不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La Ronda di Notte

2007-09-11 07:16:50 | アート・文化

8月29日から9月8日まで開催されていた
第64回ヴェネツィア映画祭。
カンヌ、ベルリンと並んで
世界三大映画祭の一つといわれる伝統的な映画祭は
著名な映画スターや監督が顔を揃えて話題となりました。
この映画祭で発表になった作品のひとつが
Peter Greenaway(ピーター・グリーナウェイ)監督の
「Nightwatching(夜警)」。
実在のオランダ人画家レンブラント(Rembrandt)の
同名作を取り上げて描かれたサスペンス・スリラー。
非常にミステリアスで上品な仕上がりになっている
ということで評価が高かった一作。
この絵画の奥に隠された「犯罪」を
解き明かしていくストーリー展開。

レンブラントの著名な作品のひとつとして挙げられる
「夜警(別称フランク・バニング・コック隊長の市民隊)」は
1642年にアムステルダムの
火縄銃手組合からの依頼で描かれた作品で
画面全体が薄暗いことから夜の様子を描いたと考えられて
このようなタイトルがつけられたようですが
実際には左上から差し込む光が示すように
日昼の1シーンを捉えた作品。
レンブラントらしいほのかに揺れるような独特の光は
まさに当時のオランダの自然の光を
表現したものとしてよく知られています。
Rembrandtnightwatch
作品中央に描かれる2人の人物は
コック隊長(Capitano Cocq)と副官で
周囲を囲んでいるのが火縄銃兵たち。
光のあたる部分に描かれる少女が
軍人群像の中で異様な雰囲気を放っていますが
彼女が脇に携えているトリは市民隊のシンボルでもある
二つのカギ爪を喩しているもので、
市民隊へのオマージュとなっています。

当時から登場人物が平等に描かれていないなどと批判され
この作品の後はレンブラントへの作品注文が
激減したとまで言われていますが
実際には作品は非常によい出来であり、
各登場人物の表情や服装まで
非常に細かい点まで描きこまれており
レンブラントの画家としての評価を高めた作品でもあります。
現在はアムステルダム国立美術館所蔵。

この作品を描いたときわずか23歳であったレンブラント。
アムステルダムの市民隊からの要請で
群像肖像画を描くことになりますが
作品作成中にある犯罪の存在に気づきます。
絵画の中に描かれたある人物が被害者で、
もちろん加害者も描かれています。
その犯罪にまつわる51個の暗号やなぞが
秘められているとされる作品。
この絵画を取り巻く犯罪を取り上げる映画は
レンブラントの私生活も交え、
非常に複雑な流れで展開していきます。

ちょっと忙しかったこともあり、
ここのところ全然映画を観ていないこともあり
公開の待ち遠しい作品です。

logo_albero4 banner_01