カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

稲子湯とローカル線 後編

2009-06-12 | ヤマのこと

前編はこちら

【行動】本沢温泉5:50→稲子湯8:50 稲子湯入浴(¥600)
【交通】稲子湯バス停10:10→松原湖駅入口10:43(¥700)JR松原湖駅11:14→小淵沢12:24(¥820)
小淵沢(あずさ利用)12:45→新宿14:40(¥3,945)
【交通費合計】@¥13,440×2名=¥26,880

最近天気予報がコロコロ変わるから、日曜は晴れだって言ってたけどどうなるか解らないよね~、
と言いながら迎えた朝。
4:00、テントの外に出てみると・・・


・・・・・・・やっぱり晴れてる
今回は天気予報当たりか・・・そんな気がしたんだー

天気予報に翻弄され、直前にプラン変更も考えた。
行きは本沢温泉までで、翌朝硫黄岳まで登るプランにすれば、タクシー代はかからないで済んだ。
でも日曜日朝4:00にテント場を出発したとして、順調に行ったとしても家に着くのが22:00頃になってしまう。
22:00帰宅だと、疲れちゃって次の日きちんと働けないし・・・
電車とバスの本数が少ないから、それに乗らないと帰れない。
もし何かのアクシデントがあったら、目的を諦めて帰ってこなければならない事も考えられる。
だったら雨でも目的だけは達成したい、と土曜に登ったのだ。

自然の中ではゆとりを持って行動したい、でも限られた時間のなかでのやりくりは、
いつも頭を悩ませることのひとつ。

だからこそ計画がうまくいくと嬉しい。
結果的にツクモちゃんに会えたし、野天風呂も入れたのだから満足なんだけど、
これだけ快晴だと・・・(笑)
でも今日は「八ヶ岳開山祭」天気に恵まれてよかったですね。
山荘に泊まっていたら、素晴らしい日の出が見れたんでしょうね・・・
でも山荘に泊まっていたら、プラス¥18,000お金にも限りがある。


(奥に団体さんがいて賑やかだったテント場)
さて、気持ちを入れ替え今日の目的のために元気に進みましょう


5:50、ゆるゆると、みどり池方面へ歩き出します。


まさに八ヶ岳、というコケの森に入りました。
何度訪れても気持ちのよい森です。

 
鳥の声を聞きながら、誰も歩いていない朝の森を歩くのはなんて気持ちがよいのでしょう!
透き通った清らかな流れが、陽の光を受けてキラキラ眩しい。

空気も澄み、身体中のすべての細胞がキレイなものに入れ替わっていくような、
そんな心地よさがたまらない。

ゆる~く、登ったり下ったり・・・


そんなことを繰り返すうちに、前方がふわ~っと開けて・・・
朝もやの中に小屋が現れました。


あ、ここが有名な「しらびそ小屋」
元気なワンちゃんにガウガウ吠えられました



小屋の前で休憩をしようと座ると、池の向こうに素晴らしい眺めが広がっていました。
天狗岳でしょうか・・・鳥のさえずりしかしない、雑音のない、静かな池の上に見上げる山々・・・
近くの木にはしっぽの大きなリスが。

あまりの美しさに、ため息です。

ここは静かで眺めもよくて素晴らしいところですね!
テント場も見に行きましたが、広くきれいで、トイレもログハウス風なきれいなものでした。
こっちのテント場のほうがよかったなー。
ここは一目見て気に入りました。夏に避暑に来たら最高だろうな。再訪するぞ~!


(こういう愛らしいオブジェを作れる人ってステキ)
その日のために、チーズケーキはお預けで出発します。


稲子湯までの道に、トロッコのレールが延々続きます。
以前行った屋久島を思い出しました。
昔、このトロッコを使って木を切り出していたのでしょうか?


今と違うから、ここにレールを作るだけでも大変だったでしょうに。
昔の人はこつこつ時間をかけて、レールを運んで、枕木引いて・・・すごいなぁ。
まだトロッコが現役だった頃、山で働く人々がこのトロッコに木を積んで、
一緒にカタカタと乗っていた様子が、頭に浮かんできます。

下界とは時の流れが違う・・・時が止まったようなゆっくりとした時間の流れる、
静かな森でした。


ここまでくるともうすぐ着いてしまいそう。
時間がたっぷりあるので、ゆっくり休憩します。


昨日は天気が悪かったけど、今日は朝から木漏れ日が注いで・・・
気持ちイイのなんのって!ずっとずっと歩いていたい気分です。


残念ながら林道についてしまいました。皆さんはこれから山へ向かうところ。
でも、こんな新緑の清清しい森を、早朝から歩けて幸せでした。

一旦車道に出て、また登山道をハルゼミの大合唱を聞きながらゆるゆる降りていくと・・・


温泉のせいかな?せせらぎが赤く染まって・・・ツツジも赤く染まって・・・


8:50、着きました~~!今日の目的念願の「稲子湯
まだ10分前だったけど「どうぞ~」と入れてくれました、親切にしてもらうと心がほっこりしますね



湯ノ花が浮く温泉はとても気持ちがよい!あー、やっぱり来てよかった!
ここも今回のコースから絶対はずしたくなかった温泉です。
冷泉を飲んでみると炭酸泉で、口の中がパチパチ大地の恵みってすご~い!


