った。
「どうしてそう人を疑うかね~?!約束するっつーの!
その代わり電話とかメールとか、仲介は一切認めないからな!Eye to Eye!分かったな?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/ec/fbebd3c5265296576639051a74c4bbfc.jpg)
「‥‥‥‥」
雪は悩んだが、恵にそのことを正直に打ち明けると、意外なほどすんなり承諾してくれた。
「ハッキリ言えば諦めてくれるんでしょ?
あたしのことはともかく、雪ねぇにこれ以上迷惑かけるのは許せない!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/ea/1372844aefee1ff3b0585464d1bdfc49.jpg)
鼻息荒くそう言い切る恵。
その威勢は頼もしいが、やはり雪にとってはいつまでも小さい妹分だ。
「やっぱり心配だし、私が言っとこうか?」と雪は恵を気遣ったが、
彼女は、もう自分は子供じゃない、大学生なんだから心配ないよと笑った。
「Eye to Eye、受けて立とうじゃない!面と向かってキッパリと断ってやる!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/bc/8dfa5b45439e0ea58bd184c626a27ce1.jpg)
そう言って目からビームを出す恵に、雪は親心に似た気持ちを抱いた。
小さな頃、ミルクを飲んで雪の肩に吐いたのが嘘みたいだと、恵の頭を撫でて言う。
その優しい記憶を思い出しながら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/2e/dae519c28b0e7e8e865abc47da15f7a8.jpg)
健太先輩が、落ち合う場所は100歩譲って学校にしてやるよと言ったので、
構内の中庭のベンチで待ち合わせとなった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/24/006570ad6182cdd1c9f1eca53d58be7f.jpg)
待ち合わせ時間より早く、健太先輩はそこに座っていた。
鏡を見て身だしなみを整えた後は、ポケットからバラを一輪取り出して鼻歌を歌う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/00/feb7756e5427b2eb86da1057bec8036b.jpg)
何が諦めるだ‥やっぱりアタックする気満々じゃないか‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/e3/8f297808fadd1cd57b17469819c42c83.jpg)
雪は草陰に隠れながらその様子を窺っていた。
健太からは尾行はお断りだと言われ、恵からはついて来なくても大丈夫だと念を押されていたが、
大人しくしていられるわけがない。
雪は盗み見るのに丁度良い場所を得たとほくそ笑み、そこで恵の到着を待った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/b6/056c92fd22060bf7c415afca3343b0bf.jpg)
草の合間から、恵の姿が見え始めた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/78/ca8cc35e6f559605395467723a228362.jpg)
「来た来た」「誰が?」「恵です。あー緊張する‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/6a/a1ced547558c0430b98976c759e4d9f1.jpg)
!!
「恵、って雪ちゃんの友達の?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/44/aa3088c65e5246f057e8bb2617dc91f2.jpg)
雪は心臓が口から飛び出そうになった。
青田先輩は、どうして隠れているの?と不思議そうに雪を見ている。
「健太先輩がこっちに居るって聞いて探しに来たんだけど、
雪ちゃんがこんな所に隠れてるから気になって‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/08/9fe165faba1f978de1a999a416de09ff.jpg)
青田先輩は健太先輩に貸していたノートを返して貰うために来たんだと言った。
草陰の合間から、ベンチに座っている健太先輩に気がつくと、青田先輩は立ち上がり彼に声を掛けようとする。
「あ、健太せんぱ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/ce/08a3650c096a21585709699a01f6b097.jpg)
きゃあ!ストーップ!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/f7/af4c6a8688abc12872cd7b3d91df5cab.jpg)
考えるより早く、彼の服を掴んでいた。
!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/38/bd5476ab3b7cba9d0251b2dc0af06774.jpg)
ガサッ、とその瞬間草むらが揺れたのだが、丁度その時恵が健太先輩に声を掛けた。
「先輩!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/9a/45ad69f9863f2c03663571f58af52861.jpg)
健太は恵に気がつくと、ベンチに座るよう促した。
このままでいいですと断る恵に、健太は聞く耳を持たない‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/03/21c8006680ca919c8c11689807a1de06.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/b4/73bf690c5feeda67e4a4959da3ba6598.jpg)
草むらでは、フリーズした二人がそこに居た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/d8/be9f06116085f7a15faa519b23550d47.jpg)
彼女を凝視する彼と、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/c9/91b9433b26f80eb5e175fb324d807a13.jpg)
彼より向こうの様子が気になる彼女。
