『レコード音楽』1934年11月号によると、初のディスクのために作曲され録音された音楽、つまりディスクを通してのみ聴くことができる最初の音楽はフランスの作曲家、ガブリエル・ピエルネ(Gabriel Pierné, 1863-1937)の「旋回」(Giration, ジラシオン)だということです。
生演奏でなく、ディスク等のメディアのためだけの音楽がどんどん生み出されている今の時代の先駆けなのかもしれません。
フランス・コロムビアからの発売。録音は1934年1月12日金曜日。
ディスク以外の表現手段によってはその真価を発揮し得ない、真のディスクのための音楽だということなので1934年のオリジナル録音をすごく聴きたかったのですが、ネットでは悔しくも発見できませんでした。
そのかわり、イヴァルディ/ルクセンブルク・フィルのソリストたちによる演奏がNMLにありました(YouTubeでもきけます)。
バレエ音楽であるというその曲はシンプルでオシャレ! 最近のNHK朝ドラに使われる音楽の雰囲気も若干あります。
11人という小さい編成なので、当時のマイクでも各々の楽器の音が鮮明に録音できたんでしょうね。
そして、全体では9分弱の短い曲ですが、当時の「ディスク」であったSPレコードの片面の演奏時間あたり(3分48秒)でしっかりパート1とパート2に分かれています。
ちなみに当初の演奏者は次のとおり。
ヴァイオリン・ソロ Marcel Darrieux ←プロコフィエフの協奏曲第1番初演時のソリスト
第2ヴァイオリン Ales
ヴィオラ Boulay
チェロ H. Lopes
コントラバス Juste
フルート Gaston Blanquart(1877-1962)
クラリネット Louis Cahuzac(1880-1960)
バスーン Gustave Dhérin (1887-1964)
トランペット Beghin
トロンボーン Dervaux
ピアノ Jean Doyen(1907-1982)
ピアニストのジャン・ドワイアンを除く10人の奏者はいずれもコンセール・コロンヌ(Concerts Colonne)の首席奏者で、特にバスーンのデランはその年にパリ音楽院バスーン教授登用のコンクールに第1位を得た名手だったようです。