(ここにも小百合さんが来たのね・・・
お風呂上りは広い休憩室のソファーでまったり。缶ビールも売ってます。
眩しい日差しはもう夏のようです。朝から温泉って贅沢だわ
夏休みに田舎のおばあちゃんちに来たような気分になりました。


10:10、「帰るのもったいないでしょう~」と温泉の女将さんに見送られバスへ。


帰りの町営バスの中から、昨日は見えなかった八ヶ岳の山々が見えた。


すべての山がきれいに見えていた。私も少し山の名前がわかるようになった。
左奥から赤岳・横岳・硫黄岳・根石岳・天狗岳・・稲子岳・・・タブン。


うとうとしたところで、運転手さんに「松原湖駅ですよ~その道路の先を降りてくださいね」
と起こされた。


民家の脇を降りていくと、目の前に踏み切り。
右手に小さな建物が見えたら・・・それが駅舎だった、もちろん無人駅。

 
中は6人ほど座れるようになっている椅子と時刻表。


線路脇では地元の人が農作業に精を出す。


う~~ん、のどかです、すごいです、ステキです。
茅野駅側からとは八ヶ岳挟んだだけでずいぶん雰囲気が違います。
ふるさとの香りがします。
ベンチに腰掛けながら30分、風に吹かれながら電車が来るのを待つのもいい感じ。
日ごろは絶対味わえない、ゆったりしたひととき。


またまた小海線で帰ります。
入線してきた電車は意外にも新しいハイブリット車両で、人でいっぱい。


のんびり揺られていくと、単線の為しばらく停車・・・
駅弁でも売ってるとまた気分も盛り上がるのですが(笑)


JR駅最高所という、野辺山駅へ。
日差しは強いのに標高が高いからさらっと涼しくて避暑地のよう。


電車はまたのんびりと走り、ほとんどの人が清里駅で下車。
車窓から八ヶ岳を眺め、終点の小淵沢へ、約一時間の電車旅でした。

のんびりローカル線の旅も楽しめて、
当初の予定をすべてクリアし、気持ちよく山旅を終えることが出来ました。


(ホームのサラサドウダン)
やっぱり当初の予定通りでよかったかな。
ゆっくりいかなきゃ、見えなかったものにたくさん出会えたから。
心がいっぱい満たされた、温泉三昧の山旅でした。


おしまい。



ツクモグサと本沢温泉 前編

2009-06-08 | ヤマのこと

6/6(土)~6/7(日) 硫黄岳に行ってきました。

<6/6>
【交通】新宿5:46-池袋5:55 池袋6:01-大宮6:37(¥450)大宮6:50-佐久平7:41(新幹線¥4,795)
佐久平7:46-小海8:31(¥480) タクシーにて本沢入口9:00(¥5,400)
【行動】本沢入口9:00-本沢温泉11:00 本沢温泉12:00-夏沢峠-硫黄岳山頂
硫黄岳山頂-硫黄岳山荘-横岳手前-硫黄岳山頂-夏沢峠-17:15本沢野天風呂
(行動時間7時間30分・休憩含む)

山を歩くようになったら、どうしてもこの目で見てみたい、お目にかかりたいもの、がいくつも出てくる。
そのひとつが「高山植物」
中でも梅雨のこの時期しか見れないという憧れの「ツクモグサ」をひと目見てみたくて八ヶ岳へ。
横岳は私には無理な場所、と思いながらも、硫黄岳周辺で見れる?というわずかな情報を信じて計画してみた。

我が家から公共機関利用で、最短距離が「本沢温泉」からのアプローチ。
が、「JR小海線」の本数が少ないので朝一番でも小海駅には8:31到着になる。
バスを待っていたのでは時間がない、と今回は新幹線&タクシーで大奮発!
天気予報に振り回されたが、6月後半は仕事の為行けるチャンスは2回しかない。
日曜日が晴れなら回復傾向だろう、小雨なら行くぞ!と決行したのだが・・・。