彼女の手の平が、彼の唇を塞いでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/3f/83c9f8db18b413f5c5867b71122a8145.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/50/20d98952012b1202950b2b4d57b62169.jpg)
雪はなんとか気付かれていないことを確認すると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/59/acd43e9c843ba803eac2e47aef3c03b7.jpg)
そっと、自分の唇に人指し指を立てた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/2e/9d8985fedbc8cc2d304e0f3592266771.jpg)
それを見て頷く淳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/7d/8261acd03247dfaf98b30a644fccca68.jpg)
雪は彼が今の状況を理解したことを確認すると、そっとその手の平を外した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/74/70177904811e1bd45b8deacfb7068dbd.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/f9/1540bf517fbdb5c5bca8915f5f963a9f.jpg)
雪の関心はもっぱら健太先輩と恵の方へと注がれていたが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/03/9701b9d47c454a7d7601d3958c24b085.jpg)
淳はそのまま雪を見つめて動けなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/bf/bf5fc255a03261b71aabb09f659ac235.jpg)
予想外とも想定外とも言える彼女の行動は、彼に衝撃を与え続ける。
「彼氏と別れたんだって?じゃあ俺でいいじゃん」
「それとこれとは話がまた別だと思うんですけど」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/75/824af99345c3bede5edb654f542732be.jpg)
必死で聞き耳を立てる雪を見て、淳はようやくその状況が掴めて来た。
草むらの隙間からあちらを窺い見ると、健太先輩が小西恵に花を渡そうとしているところだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/05/7f81c34f781ab6debc5e10a4e3c96093.jpg)
今度メシでも‥とめげない健太先輩に、恵はハッキリと言った。
「先輩、話が違いますよ。自分が言った言葉には責任を持つべきだと思います」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/f2/1ed252ecaa354ab256d301f67c2c3733.jpg)
目を見て諭されるそのもっともな正論に、健太は二の句も継げず、そのままダッと走り出した。
「クソッ‥!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/ab/efa058cb12ff9a853e7990b11b122a38.jpg)
恵は健太先輩がこの場から走り去るのを見届けると、草むらに居る雪に声を掛ける。
「雪ねぇ、もう出て来てもいいよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/34/ddf7206028c669c35efa60558e41b5ca.jpg)
雪はバレていたことに驚いたが、恵はカサカサ音が聞こえるからおかしいと思ったと笑った。
すると後ろから、恵の予想だにしなかった人が頭に葉っぱを乗せて現れる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/40/8a0797daf3430110d873903c93306b47.jpg)
丁度通りかかってさ、と笑う青田先輩に、恵は驚きと喜びを隠せなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/e8/56a56957ae532c41482b7f73bcf2a911.jpg)
その頃健太は、少し離れた所で一人考えを巡らせていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/03/7c859b9ca7fde67b47149dbfb93d7918.jpg)
これで諦めたら男じゃないよな?と自分に言い聞かせると、また来た道を戻って行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/3e/d66e23bd3292e1827f4e7c9110dc5c50.jpg)
雪たち三人は、その後談笑していた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/02/f87c707dbfa9632be0c8564306f4ca73.jpg)
青田先輩はせっかくだしご飯でもご馳走してやりたかったけど、健太先輩に用があるからごめんねと言い、
恵の名前を覚えていなかった先輩に、彼女はもう一度自己紹介したりした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/a0/a329b13c03a0c679f7c0351b8e67be01.jpg)
雪は多少困惑していた。恵が青田先輩に気があるのはその態度からして明らかで、
自分がこれからどう振る舞えばいいのかについて考える必要がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/a1/eb4b10def79b2219e867b9d47fabbe1a.jpg)
ふと、視線を感じた。
振り向くと、遠くから健太先輩がこちらを見ている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/8e/7028c94ad8c527e2e7006198b36f05a6.jpg)
しかし彼はすぐ踵を返し、また向こうへと歩いて行った。
雪は漠然とした不安が、心の中を覆って行くのを感じた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<接触>でした。
ここが先輩→雪にとってのターニングポイントなんでしょうね~!
