まつや清の日記 マツキヨ通信

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9月議会、上下水道局44億円庁舎土地取得費、決算認定に反対討論

2011年10月18日 | ニュース・関心事
提案されています議案第124号議案水道事業会計補正予算、認定第1号2010年度一般会計決算、認定第7号国民健康保険健康事業会計決算、認定第16号後期高齢者医療事業会計決算に「会派 虹と緑」を代表して反対討論を行います。

まず≪第124号議案≫ です。
  私は、就任半年を迎えた田辺市政を、マニュフェストに基づく給与の削減、事業仕分けの実施、江川町交差点のスクランブル化実験など若さあふれるスピード感と現場主義が政治への希望を感じさせている点で評価するものであります。しかし、今回の上下水道局庁舎建設提案に行政運営での不透明感と情報開示の不十分さを感じました。そのことに、私自身の自戒の念をもって、私は議会中に賛否の立場を変えました。この議案の問題について早い段階から調査し情報を市民に提供すべきであった、と一議員として忸怩たるものがあります。そのことを踏まえて討論を進めます。

上下水道局庁舎建設事業は、昨年1月、第2次水道計画において市民意見の聴取、いわゆるパブリックコメントをもって宮竹地区18億円構想として第2次水道計画、第2次総合計画に確定しました。にもかかわらず、前市長の引いたレールを引き継ぐ形で今回の七間町オリオン座跡地に土地取得費含め44億円という大幅な計画変更をする形で8月1日の経営会議で決定しました。
この決定には、4年間で静岡の街づくりの中に新しい公共を掲げて市民自治を具現化し「希望の岡」に向かう緒戦において、自治基本条例、市民参画条例の理念を何かの密室の力によって、ないがしろにされていると、少なからずの市民からそう思われる要素があります。田辺市長に対する期待が、実務能力だけでなく、大学で市民自治を教えてこられたという市民自治の理念についての深い洞察力を持つ政治家像であるだけに、一議員としてもとても残念なことであります。

3点の問題を指摘したいと思います。
第1は、宮竹地区から長沼、東静岡地区、そして七間町に変更になった理由が、市民を説得するに至っていないことであります。
宮竹地区の断念理由は「医療団地による高さ制限、交通事情、地盤が悪い」、これは昨年の1月の計画段階で充分に分かっていたことであります。清水庁舎からの移転理由にも「液状化、津波」を理由に挙げています。こうした「地盤が悪い」という災害の論理は危機管理に関わるあらゆる公共施設は駿府公園周辺に移転する、また、そこに住む住民に対する「切り捨て感」をもたらします。駿河区の皆さんの津波への不安が高まっている時にこそ、宮竹地区に安心できる防災拠点としての上下水道局庁舎を作ります、という選択もあってよかったわけであります。

第2は、その変更理由の一つが、前小嶋市長の東静岡地区保健施設との合築・高層化検討指示に端を発すると思われることであります。
東静岡地区での草薙体育館・多目的アリーナによる静岡新庁舎、危機管理センターの白紙化、更に県との対立による多目的アリーナの白紙化、旧清水市と旧静岡市との合併問題に絡んで保健施設との高層化構想があったのでは推察しますが、実際には真剣な協議も行わず、棚上げ。宮竹地区18億円計画のパブコメ最中の検討指示も不思議でありますが、その後の七間町への変更過程の不透明さが危惧されるところです。

第3は、18億円の建物が、七間町44億円に変わる、土地取得費除くと34億円、この大幅な変更過程、これまた不透明であることです。
6月9日の経営懇話会では18億円構想として説明し、7月14日第2回経営懇話会においては38億円に変更、しかも、今回は44億円。そして、七間町に土地取得なら宮竹地区の土地は売却すべきでありますが不明です。残存するとすれば、行財政改革である「未利用土地の早期売却、貸付制度の活用」という監査委員の指摘や田辺市長の4年間で80億円削減マニュフェストにも逆行するものであります。

 次に総括質問後の緊急市民討論会について紹介します。土地取得については賛否が分かれました。宮竹地区に18億円で建設すべき、七間町のまちづくりの観点から土地取得に賛成だが水道局庁舎白紙にすべき、官が建物を作るのでなくPFIのような民間が管理運営する建物に水道局がはいるべき、清水地区に耐震補強してそのままおくとの意見もありました。これら一つ一つは見識ある議論ではありますが、市民世論はまとまっていません。
一番多くの意見は、今回の計画変更過程を水道局経営懇話会で説明したとするのは強弁、静岡市の憲法、静岡市のまちづくりにおける最高規範としての「静岡市自治基本条例」、「市民参画条例」に明らかに違反をしているというものでした。
市民参画条例第7条において、市民参加手続きを意見の聴取、意見交換会、ワークショップ、審議会などと定め、第10条においては、公の施設、それに準ずる施設の計画、変更において、10億円以上という額をつけて市民意見の聴取の義務付けを規定しています。
他市に誇れるこの条例理念を生かし市民意見を聴取し、来年の予算編成までにきちんとした説明を行えば何の問題もない提案になった可能性があったと信じる者であります。

