超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">中村まり&青山陽一、炸裂するブルース感覚</span>

2009-04-30 00:14:30 | 無題

青山陽一さんのロンサム・インベーダー・ツアーの一環として、渋谷ソングラインズで、中村まりさんと青山さんのジョイント・ライブが本日09年4月29日に行われれ、この二人のファンの私はにこにこライブを楽しませて頂いた。青山陽一さんは独特の歌詞世界とブルース感覚、独自の曲運びで並はずれたミュージシャンとしてよく知られている。昔はグランドファーザーズをやっていた。そのころからファンである。最近では「デッドラインズ」というアルバムの「月曜のバラッド」など、リリカルなポップ&ブルースを多数発表している。歌詞世界が少々意味不明なのに時代の空気を映していて、しかもぐっと来るし、泣ける。
比較的知名度がない中村まりさんであるが、音楽好きが聞くとぶったまげる才能である。日本で例を見ない完成度の高いカントリー&ブルースの素晴らしいシンガー&ソングライターである。声のトーンも独特で癖になる歌いぶりだ。ファースト・アルバムは「トラヴェラー&ストレンジャー」で、ライブ会場限定のかなりレアものである。セカンド・アルバムの「シーズ・トゥー・グロウ」は2千円で大手輸入レコード店で買える。まりさんは滞米経験が豊富で、英語で流暢にリリカルかつブルージーな歌詞を書く。それが若手とは思えないほど大人のソングライティングと演奏なのである。ギターの雑誌でたびたび登場する青山陽一さんが「とても勉強になる」と絶賛するギタープレイは、曲はアメリカンであり奏法は日本のギターピッキングを取り入れたものだと言う。若いのに選曲が渋い。スライディング・デルタとかキー・トゥ・ザ・ハイウェイとかロン・セクスミスを歌いこなす。今日は青山さんとユー・エイント・ゴー・ノーウェアやアイ・シャル・ビー・リリーストをカバーしていた。オリジナルは切ない心象風景を歌ったものが多く、ほろりと来るかと思えば、独特のドライなグルーヴ感があってバランスが取れている。彼女は本物だ。6月10日に新作「ビニース・ザ・バターミルク・スカイ」が発売されるので皆ゲットしよう。中村まりさんの演奏はユーチューブで結構見られているらしいことを今日知った。青山陽一さんはこのところサンプラーでボイスパートを複数その場で録音して、生音と重ねていく手法で、過激なライブを小規模編成で各地で繰り広げている。日本語中心の青山陽一さんと英語の中村まりさんではあるが、音楽好きなら思わずうなってしまう、豊かなブルース感覚である。



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<span itemprop="headline">ロジェー・ワーグナー、アメリカの無垢な部分</span>

2009-04-17 00:56:59 | 無題

ロジェー・(ロジャー)ワーグナー合唱団の二枚組のCDを中古店で入手した。東芝EMIの「アメリカの歌」と題されたCDである(TOCE 8325・26)。コンドラシンの二枚組のブラームス全集3千円と迷ったが、今回はロジェー・ワーグナー合唱団にした。ちょうどその日、アカペラ・グループのメンバーになっている友人と飲むことになっていたので、いい趣向かなと思ったのだ。CDを見せると、自分の持っているCDと黒人霊歌の曲目が違う、うらやましいぐらいだ、絶対いい買い物をした、自分が内容は保証すると実にうれしいことを言ってくれた。ディスク1は黒人霊歌集とアメリカ民謡集パート1。ディスク2はアメリカ民謡集パート2とフォスター名歌集である。ビールを飲みながら、買い物が成功か眺めていると、友人は絶対良いって、そんなに迷っていると怒りたくなると言って笑っていた。友人の参加しているアカペラ・グループは黒人霊歌やゴスペルを多く取り上げているので、黒人霊歌を知るためにロジェー・ワーグナー合唱団は良く聴いたと言う。
家に帰って眠る前にこっそりポータブルCDプレイヤーで聞いてみると、2曲を除いて全てアカペラで、何とも言いようのない感動を味わった。ディスク2の方から聞いたのだが、アメリカ民謡は知っている曲やどこかで聞いたような曲が多いのも親しみが持てる。フォスター名歌集は珠玉のアメリカの心の歌で、心が洗われる。谷川俊太郎の詩に「魂のいちばんおいしいところ」というのがあるが、まさにアメリカの魂の最良の部分を手渡されたような気がした。ディスク1も続いて聞いた。黒人霊歌のなかでも、「私の苦悩を誰もしらない」がいちばん心を打たれた。日々の暮らしで手痛い挫折も味わい、人生の末路のほろ苦さも目にしているなかで、「私の見た悲惨を誰も知らない、イエス・キリスト以外は」という歌詞にはぐっときた。苦悩への共感がこの種の歌を支えている。このCDはアメリカの最良の無垢な部分を堪能させてくれる。それは、バーズのロジャー・マッギンが4枚組のフォーク・デン・プロジェクトで光を当てた世界でもある。また、ドヴォルザークが、アメリカに国民音楽を創生するならここを基礎とすべきだと語っていたような世界でもある。最近映画「ヤング@ハート」で合唱に目覚めた私だが、なかなか心洗われる懐の深い世界のようだ。



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