先輩はその予測できない行動をする彼女に対して、ここからより一層関心を抱くようになったのでしょう。
そして、先輩が恵に何度も名前を聞くのは「俺は君に興味ないよ」という遠回しな拒絶のような気がします。
(幼い頃からモテて来た彼は、自分のことを好きな女の子を見抜く力がかなりあると思っています)
マニアック豆知識としては、前回の雪のTシャツと今回の先輩のTシャツはまるでおそろ‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/66/fd067796cb0ecc5ae022ddef75666a38.jpg)
先輩もしかして、ペアルックを狙ったのか‥?!
次回は<ファーストコンタクト>です!
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/89/95bc6b2fa1558f5a75ce653c3cd481ce.jpg)
健太先輩が素っ頓狂な声を上げた。
それもそのはず。
雪は言ったのだ。「恵のことを、諦めてもらいたい」と。
健太先輩は雪に詰め寄った。自分の何がダメなのか。
「顔か?!金持ってなさそうだからか?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/d3/449624eb7647999a374f8079799fcd42.jpg)
雪はその勢いに後退りながら、「あの子男の人に興味ないみたいで‥」と上ずった声で答えた。
「‥嘘じゃないだろうな?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/ed/9c389525602e729170d727a30ab1b62a.jpg)
ここで健太の野生の勘が働いた。雪のことを疑り深く見つめると、きっぱりと言い切る。
「納得いかん。本人の口から聞くまでは何も信じないからな!」
そんなぁ‥と当惑する雪。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/a5/0d01dced721d8f2fb75d5c7a61252e2c.jpg)
その彼女の態度に、健太はますます苛立ちを濃くして行く。
「直接会ってもしも断られたら、その時は潔く諦める!それでいいだろ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/61/1a51cc13a35cf975cdac15ba4063f32c.jpg)
その言葉をまだ信じられない雪が、「本当ですか?」と尋ねると、健太先輩はキレ気味に言った。
「どうしてそう人を疑うかね~?!約束するっつーの!
その代わり電話とかメールとか、仲介は一切認めないからな!Eye to Eye!分かったな?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/ec/fbebd3c5265296576639051a74c4bbfc.jpg)
「‥‥‥‥」
雪は悩んだが、恵にそのことを正直に打ち明けると、意外なほどすんなり承諾してくれた。
「ハッキリ言えば諦めてくれるんでしょ?
