チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

プッチーニ「蝶々夫人」初演大失敗の中の救い

2014-04-19 23:47:20 | 蝶々夫人

 プッチーニの「マダム・バタフライ」の初演(1904年2月17日水曜日、ミラノ・スカラ座)はこれ以上ないほどの悲惨な大失敗だったらしく、そのためこの新作の上演はその晩限りでひとまず中止されなくてはならない羽目に陥りました。

 ところがその頃ジェノヴァの町に一人の熱心なプッチーニ崇拝者がいて、この出来事に憤慨した上、折しも生まれたばかりの娘の名前を「バタフライ」とつけて市役所に届けました

 これを見た市役所の係員が「失敗を記念するような名前を付けるのはやめた方がいいのでは?」と言ったのにもかかわらず、その人は結局頑張り通しました。

 するとこの出来事を耳にしたプッチーニは大変この純粋な真心に感動して、ぜひその赤ちゃんを見たいと言ったのだそうです。

 そこで約束の日に、このプッチーニ崇拝者はバタフライちゃんだけでなく、一族の全員を引き連れてやって来ました。

 そのあとでプッチーニは「あれほど大勢の客に接したのは生まれて初めてだった」と笑って言ったということです。その後、この歌劇はわずかな改訂を加えられて再演され非常な成功を収めました。

(大田黒元雄『洋樂夜話』大正14年より)

バタフライちゃんはきっと幸せに育ったことでしょうね!