河北新報社より転載 2013.12.18
がれき手選別終了 東松島市、リサイクル徹底 19品目に分別、再利用も

一つ一つを慎重に見極めながらがれきを分別する作業員=東松島市大曲
東日本大震災の災害廃棄物処理事業で、東松島市がリサイクルを徹底するため大曲浜地区の仮置き場で実施していたがれきの手選別作業が17日、終了した。今後は仮置き場の復旧作業などに移り、処理事業は本年度内にほぼ終了する見込み。
市内で発生したがれきの推計量は109万8000トンで、土砂やヘドロの津波堆積物は216万800トン。
市は2003年の宮城県連続地震でがれきの処理費用が膨らんだことを教訓に分別回収を徹底。震災直後に仮置き場に搬入された混合がれきについては、再利用の精度を高めるため手作業での分別を導入した。
市は市内の建設業者と協力し、仕事を失った被災者約900人を雇用して処理事業を進めてきた。手選別作業は昨年1月中旬にスタートし、最大で1日約400人が従事した。
手選別ではがれきを19品目に分別。土砂やヘドロ、コンクリートなどは復興事業に再利用した。焼却処分したのは衣類や漁網などわずかで、リサイクルは97.5%に達した。
最終日は約100人が作業に当たった。震災で牛網の自宅や農地が被災した大友昭子さん(66)は「この仕事で働く喜びを知った。作業はきつかったが、仲間と一緒だから乗り越えられた。終わってしまうのは寂しい」と話した。
事業完了に伴い、作業員約320人が仕事を失う見通しで、うち189人が再就職を希望している。市は石巻公共職業安定所などと連携し、出張相談などで支援してきた。来年1月15日には雇用保険の給付手続きや個別相談を市コミュニティセンターで受け付ける。
市市民生活部の大友利雅部長は「震災前は市民にとって貴重な財産だったがれきを丁寧に分別してくれた。作業員と、分別回収に協力してくれた市民に感謝したい」と話した。