あたしのことはともかく、雪ねぇにこれ以上迷惑かけるのは許せない!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/ea/1372844aefee1ff3b0585464d1bdfc49.jpg)
鼻息荒くそう言い切る恵。
その威勢は頼もしいが、やはり雪にとってはいつまでも小さい妹分だ。
「やっぱり心配だし、私が言っとこうか?」と雪は恵を気遣ったが、
彼女は、もう自分は子供じゃない、大学生なんだから心配ないよと笑った。
「Eye to Eye、受けて立とうじゃない!面と向かってキッパリと断ってやる!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/bc/8dfa5b45439e0ea58bd184c626a27ce1.jpg)
そう言って目からビームを出す恵に、雪は親心に似た気持ちを抱いた。
小さな頃、ミルクを飲んで雪の肩に吐いたのが嘘みたいだと、恵の頭を撫でて言う。
その優しい記憶を思い出しながら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/2e/dae519c28b0e7e8e865abc47da15f7a8.jpg)
健太先輩が、落ち合う場所は100歩譲って学校にしてやるよと言ったので、
構内の中庭のベンチで待ち合わせとなった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/24/006570ad6182cdd1c9f1eca53d58be7f.jpg)
待ち合わせ時間より早く、健太先輩はそこに座っていた。
鏡を見て身だしなみを整えた後は、ポケットからバラを一輪取り出して鼻歌を歌う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/00/feb7756e5427b2eb86da1057bec8036b.jpg)
何が諦めるだ‥やっぱりアタックする気満々じゃないか‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/e3/8f297808fadd1cd57b17469819c42c83.jpg)
雪は草陰に隠れながらその様子を窺っていた。
健太からは尾行はお断りだと言われ、恵からはついて来なくても大丈夫だと念を押されていたが、
大人しくしていられるわけがない。
雪は盗み見るのに丁度良い場所を得たとほくそ笑み、そこで恵の到着を待った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/b6/056c92fd22060bf7c415afca3343b0bf.jpg)
草の合間から、恵の姿が見え始めた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/78/ca8cc35e6f559605395467723a228362.jpg)
「来た来た」「誰が?」「恵です。あー緊張する‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/6a/a1ced547558c0430b98976c759e4d9f1.jpg)
!!
「恵、って雪ちゃんの友達の?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/44/aa3088c65e5246f057e8bb2617dc91f2.jpg)
雪は心臓が口から飛び出そうになった。
青田先輩は、どうして隠れているの?と不思議そうに雪を見ている。
「健太先輩がこっちに居るって聞いて探しに来たんだけど、
雪ちゃんがこんな所に隠れてるから気になって‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/08/9fe165faba1f978de1a999a416de09ff.jpg)
青田先輩は健太先輩に貸していたノートを返して貰うために来たんだと言った。
草陰の合間から、ベンチに座っている健太先輩に気がつくと、青田先輩は立ち上がり彼に声を掛けようとする。
「あ、健太せんぱ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/ce/08a3650c096a21585709699a01f6b097.jpg)
きゃあ!ストーップ!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/f7/af4c6a8688abc12872cd7b3d91df5cab.jpg)
考えるより早く、彼の服を掴んでいた。
!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/38/bd5476ab3b7cba9d0251b2dc0af06774.jpg)
ガサッ、とその瞬間草むらが揺れたのだが、丁度その時恵が健太先輩に声を掛けた。
「先輩!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/9a/45ad69f9863f2c03663571f58af52861.jpg)
健太は恵に気がつくと、ベンチに座るよう促した。
このままでいいですと断る恵に、健太は聞く耳を持たない‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/03/21c8006680ca919c8c11689807a1de06.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/b4/73bf690c5feeda67e4a4959da3ba6598.jpg)
草むらでは、フリーズした二人がそこに居た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/d8/be9f06116085f7a15faa519b23550d47.jpg)
彼女を凝視する彼と、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/c9/91b9433b26f80eb5e175fb324d807a13.jpg)
彼より向こうの様子が気になる彼女。
彼女の手の平が、彼の唇を塞いでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/3f/83c9f8db18b413f5c5867b71122a8145.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/50/20d98952012b1202950b2b4d57b62169.jpg)
雪はなんとか気付かれていないことを確認すると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/59/acd43e9c843ba803eac2e47aef3c03b7.jpg)