 
初めて乗る「小海線」
電車に乗っているときは晴れ間も覗いたのに、駅に着いたら霧雨が。
タクシーは常駐していない為、前日に電話予約をしておいた。


本沢入口到着。タクシーはここまで。
ここに来るまでの道は、途中大変細い道や、民家の間をすり抜けるように走る。
なんかすごい山奥に来てしまった感じがした。
駐車場にはこの天気でもたくさんの車が止まっていた。
今日は「八ヶ岳開山前夜祭」だもんねー。


ここからは、四駆でも入れない。
でも本沢温泉までの道のりは広く、高尾山なみに緩やかに登っていく。

 
沢の音がして、橋を渡ると、もうすぐ。


クリン草の庭に、オバケ水芭蕉・・・


11:10 まずはテント場が現れ、先に進むと「本沢温泉」が見えた。

手続きをして、急いでテント設営。
広いテント場だが、トイレが本沢温泉の建物の裏なので遠いのが難点。(テン場からは登り3分)
昼食を済ませ、身軽で出発!


(足元に咲いていたイワカガミ)
12:00、本沢温泉小屋の脇を登っていくと、硫黄の匂いがキツくなって・・・


すぐ左手に「野天風呂」が。
登山道から丸見えってこのことだったのね・・・

 
天気はずっとガスの中。2200m以上のところでは登山道にまだ所々雪が残っていました。


13:00、薄暗い樹林帯を抜けると「夏沢峠」に到着。結構な人がいてちょっと安心したりして。
全く何も見えないけど、向こうは天狗岳方面らしい・・・
去年はあっちから見てたはずだけど?

 
ここからは岩が多くなり、ガレっぽい斜面を登っていきます。
がとにかくガスガス。周りがどうなっているのか?何が見えるのか?さっぱり解りません。気分は火山を登っている感じ・・・?


それでも途中からは、ケルンに導かれて山頂を目指します。ありがたいです。
かろうじて一つ先のケルンがうっすら見えるくらい。


なんとなく・・・稜線らしいものが見えてきたら・・・

 
14:10、硫黄岳山頂到着。
ぐるり360度、何も見えません。まるで雲の中にいるようです。

何組もの登山客が山頂でぼーっとしていました。
聞こえてくる会話はやはりこれからどっち行こう・・・みたいな感じです。
これだけガスっているとテンション下がりますね・・・

私たちもしばらくぼーっとたたずんでしまいましたが、目指す方向のロープは見えているので、
足元に気をつけながら進んでみることにしました。

幸い、こちら側にもケルンが。ってことはここはガスが出やすい場所なんでしょうか。

花を探しながら降りていきますが、何の花も咲いていません・・・
ミヤマキンバイ開花、って書いてあった気がしたのに・・・ガスで見つけられなかったのかもしれません。


出会ったのは、ホシガラス?だけ。

硫黄岳山荘まできましたが、何も見当たらず時間ばかりが過ぎていく・・・
天気は回復どころか、だんだん薄暗くなってくる。
山荘の植物園に何か咲いているか?と半ば諦めながらも入口に行くと、
階段に腰掛けたオジサマ達がデジカメ持って話をしていた。すると、
「ほら、ツクモちゃんだよ。見るぅ~?」と私に画像を見せるのです!
「わぁ、いいなぁ。これを見に来たんですけどやっぱり横岳まで行かないと見れないですか?」
「いや、山頂手前に咲いてたよ。そうだなぁ、ここから30分くらいかな。僕らは小同心から来て・・・」
そうですか!じゃ行ってみます!ありがとうございました!」


咲きかけのキバナシャクナゲだけ発見。

この時点で14:45。時間的にギリギリか?ろくに話も聞かずに飛び出した(ゴメンナサイ)
気持ちだけ焦りながらも、視界不良の中、足元と花を探しながらキョロキョロ&がしがし登っていく。

ない・・・何も咲いてない・・・一箇所だけ「オヤマノエンドウ」らしき紫色のものが見えたが、
先を急いでいるので写真も撮らずに進んでいく。

初めての場所だし、ガスでよく見えないからどこに横岳山頂があるのかも解らず。
時間ばかりが過ぎて・・・もう二度と来れないかもしれないのに・・・
(電車賃¥25,000もかけてきてるから・笑)
ここじゃないのか?道間違えたか?駄目なのか?見つけられないのか?・・・もう会えないのかと思った矢先、
「あったよー!」というダンナの声が!


15:10、発見。


ガスの中に薄ぼんやり、淡い黄色の花たちが見えた。
岩にへばりついて咲いていた。思ったより小さい。


初めてのご対面!感動の瞬間です!よかった、ホントよかった

一応、ツクモグサのご紹介を。
※本州でツクモグサが生える山は北アルプスの白馬岳と八ヶ岳だけ、
ほかには北海道に分布するだけの希少種。


想像より小さかった。高さも直径も4センチくらい?

