超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">高尾山、三つ星の霊気</span>

2009-08-28 15:47:21 | 無題

早朝起きて、遊びに来た隣の猫を庭に出す。
それから高尾山口駅まで行く。駅から歩いてケーブルカーの駅まで行き、もみじ号で登る。フニクリ・フニクラ気分である。ケーブルカーを降り、1号路で山頂を目指す。高尾山は真言宗薬王院(智山派)の山である。薬王院の入り口には霊気満山という銘が掛けられている。
高尾山は天狗の山として有名で、御本尊飯縄大権現は烏天狗のお顔である。山門を急な階段で山頂まで登る。山頂に着くと、富士山が見えた。おじさん、おばさんを中心に憩っていたが、体育会系の女の子たちが駆け上がってきて、ここが山頂ですか、嬉しいと歓声を挙げていた。
おにぎりとお菓子を食べ、富士山の写真を撮って4号路で帰る。山際の細い道で下に落ちそうで怖い。ヘインズの靴がボロボロになった。50分位歩いてケーブルカー乗り場に着く。
さすがミシュラン三つ星の登山地、霊気満山である。高尾山は関東修験道根本道場の顔も持つ。子どもの頃、インドの行者みたいな人が密かに住んでいるのではないかと思ったものだ。
帰りはわかば号に乗って降りる。名物高尾せんべい(瓦煎餅)を土産に買って帰る。
靴がだめになったので、家の最寄り駅で代わりの靴を買って家路に就く。
着替えて荷物を片づけてアイスコーヒーを飲む。朝早く出掛けて正解だった。ミシュラン三つ星なので昼頃からだいぶ混み始めていた。鏡を見ると日焼けしていた。ささやかな夏休みである。
修験道根本道場と言えば、五来重氏の諸作、とりわけ「山の宗教」や「空海の足跡」を思い出す。山駆ける修験者や聖たちの民間信仰が日本の宗教を下から支えてきた。空海も山岳修行者として信仰され、最後は五穀を断って寂滅したのだろうと五来氏は語る。
宗教民俗学の立場から民間信仰を緻密に調べ上げた人である。記述がリアルで目が離せない。
修験者たちは自然空間を曼荼羅に見立て、自然の胎内で死んで生まれ変わるのだと内藤正敏氏は体験から語る。聖のなかには化外の民もいたことだろう。山の宗教の歴史に思いを馳せる。
夕方は日記を書いて子どもの頃の記憶と今日一日を振り返った。



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<span itemprop="headline">私のジョン・レノン・デイズ</span>

2009-08-22 21:47:52 | 無題

最近、「ヤー・ブルース」ばかりきいている。
ジョン・レノンのベストは数多く出ているが、私が気に入っているのは、レノン4CDという企画盤である。ソロの代表曲とちょっと通好みのライブ音源が網羅されていて楽しい企画ものである。
一枚目は「平和を我らに」や「人民に力を」のような代表曲の他、ロック史上屈指の名盤「ジョンの魂」が丸ごと収録されていてうれしい。私は高校生の頃この「ジョンの魂」を聴き終えて、世界の景色が一瞬変わって見えた経験がある。
「魂の多難な日々の再燃の痛みを止める地声での歌」という短歌を書いた。
実際ジョン・レノンはアーサー・ヤノフ博士のプライマル・スクリーム療法の影響を受けて、幼少体験の苦しみを地声で叫ぶ方法をこのアルバムに取り入れた。裸のジョンがそこにはいる。このアルバムだけ取って見ても、ジョン・レノンのファンを揶揄する批評家を私は信じない。その他ライブ・イン・トロントの音源が収録されている。
二枚目はアルバム「イマジン」「ヌートピア宣言」を中心に構成されている。ライブ・イン・ニューヨーク・シティから数曲選ばれている。
三枚目は「心の壁、愛の橋」「ロックンロール」時代である。この頃ジョンは不本意にオノ・ヨーコと別居して半ば自棄になって活動しており、孤独な心の傷が痛々しい。エルトン・ジョンとのライブ音源が貴重である。
四枚目は「ダブル・ファンタジー」と「ミルク・アンド・ハニー」のジョンの歌を収録している。引退生活の後の復帰後の録音だけに溌剌としていて、しかも優しい。
ブックレットには「ジョン・レノン 家族生活」という写真集の写真がいくつか使われている。プレイボーイ紙掲載の「ジョンとヨーコ ラストインタビュー」ではジョンが過去を詳しく回想していて曲も説明していて読む価値がある。映画「イマジン」も日記調でいい。
私は日々の暮らしに行き詰るとジョン・レノンに繰り返し回帰する。クラシックファンのより奥の方にジョン・レノン・マニアの自分が眠っている。困るとそこに帰って行く。
「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」と「トモロウ・ネヴァー・ノウズ」が好きで、
「紙面にも形を変えて現れる 日々の秘密を明日は知らない」という短歌を書いた。
「ヤー・ブルース」も好きだが私には切実すぎる。



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<span itemprop="headline">羅須地人協会と修羅の旅</span>

2009-08-13 01:01:13 | 無題

夏休みの、友人との日帰りの岩手の旅。
予備校時代からの友人とゆっくり話しながら、東北新幹線で新花巻まで行く。新花巻からタクシーで宮沢賢治記念館に行く。賢治の生涯を色んな切り口でパネルで説明してある。自筆原稿がカラーコピーなのは興醒めである。でもなかなか興味深い展示。卒業する教え子に向かって、お前が只の詰まらない大人になってしまったら、お前を軽蔑する、という手紙からは、賢治の厳しい修羅の顔が浮かんでくる。宗教家、科学者、肥料設計家、童話作家、詩人、様々な面が照らし出される。
イーハトーブの労働者の歌の自筆譜のハンカチを売店で買う。
その後賢治が設計した花壇を見ながら山を下る。昼は山猫軒でイーハトーブ弁当を食べる。白金豚と野菜の弁当。それから小山を下ってイーハトーブ館に行く。畑中純さんの版画が二点大きく飾られていたのが印象的だった。次に、花巻農業高校内の羅須地人協会の建物に行く。高校生が観光客を横目に誇らしげな表情で話していた。
羅須地人協会の建物は小さな洋風の木造の家で、中にはオルガンがあり、椅子が並んでいて、ここで受講生と語らったのだな、と思う。ささやかな理想郷の片隅。タクシーで生家跡を通って羅須地人協会跡地の賢治の詩碑に行く。協会跡地は小高い所にあり、「近くの畑に居ります」と黒板に書いてあったというが、本当に下に畑が広がっている。歩いて実相寺に行き、バスで花巻駅まで行き、かっぱ飯店で炒飯を食べてビールを飲み、花巻駅で釜石線に乗る。
銀河鉄道のモデルと言われる鉄道で、確かに今でもそれらしい趣がある。特に夜の列車を外から見ると銀河鉄道の感覚。釜石線を友人と二人で乗っているとき、自分たちがジョバンニとカムパネルラのように感じた。
二駅乗って新花巻で降りて新幹線に乗る。外はちょうど花火大会で窓ガラスに花火と自分たちの顔が重なる。帰りに車内で戯れに短歌を二つ書く。「花巻の賢治の地人協会で逃げ場がないと友につぶやく」
「友と我どちらがカムパネルラだろう、釜石線で旅をする夜」心象風景が賢治の情景と重なった。



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