そっと、自分の唇に人指し指を立てた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/2e/9d8985fedbc8cc2d304e0f3592266771.jpg)
それを見て頷く淳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/7d/8261acd03247dfaf98b30a644fccca68.jpg)
雪は彼が今の状況を理解したことを確認すると、そっとその手の平を外した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/74/70177904811e1bd45b8deacfb7068dbd.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/f9/1540bf517fbdb5c5bca8915f5f963a9f.jpg)
雪の関心はもっぱら健太先輩と恵の方へと注がれていたが、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/03/9701b9d47c454a7d7601d3958c24b085.jpg)
淳はそのまま雪を見つめて動けなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/bf/bf5fc255a03261b71aabb09f659ac235.jpg)
予想外とも想定外とも言える彼女の行動は、彼に衝撃を与え続ける。
「彼氏と別れたんだって?じゃあ俺でいいじゃん」
「それとこれとは話がまた別だと思うんですけど」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/75/824af99345c3bede5edb654f542732be.jpg)
必死で聞き耳を立てる雪を見て、淳はようやくその状況が掴めて来た。
草むらの隙間からあちらを窺い見ると、健太先輩が小西恵に花を渡そうとしているところだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/05/7f81c34f781ab6debc5e10a4e3c96093.jpg)
今度メシでも‥とめげない健太先輩に、恵はハッキリと言った。
「先輩、話が違いますよ。自分が言った言葉には責任を持つべきだと思います」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/f2/1ed252ecaa354ab256d301f67c2c3733.jpg)
目を見て諭されるそのもっともな正論に、健太は二の句も継げず、そのままダッと走り出した。
「クソッ‥!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/ab/efa058cb12ff9a853e7990b11b122a38.jpg)
恵は健太先輩がこの場から走り去るのを見届けると、草むらに居る雪に声を掛ける。
「雪ねぇ、もう出て来てもいいよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/34/ddf7206028c669c35efa60558e41b5ca.jpg)
雪はバレていたことに驚いたが、恵はカサカサ音が聞こえるからおかしいと思ったと笑った。
すると後ろから、恵の予想だにしなかった人が頭に葉っぱを乗せて現れる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/40/8a0797daf3430110d873903c93306b47.jpg)
丁度通りかかってさ、と笑う青田先輩に、恵は驚きと喜びを隠せなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/e8/56a56957ae532c41482b7f73bcf2a911.jpg)
その頃健太は、少し離れた所で一人考えを巡らせていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/03/7c859b9ca7fde67b47149dbfb93d7918.jpg)
これで諦めたら男じゃないよな?と自分に言い聞かせると、また来た道を戻って行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/3e/d66e23bd3292e1827f4e7c9110dc5c50.jpg)
雪たち三人は、その後談笑していた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/02/f87c707dbfa9632be0c8564306f4ca73.jpg)
青田先輩はせっかくだしご飯でもご馳走してやりたかったけど、健太先輩に用があるからごめんねと言い、
恵の名前を覚えていなかった先輩に、彼女はもう一度自己紹介したりした。
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雪は多少困惑していた。恵が青田先輩に気があるのはその態度からして明らかで、
自分がこれからどう振る舞えばいいのかについて考える必要がある。
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ふと、視線を感じた。
振り向くと、遠くから健太先輩がこちらを見ている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/8e/7028c94ad8c527e2e7006198b36f05a6.jpg)
しかし彼はすぐ踵を返し、また向こうへと歩いて行った。
雪は漠然とした不安が、心の中を覆って行くのを感じた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<接触>でした。
ここが先輩→雪にとってのターニングポイントなんでしょうね~!
先輩はその予測できない行動をする彼女に対して、ここからより一層関心を抱くようになったのでしょう。
そして、先輩が恵に何度も名前を聞くのは「俺は君に興味ないよ」という遠回しな拒絶のような気がします。
(幼い頃からモテて来た彼は、自分のことを好きな女の子を見抜く力がかなりあると思っています)
マニアック豆知識としては、前回の雪のTシャツと今回の先輩のTシャツはまるでおそろ‥。
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先輩もしかして、ペアルックを狙ったのか‥?!
次回は<ファーストコンタクト>です!
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東方神起の名前を出したね?出したわねーー?!