幸にも、14日、「みらい市民会議」「しずおかフォーラム」の二つの市民団体が市民自治推進審議会会長に、市民参画条令で市民意見聴取を義務付けた第10条の違反についての調査の申し入れをしました。日詰一幸会長は、早急に審議会を開催し協議するとのことであります。市民自治の基本理念が、市民にも根付いた証とうれしく思います。議会改革特別委員会においても議会基本条例は静岡の憲法である自治基本条例の理念に従って策定していくと鈴木和彦特別委員会委員長も述べておられます。どうか議会におきましても、市民意見の聴取を行った後で、少なくも市民自治推進審議会の結論が出るまで審議議案を凍結すべきである、という「会派 虹と緑」としての意見に賛同していただきたいことをお願いしまして、この議案への反対討論を終わります。


<決算審議>
次に、認定第1号一般会計、認定第7号国民健康保険特別会計、認定第16号後期高齢者保険特別会計について反対討論を行います。
 今回の決算審議に当たって監査委員からは7つの指摘がなされています。この指摘は大いに納得できるものであり、議会として市民目線に立ちチェック機能を果たす立場として、2010年度予算、補正予算審議時に「会派 虹と緑」として反対してきた議案や政策に合わせて2点の反対理由と世界を変えた3:11東日本大震災・大津波・原発震災によって大きく変わる自治体、静岡市のあり方について述べたいと思います。
「1」 反対理由の第一は、今回の決算には、監査委員から「内部統制システムの構築を図られるよう」指摘されている不正経理が繰り返し発生した点です。具体例二つ挙げます。
1、 一つは、監査委員からも2009年の自発的調査によって内部調査と再発防止策を公表したにもかかわらず、「2010年度定期監査において再び不適正な経理処理が認められた」とされる会計検査院指摘の国庫補助事業返還金は、最終的に7922万余、加算金3226万余、合計で1億1148万余となりました。私ども会派としては、仮に補助金の不適正経理で私的流用がなく静岡市に必要なものだったとしても加算金3226万余の利子分は幹部職員中心に負担すべきであるとあると主張しましたが、支出されている点においてこの決算に賛成できません。
2、 二つ目は、2009年度の社会福祉協議会への児童クラブの委託事業に年度末に委託金が清算されておらず、そうした会計処理のズサンさから職員による公金の不正経理と私的流用が明らかになり、2010年度に1270万円が返還されている点です。この問題は、単に1人の職員の問題でなくその背景にある「社会福祉法人でありながら多額な人件費の補助金が支給される外郭団体的」に取り扱われ、幹部職員の「天下り先」として長い間、継続してきたことが背景にあります。地域福祉に担い手であり、正規、非正規併せ1000人という雇用を担うこの団体の自立をどのように促していくか、は大きな課題であります。

「2」第二の反対理由は、政策的観点から反対をしてきた施策に関わる支出がある点です。東静岡地区への多目的アリーナ誘致問題、清水駅東口文化施設、清水市民文化会館マリナートめぐるPFIにおける燃料高騰・入札問題、国民健康保険料改定、ワクチン接種における安全性重視の姿勢を取りながらも国に従属しているワクチン政策、現実にはヒブワクチン、肺炎旧ワクチンでの死亡事故の続出、そして、新型インフルエンザワクチンの多額な不用額の発生など、多くの問題を指摘しておきたいと思います。行財政改革に関連して、清掃工場を含めてのアセットマネジメントの導入、公共施設の電気料金へのPPSの導入の指摘をしておきたいと思います。

「3」東日本大震災に直面
以上、反対理由を簡単に述べましたが、私達が2010年度の決算を語る場合に、3:11東日本大震災、大津波、特に広島原発168個ぶんという放射能をまき散らした福島原発震災は、1000年に一度の自然災害、10万年に渡る核のゴミの管理という大命題を私たちにつきつけ、自然と人間、人間と人間関係、政府・行政と納税者・市民、自治体のあり方も大きく変えたということを認識しなければなりません。そして、このような広域的な災害支援は初めてであり、支援に入った消防局、上下水道局など全庁的な震災支援を行うことを通じて、津波対策ひとつとっても静岡市の防災のあり方を根本から考え直す機会を得たことであります。更に、いまだ収束のメドの立たない福島原発震災によって、福島県民の犠牲によって浜岡原発が停止し一端の安堵を得ました。一方で静岡市が浜岡原発震災に対し放射能防御体制がないと云うことも明らかになりました。防潮堤構築後の再開問題が横たわっており、牧之原市議会、市長の浜岡原発永久停止宣言に静岡市がどう向かい合っていくのかも、2010年度決算審議にも大きく問われていることを述べて討論を終わります。