「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

教育力向上指導員研修

2009-10-09 18:01:31 | 研修
教育力向上指導員むけの研修として、「ビジネスパートナーOHNO」の大野正人先生によるセミナーに参加させていただいた。お題は「コーチングの理論と実践」ということであったが、一般に認知されているコーチング手法の欠点を指摘した上で、その改良版である状況対応型リーダーシップ(K. ブランチャード)の理論に沿ったワークショップという形になった。

コーチングに関しては言葉自体は聞いたことがあるものの実態についてはよく知らなかったので有り難い経験になった。コーチングとは何か感じたままごく簡単に表現すると、「動機づけを高めることを目的としたカウンセリング手法」ということになる。

これに対し、状況対応型リーダーシップは「コーチングのエッセンスを加味した指示・指導」と言えそうである。つまり、人は励ましや勇気づけだけでは、必ずしも伸びていけるわけではないということのようだ。

状況対応型リーダーシップの基盤になるのは、指導を受ける側の発達段階である。セミナーでは「D1~D2までの4つの開発レベル」という言葉で表現された。

D1はいわゆる初心者で何か新しいことに挑戦しようとしている段階である。このレベルでは新しいことに対する期待感から動機づけは高いが技術力は当然低い。

D2はマンネリに入ったところで、最初の期待感は失われたが力はそれほど上がっていないというレベルである。この段階では動機づけ・技術力ともに低い。

D3は経験と共に技術力は上がってきたものの、まだ自信がない段階である。この段階では技術力は高いが動機づけは低い状態である。

D4は技術力の高まりが自信につながった段階である。この段階では動機づけ・技術力の両方が高い。

つまり、技術力をX軸に、動機づけをY軸にとってクロス分析をしたときに、第1象限がD4、第2象限がD1、第3象限がD2、第4象限がD3となる。

一方、指導する側のアプローチは、支援的行動と指示的行動に大別できる。前者は、話をきいて励まし決定に参加させる行動であり、後者は、教え、指示し、決めてやる行動である。

この二種のアプローチを4つのタイプに合った方法で調合して用いるべきだというのが状況対応型リーダーシップの基本的な考え方のようだ。つまり、動機づけが高く技術力が低いD1に対しては指示的行動中心、逆に動機づけが低く技術力の高いD3に対しては支援的行動中心にするというわけだ。双方に欠けるD2には両者をうまく組み合わせた手法が必要であり、双方を備えるD4に対しては信頼を示すだけでよいのではということになる。

理にかなった面白い考え方で大いに参考になる。しかし、個人の性格や置かれた状況など考慮すべき変数を全く無視してこの手法を絶対視するのは危険であろう。相手の話をよくきいて、一緒に考えるという姿勢がやはり基本なのではないかと感じた次第である。

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