私はリーダー(ユノ)の方じゃなくて、チャンミンを先輩に…って思ってたんだけど、やっぱなんか違うのは何故かと考えたら、チャンミンみたいなあんな良い子に腹黒い役なんて無理ー!って(←親バカ気分)
ユノもチョーカッコいいけど、目がひとえぽいからなーと。あのキリッとしたひとえがいいんだけど、先輩は非常に垂れ目なので(笑)
でもあの2人、整形もなしに、あの顔で、あのルックスで、あのパフォーマンスで、って揃い過ぎててまさにそこが青田淳。笑
雰囲気が合ってても、身長や年齢が絡んでくると、ねぇ。。
私も日本人ならyukkanenさんと同じく、向井理が一番近いかとも思うんだけど、もうちょっと柔らかい雰囲気が欲しいな、と。一見ヤサオトコに見えるくらいの甘い顔希望。
あと演技力が…苦笑
韓流なら有名どころではキムU+2022ボム君かなぁ。元は涼しげな目だけど、笑うと少年のようにカワイイし。
http://matome.naver.jp/m/odai/2126473539590200201
河村さんは、私はユージ希望です。髪の色変えれば、ちゃんと外人に見られると思うし。
こんな雰囲気で↓
http://t.gree.jp/?action=public#action=api_stream_profile_list&group=people&user_id=21142069&tab=stream_profile
ちなみにジョイはイヤー。
城田優はドンピシャといえばドンピシャなんだけど、イメージ的にちとゴツイというか、安岡力也に見えちゃって…←ゴメン笑
雪ちゃんの役は、同性から好かれてなきゃ絶対無理ー。
となると、何をやっても可愛くて許せちゃう綾瀬はるか、変顔もバンバン見せる多部未華子、、嗚呼、雪ちゃんから離れてしまう。。
難しいですね。同性が見てわざとらしくなくコミカルでカワイイと思える演技が出来るようになるのは三十路過ぎてからな気がします。ここはひとつ、篠原涼子で。。笑
まだ、こちらに書いてよいですか…?
保阪尚希さんについて、
今のところお怒りの声がないようで安心です。笑
あ、まだ油断してはいけませんね。
むしろ、共感頂けて嬉しいです~!
そう、若い頃の彼です。最近はあまりよい印象ないですよね…。
松坂桃李さんは、検索すると、色々画像が出てくると思います。彼は、缶コーヒーのイメージキャラクターをしていて、そのポスターをみたときに『はぁっ…!』と思いました。なので、よろしかったらそちらも見てみてください。笑
色黒なのが、先輩のイメージとは違うのですが。
あと、あまり知らないのですが、東方神起のリーダー(元?)あの方もよいかな~と思いました。
向井理さんも候補に上がりました^ ^。
こんなにイケメン達を選りすぐって私は何様か…f^_^;でも楽しいですね~。
雪ちゃんは、候補をあげるも皆妥協案…。
もう、私がなりたいですけど(*´艸`)
りんごさんそんなに恐縮されないで下さい。
いつでも何でも好きに書き込んで下さいね。
保坂尚輝さん‥!あと20歳若ければ‥。
確かにタレ目で不遇な生い立ちで‥と被る所多いですね。彼も西洋風な顔なので、teaさんの仰るとおり、河村さん役もいけそうですね。
では一人二役で‥。(無理)
松坂桃李さんも背が高くて良いですね!
しかし皆さん面白いほど雪ちゃん役の話が出てこない‥w
>teaさん
こちらこそよろしくおねがいします!お時間ある時にいつでも覗いて下さいね☆
松坂さんはあまり知らないのでチェックしてみます!
最近の若者に疎くなってきてて‥(>人<;)
保阪さんは容姿的に私も納得です。
雰囲気が似てますよね!
さすが、りんごさん!
