チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

パルジファル日本初演(1967年、二期会)

2016-03-02 20:54:58 | 日本初演

『音楽芸術』1967年9月号より、パルジファル日本初演の画像です。1967年7月22日(土)東京文化会館。


↑ 第1幕。二期会創立15周年記念公演(都民劇場音楽サークル定期No.151)。内垣啓一氏(1925-1989)の「演出ノート」によると「祖父ワーグナーの写実舞台とも異なり、孫ワーグナーの象徴舞台とも違った今回かぎりの独自なパターン」だそうです。

主なキャストは
パルジファル:森敏孝(-2015)
グルネマンツ:大橋國一(1931-1974)
アンフォルタス:芳野靖夫(1933-2021)
クンドリ:長野羊奈子(1933-2014)
クリングゾル:小田清(1931-2014)
ティトゥレル:高橋修一(1939年生まれ)
若杉弘指揮読売日本交響楽団。

実際どんな公演だったのかは、音楽芸術の同じ号の海老沢敏(1931年生まれ)氏による批評が参考になります。

「問題になるのは、やはり音楽上の出来栄えであろう。両端の幕に登場して、この神秘劇の展開を司どる老騎士グルネマンツを歌う大橋国一と、魔女クンドリを演じる長野羊奈子が、終始安定した歌唱と演技をみせてくれたのは、ヨーロッパの舞台での長い経験に支えられたものとはいえ、この公演のキー・ポイントとなった点で注目される。だが、彼らとならんで重要な役割を占める聖なる愚者パルジファルをはじめ、異端の騎士クリングゾル、さらにアンフォルタス王や先王ティトゥレルが、それぞれベストをつくした歌いぶりをみせながら、音楽劇の統一的な要素としては、かならずしも成功していなかったというあたり、この上演のぎりぎりの限界をみせつけられたものである。」としながらも、「こうした不統一にもかかわらず、私は、この公演の意義を高く買おう。」とまとめられています。そりゃそうですよね。この時代に眠らせ王?のパルジファルを日本人だけでやっちゃおうってんだから。

二期会は前年(1966年)にもタンホイザーの原語による上演を行ったようです。熱い!