 
斜面に咲いているので、私は怖くて近づけなかった(右がダンナ張り付いて撮る様)
左がダンナが撮って来てくれたツクモちゃんたち(でも若干しおれ気味・・・)


花出会えた喜びから我に返って見ると、うっすらと前方にひときわ高いピークらしきものが見えている。
あれが「横岳山頂」だったのかな?
ピークハンターではない私たちは(負け惜しみ・・)目的が達成できたので無理はせず、戻ることに。
未練はまったくない、なぜならクサリ、怖いから(笑)

時間ギリギリだったね!さあ、ここから猛ダッシュでテント場に戻らなければ!


いざとなったら(天候悪化or時間切れor見つけられない)硫黄岳山荘に泊まろうかとも思った。
でもどうやら戻れそうだ。

 
花に会えたからもう足取りも軽くなり、16:00、硫黄岳山頂に戻った。
ふ~、とため息をついたその瞬間、急に空が明るくなり・・・


一瞬日が差して、お~晴れるか!!・・・と思ったけど何も見えなかった。ま、いっか。


さっきまで何も見えていなかった風景はこんなだったのね・・・


幸い夏沢峠までは時折日が差し、どこを登っているのかまったく解らなかった登山道、
ああ、こんなふうになっていたのね、と見ることが出来た。


爆裂火口も見えてビビる。ガスで見えなかったのは、私にとっては良かったのかもしれない。


振り返ると、山頂に青空が・・・う~ん・・・


下に見えるのはオーレン小屋かな?やっぱり青空はいいねぇ。
と眺めを楽しむ時間はなく、そそくさと降りていく。

でも晴れもつかの間、樹林帯に入ったらまたガスに見舞われ、ますます暗くなる。
でも時間的には間に合うはず!


17:10、戻ってきた。
大急ぎで降りてきたら、ちょうど5,6人の団体さんと、2人の男性が上がってきたところで、
「どこまで行ってきた?・・・そうか、じゃ、ゆっくり温まって」
 
とラッキーなことに私たち二人だけの貸切状態で入浴することが出来ました。
朝からずっと霧雨で濡れていた身体と、入る気マンマンで水着を着込んでいた私・・・

豪快に合羽を脱ぎ捨てじゃぼ~~ん疲れた身体に染み渡る~~~!サイコー!
源泉かけ流しどころか、原液?不思議と温度も40度くらいとちょうどよい。
ここも憧れの温泉のひとつだったので、入浴できて嬉しい!至福の時間でした!


(小屋脇の水場)
汗かいて山歩いて、憧れのお花にもあえて、下山して即、憧れの温泉にも入れて、
それで天気も快晴、なんて望んだらバチ当たりそうだよね~~
明日晴れだって予報だけど、明日のことは誰にもわからないし。
ガスでも行ってよかったね
なんて言いながら、気持ちのよい1日の終わりを最高においしいビールで締めくくりました。


後編へ続く。







食に対する・・・

2009-06-03 | タベルこと

最近気に入っているメニュー。

「野ふきの炒め物」


(ピンボケでちょうどよい、かな・・・^_^;)

山菜大好物の私ですが、当たり前ですがもうこの時期はありません。
その代わり最近野菜売り場で売ってるのが「野蕗」普通の蕗より細いもの。
鮮度が命なので、買ったらすぐに処理しなくてはなりません。
特に目新しいレシピではありませんが、この春初めて作ってみたら案外早く出来る、と今更。

【レシピ】
1:塩茹でする。(または塩擦りしてから茹でる)
2:皮をむく。(舌触りが違う)
3:人参・キノコ・豚肉等お好みのものと一緒にゴマ油で(ポイント)炒める。
4:だししょうゆ、砂糖、みりんで味付け(つまりきんぴらと同じ)
出来上がり。苦味が利いててウマ~~イ

蕗は皮をむくのがポイント&面倒なのですが、
自家用なので、そんなに丁寧に剥かなくても、多少残っていても大丈夫。

完成まで約20分。(蕗の量直径10センチ程度の束で、茹で時間5分、皮むき10分、炒め5分)

だからといって、平日の忙しい夜にわざわざ蕗買って茹でて皮剥いてまでして・・・食べるか
(だって蕗売ってるのが平日なんだもん・・・次いつ会えるか解らないしさ・・・)
さすが、食への欲求はすごいね!疲れ知らずだね!とダンナに褒められて(?)います。
(褒めるとこ違ってる~

でも、煮るより多分早い。ガスコンロ占領時間も短い。
しっかりとしたおかずになるしね。
以上お勧めメニューでした。