ただ、先輩は暗い面はあってもやっぱりお坊ちゃんというか品が良くてダークになりきれてない気がします。
拗ねてる感じが強いから。
私の中では保阪さんの内面が河村さんに重なります。
りんごさんの言われたように保阪さんの生い立ちを以前聞いたからかもしれませんが、屈折した過去や生い立ちの暗さやケンカ早くかなり男気あるとこや、でも料理や子供好きで繊細な優しいところもあるみたいだし‥。
はっU+203C語り過ぎました(T ^ T)
あまりコメに書く頻度は少ないですが、毎日何度もこのブログは拝見してます。
これからもよろしくお願いします(≧∇≦)
色々考えた結果、今のところ
松坂桃李さん…☆で。
プロフィールによると年齢、身長(183cm!)ピッタリです。
あぁ、静かだなーの横顔とか、ハマってると思うんですよね。一度試しにやって頂きたい。笑
それから、これはを書いたら皆さん引いてしまうかも…と怖くて、書いてよいものか悩みますが、試しに書いてみます
先に言っておきますが、私はこの方のファンでもなんでもありませんので…。
で、保阪尚希…。
最近テレビで見かけて、
あっ…!と思ってしまったんです。
それから、彼が時々わたしの中に現れるんです…。汗
彼の目元が…。たれ目じやないですか…?それから、彼の生い立ちも色々あったようなので、内にある本質というか闇の部分、そんなのも先輩に重なると言いますか…。
少しでも理解して頂ける方がいらっしゃったら幸いです。
書いてしまったことお許しください。
先輩、オソロに嬉しくなっちゃったでしょうね!
翌日着てくるとかどんだけ!ですけどねww
みんなそれぞれ決まったファッションがあって良いですよね。個人的には柳先輩のパーカー好きです。青田先輩が着たら似合わなそうですが‥(きっとパジャマみたいになっちゃう)
>teaさん
お久しぶりです~!シャツのおそろとかマニアックすぎて引いてませんか。大丈夫ですか。(迫真)
そうか先輩は雪が自分にそれほど関心が向かなかったのにもショック受けてますよね。んー!鋭い!
手に入らないものほど欲しくなるんですね!
若い時の藤木直人さんですか!花沢類演じたのとか覚えてます~!柔らかく且つ冷たい表情も良さそうですね。
生田さんもいいですね!彼もハーフっぽい顔立ちですもんね。
妄想は膨らみますね~(^0^)
本当だ。シャツがお揃いですね!
さすが、見逃しませんね。
今度からチェックする新たな楽しみが出来ました(≧∇≦)
恵ちゃんの名前を何度も聞くのは確かに遠回しな拒絶だと思います。
また、この回は雪ちゃんが先輩の口を塞いで邪魔にして恵ちゃんの方にばかり関心がいってたので、先輩は相当ショッキングな出来事だったでしょうね。
そんな風に女の子に扱われた経験なんてなさそうだし。
さらに、これで雪ちゃんへの特別視する先輩の想いが加速したのかな。
ちなみに、私の青田先輩のイメージは若い時の藤木直人で、河村さんはドラマイケパラ時代の茶髪の生田斗真君です。
藤木さんが若くて、生田君が背が高いとバッチリな感じです(^。^)
先輩、雪ちゃんが着てるの見て「俺もコレ持ってる!わーいオソロオソロ!」て、きっと小鼻ヒクヒクさせてましたよー。
なのに、それに気づいて貰うどころか、そのシャツむんずと掴まれて倒されて口塞がれて(笑)
カンケーないけど、ケンタ先輩のスタイルは私の学生時代を思い出させるなぁ。ポロに立て襟、タンタンヘアー、みたいな。
先輩は恵ちゃんに対してチョイチョイ関心ナイヨアピールしますよね。雪ちゃんと一緒に映画行った話を唐突にし出したり。
この時も、こりゃワザとだなって思いました。こんなカワイイ子の名前、フツー忘れないだろと思うのはケンタクラスの世界の話であって、先輩クラスになると、名前を覚えてあげただけでのぼせちゃう女の子が続出してたんでしょうな。
なんか、書きたいネタが多すぎて、またまとまらなくなってきたので、この辺で…苦笑